テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2017.07.24

5年で101人搬送…カフェイン中毒に注意!

 仕事をもうひと踏ん張りしたいとき、友人と“オール”で遊ぶとき、ここ数年、手にする機会が増えたのが、いわゆる「エナジードリンク」です。コンビニエンスストアで手軽に購入でき、見た目も普通の清涼飲料水とほぼ変わりのないデザインということもあり、若者を中心に大人気。現代の“気付け薬”と言ってもいいかもしれません。

5年間で101人も病院に搬送

 ただ、そのエナジードリンクですが、2017年6月12日付の「朝日新聞」によると、乱用によって「カフェイン中毒」を引き起こすケースが急増とのこと。5年間に101人もの人が病院へと搬送され、死者も3人に及んだと伝えています。

 そもそもですが「エナジードリンク」は、以前から販売されている「栄養ドリンク」が何が違うのでしょうか? エナジードリンク「X-PLOSION」を販売している同サイトでは、医薬品として登録されると栄養ドリンク、炭酸飲料として登録すればエナジードリンクであるとなっていますが、説明だけ見ると大きな違いがわかりづらい部分はあります。

  “手に取りやすい”という点から10代の少年少女に悪影響を及ぼす可能性について、「AFP BBニュース」が大きく伝えたのは、2011年のことでした。当時14歳の少女が「モンスター・エナジー」を大量摂取したことでカフェイン中毒となり、心臓の不整脈により死亡したとし、家族が製造会社相手に訴訟を起こしたという事件です。

コーヒー、エナジードリンクの許容量は?

 ここで問題になったのはカフェイン量でした。エナジードリンク、またコーヒーにも含まれるカフェインは眠気覚まし、集中力アップといったメリットがある一方で、摂取しすぎることで依存度が高まってしまうことがよく知られています。問題はその摂取量で、ニュースサイト「NIKKEI STYLE」は「欧州食品安全機関(EFSA)」が2015年に発表したデータを参照する形で、安全とみなしたカフェイン量を発表しています。

 その量は、成人なら1回に体重1kgあたり3mg、1日に同じく5.7mg。未成年は1日に3mg、妊婦や授乳婦は1日200mgとなっています。例えば体重60kgの成人だとした場合、1日に摂取しても安全なカフェイン量は180mgです。この数字をカフェインが含蓄した飲料に照らし合わせると、どうなるのでしょうか。

 レギュラーコーヒーが100ml辺り60mg、煎茶が同じく20mgとなっています。では、エナジードリンクはどうでしょうか。代表格と言える「レッドブル」の公式サイトによると250mlの「レッドブル1缶には80mgのカフェインが含まれています」と記載されています。コーヒーは300mlでちょうど180mgに達し、レッドブルなら2缶飲むくらいが適度な量のようです。

 とはいえ、気づかぬうちに量が増えてしまうのも、カフェイン入り飲料の難しい部分でもあります。カフェインが体内で代謝され、血中濃度が半減する期間は4~6時間かかるとされます。「過ぎたるはなお及ばざるが如し」ということわざ通り、嗜好品として楽しみ、飲酒などと同じように扱うのが間違いなさそうです。

<参考サイト>
・朝日新聞:カフェイン中毒
http://www.asahi.com/articles/ASK6D4D3RK6DPLBJ004.html
・X-PLOSION
http://x-plosion.jp/shout/エナジードリンクと栄養ドリンクの違いって何?/
・カフェイン過剰摂取
http://www.afpbb.com/articles/-/2908471?pid=9720273&utm_source=yahoo&utm_medium=news&utm_campaign=txt_link_Tue_p1
・レッドブル
http://energydrink-jp.redbull.com/caffeine
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

トランプ政治と民主主義の危機…カント哲学から考える

トランプ政治と民主主義の危機…カント哲学から考える

編集部ラジオ2025(9)デモクラシーの危機と「哲学」

いま、世界各国で「デモクラシーの危機」が高まっています。これまでの常識を超えたドラスティックな政策を次々と打ち出す第2次トランプ政権はもちろん、欧州各国の政治状況もポピュリズム的な面を強くしています。また、ロシア...
収録日:2025/04/03
追加日:2025/05/22
テンミニッツTV編集部
教養動画メディア
2

日本のインテリジェンスは大丈夫か…行政機関の対応に愕然

日本のインテリジェンスは大丈夫か…行政機関の対応に愕然

医療から考える国家安全保障上の脅威(4)国家インテリジェンスの課題

「日本のインテリジェンスは大丈夫なのか」という声が海外から聞かれるという。例えば北朝鮮のミサイルに搭載されている化学剤について、「エイジング」と呼ばれる拮抗薬投与までの制限時間の観点からはまったく見当違いの神経...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/22
山口芳裕
杏林大学医学部教授
3

イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い

イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い

弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(10)弥生人と動物

われわれにとって馴染み深いイヌやネコなどの動物。縄文時代や弥生時代は、その役割、位置づけはどうなっていたのか。また、現代との違いはどこにあるのか。出土品から見えてくる動物との関係について、当時の食生活にも触れな...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/21
藤尾慎一郎
国立歴史民俗博物館 名誉教授
4

メタボリックシンドロームを単なる肥満と侮ってはいけない

メタボリックシンドロームを単なる肥満と侮ってはいけない

健診結果から考える健康管理・新5カ条(6)メタボを侮ってはいけない

「メタボリックシンドローム」を単なる肥満と侮ってはいけない。内臓脂肪が蓄積すると、血糖値や血圧の上昇を招き、さまざまな健康リスクを高めることになってしまう。自覚症状のないまま血管障害が進行するリスクの上昇を防ぐ...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/05/20
野口緑
大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授
5

デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題

デモクラシーは大丈夫か…ポピュリズムの「反多元性」問題

危機のデモクラシー…公共哲学から考える(1)ポピュリズムの台頭と社会の分断化

ショーヴィニズム(排外主義)、反エリート主義、反多元性を特徴とする政治勢力が台頭するなどポピュリズムと呼ばれる動きが活発化する中、「デモクラシーは大丈夫なのか」という危惧がかなり強まっている。アメリカのトランプ...
収録日:2024/09/11
追加日:2025/03/28
齋藤純一
早稲田大学政治経済学術院政治経済学部教授