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DATE/ 2018.02.09

外食チェーンで「満足度」が最も低いのは?

 スマホが普及した現代、食べログやRettyなどのグルメサイトが人気を博し、さまざまな店が掲載され、店の評判や店内の様子などをすぐに調べることができるようになりました。ユーザーにとっては便利かもしれませんが、飲食店にとってはとてもシビアな時代がやってきたといえます。外食チェーンも日々、改良・改善を重ね、よりよいサービスを提供できるようにしのぎを削っています。

 しかし、やはり顧客満足度がかんばしくない店というものもあります。今回は、『ダイヤモンドDATAラボ』が2017年12月に発表した、顧客満足率ランキングを参考に、今、最も評価の低い外食チェーンについてお話します。

顧客満足率が最も低かった飲食店は?

 ではさっそく、顧客満足率ランキングワースト1位をご紹介いたしましょう。見事1位に輝いたのは居酒屋チェーンの「笑笑」で、満足度は22.0%でした。赤い地に、白い文字で「笑」の文字がトレードマークですが、みなさんも駅前などでこの看板を見たことがあるかと思います。

 1999年に東京・新橋に1号店が開店。その後、大学生から社会人まで、幅広い世代の顧客を獲得していた総合居酒屋チェーンの代表格ですが、8割の来店者が満足できなかったという結論が出てしまいました。

 続いて2位は、こちらも居酒屋チェーンの「村さ来」が22.8%、3位も居酒屋の「白木屋」で24.5%となりました。4位「魚民」、5位「庄や」、6位「八剣伝」と、満足度20%台のワーストランキングは続き、いわゆる総合居酒屋といわれている飲食店が、のきなみ連なっているのが特徴です。

 確かに、この数年で総合居酒屋に行く機会が減ったという人も多いのではないでしょうか。

総合居酒屋ブームは過ぎた?

 ワーストランキングに入っている「笑笑」「白木屋」「魚民」は、いずれも大手居酒屋チェーンのモンテローザが運営している店舗です。モンテローザは、2016年には37億円の黒字を記録していたのですが、2017年には8億円の赤字に転落しました。モンテローザは、「成功した競合他店を模倣する」という経営をしていましたが、「魚民」は同じく総合居酒屋の「和民」を模倣しています。ところが、元ネタの「和民」でさえ、ランキングではワースト11位です。

 実は、こうした「総合居酒屋ブームは過ぎた」という話は、2016年ごろから語られていました。飲食店業界では、いったいどんな変化が起こっているのでしょう?

台頭してきた専門特化型居酒屋

 外食業界で、こうした総合居酒屋チェーンの影が薄くなり、顧客満足度が右肩下がりとなっている要因には、専門特化型の格安チェーンが台頭があげられると言われています。同じ顧客満足率ランキングでも、満足度が高かった居酒屋は「鳥貴族」が43.4%、「串カツ田中」が41.2%。いずれもワーストにランクインしている居酒屋に比べ、2倍近い満足度を得ています。それぞれ焼き鳥や串カツといった、専門に特化している店です。

 総合居酒屋が「広く浅い」メニューというのがコンセプトに対し、専門特化型居酒屋は「狭く深く」といったところでしょうか。確かに、よりよい味を求めるならば、確かに専門店に行く方が味のよいものが食べられるという印象もありますよね。素材や油の使い方など、料理へのこだわりが見えるという部分もプラスのポイントかもしれません。

「どこの総合居酒屋にいってもメニューはほとんど同じ」ということも、総合居酒屋から足を遠のかせている原因かもしれません。飲み会の幹事さんも、よく見る総合居酒屋よりも、少し変わり映えのする専門特化型居酒屋を選んでしまうという気持ちも分かります。

新たな飲食店ブームは来るのか?

 しかし、時代は無情にも移ろうものです。今は好調な専門特化型居酒屋も、新たな飲食店の台頭に地位を脅かされる日が来るかもしれません。外食をする側から見れば、どんな料理や飲食店が活躍していくのか楽しみなところではありますが、時代の流れに取り残されないように、経営側はブームを見定める必要があるのかもしれません。

<参考サイト>
・DIAMOND online:外食チェーン「顧客満足率ランキング」【ワースト50完全版】
http://diamond.jp/articles/-/151859
・DIAMOND online:外食チェーン「顧客満足率ランキング」【ベスト80完全版】
http://diamond.jp/articles/-/151643
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