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DATE/ 2018.02.27

昔と全然違う?イマドキの「教科書」の中身

 4年に一度と言えば、オリンピックやワールドカップですが、じつは学校の教科書も4年に一度、改定されていることをご存知ですか。教科書改訂の方針を定める学習指導要領はほぼ10年に一度のスパンで改定されています。年を重ねるごとにどんどん変化していっているわけです。

 教科書の改訂は、私たち社会人にとっても無関係ではありません。なぜかというと、たとえば部下との年齢が遠ければ遠いほど、学校で培ってきた常識が通用しなくなるからです。コミュニケーションに支障をもたらす可能性も少なからずあります。今どきの教科書事情をわかりやすくお伝えしていきます。

「イイクニ」から「イイハコ」へ

 いちばんわかりやすい例は歴史です。突然ですが、ここで問題です。鎌倉幕府の成立は何年ですか? 「イイクニつくろう鎌倉幕府」、1192年。ハイ、正解ですと、言いたいところですが、最近の主流は1185年が鎌倉幕府成立時期となっています。

 昔は源頼朝が1192年に征夷大将軍に任命されたことをもって鎌倉幕府成立としていたわけですが、1185年に諸国に守護・地頭を配置した時点で頼朝はすでに権力基盤を築いていたという解釈が有力な説となったのです。この新常識に合わせて、暗記のためのゴロも「イイクニ(1192)」から「イイハコ(1185)」に変わりました。

聖徳太子はやっぱり聖徳太子

 この他にも歴史では表記の変更をわかりやすい改訂例として挙げることができます。たとえば、「仁徳天皇陵」は「大仙陵古墳」に、日本最初の貨幣「和同開珎」は「富本銭」に変わりました。

 表記変更でもっとも物議を呼んだのが「聖徳太子」。平成29年に告示された新学習指導要領では、一度は小学校では「聖徳太子(厩戸王)」、中学校では「厩戸王(聖徳太子)」に変更することが検討されましたが、学校教育の現場で混乱を招く恐れがあるなどとして、もとの「聖徳太子」に統一されることが見直されました。

小学生から英語とプログラミング教育

 学習指導要領に関するニュースをチェックすると、学校教育や教科書の変化がビビッドに伝わってきます。平成29(2017)年に告示された改訂内容は2020年度から実施されます。変化のポイントは大きく3つ、道徳の教科化、プログロミング教育の必修化、また、英語が5年生から教科化されたことです。

 もちろん、これらのことは教科書にも反映されます。改訂後、一度はその教科書を手にとってみるといいでしょう。「今どきの教科書の中身は昔とこんなに違うのか!」と、それこそ目玉が飛び出るほど驚くのではないでしょうか。

超最新のOSを搭載した若者たちが部下になったら……

 2020年は教育大改革の年だと言われています。新学習指導要領が小学校で全面実施されるとともに大学試験も変わります。センター試験から大学入学共通テストに変わるのです。大学入学共通テストでは、以前のような詰め込み型ではなく知識を活用する力が問われます。そのテストを高得点でパスした若者たちが次の時代の築いていくことになるのでしょう。

 教育大改革の洗礼を受けたニュージェネレーション、いわば超最新のOSを搭載した若者たちが職場に現れることも決して遠い未来ではありません。十数年後には、答えのない問いに果敢に取り組み、英語もプログラミングも朝飯前の若者たちが職場に溢れているかもしれません。

 そういう未来を快く受け入れていくために大人の皆さんも勉強は欠かせません。OSはどんどんとアップデートしていかなければ使い物になりません。考えようによっては、お子さんのいる方はチャンスともいえます。何にでも好奇心いっぱいだった幼なごころを思い出して、子どもと一緒にはしゃぎなら学び直しができれば、仕事にも家庭にも、まさに一挙両得となるでしょう。

<参考サイト>
・文部科学省:新しい学習指導要領の周知におけるポイント(案)について
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/004/siryo/attach/1398501.htm
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