社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2024.07.10

仕事や老後…50代のリアルな悩みとは?

 人生の折り返し地点を過ぎた50代。結婚や仕事、育児などで悩んでいた20、30代の時とはまた違った、不安や心配もあるのではないでしょうか。

 そこで今回は、50代の男女に「あなたは何が一番心配ですか?」と、この年代ならではの悩みをアンケート。これから50代を迎える方へも、今から心の準備となるリアルな声をご紹介します。

50代が抱える、5つの心配事とは

1.親の介護

 50代になると両親が亡くなっている方も増え、健在なら70~80代という介護の問題が身近になる時。「父が亡くなり足の悪い母が一人暮らしに。自分も姉も狭いマンションで家族暮らしで、引き取るに引き取れず悩む」(51歳・男性)、「新潟に住む父が痴呆症気味に。老人ホームがなかなか見つからず、月2回ほど東京から様子を見に行くが、お金も体力も限界」(53歳・女性)など、親の介護は後回しにできない問題です。

 中には「親と話し合い、早くから介護付き老人マンションを購入予約していたので助かった」(55歳・男性)という方も。まだ親が元気なうちに、介護が必要となる老後をどうするのかを家族で話し合っておくべきかもしれません。

2.お金

 50代では家のローンが残っている方も大半で、子どもの教育費がまだまだ掛かるという家庭も。「子ども2人が私大の大学生で、年間250万以上掛かる。もちろん貯金はできないし、ボーナスもほぼ教育費で消えていくので、若い時より生活を切り詰めています」(53歳・男性)、「夫が歳上で、間もなく60歳。給料は下がっても上がることはなく、老後を考えて節約しなくてはなりません」(55歳・女性)など、今あるお金をいかにやり繰りしていくのかに悩む50代が多くいました。

 退職までの期間を考えると収入額も限られてくるので、支出を減らす努力が必要になります。「実は若い時より50代の方が経済的に苦しいのでは?」(56歳・男性)という方もおり、40代までにできるだけ貯蓄をして備え、家のローンは少し無理をしても早く短く返しておくべきだという声も。

3.仕事

 管理職の方も多い50代ですが、仕事の悩みも多く聞かれます。「フリーのデザイナーですが、50代で仕事量が圧倒的に減った。安くて新しい感性のある若いデザイナーに仕事を持っていかれ、この先食べて行けるか心配」(50歳・女性)と収入の変化に不安に感じる人もいれば、「現場を離れ、そして役職定年。部下に使われ人間関係に振り回される立場でストレスが溜まる」(56歳・男性)と、仕事内容の変化に戸惑い働く楽しさを感じなくなってしまったという方も。

 また、もっとも困難なのは「会社が倒産し求職中だが、新しい仕事が全然見つからない」(55歳・男性)、「親の介護で転職したいが、給料も大幅に下がるし、それ以前に雇ってくれる会社がない」(52歳・女性)というような、50代の転職。40代半ばから50代の方は、納得する次の雇用先が確保できない限り、簡単に転職を考えない方がよさそうです。

4.健康
 
 40代あたりから身体の変化を感じ始め、50代は老化を実感する頃。「更年期で、身も心もびっくりするほど辛い」(51歳・女性)、「とにかく疲れが取れない。寝ても早く目が覚めてしまうし、やる気も出ない」(54歳・男性)、「腰や膝、肩などに常に痛みがあり、毎日スッキリしない」(57歳・男性)など、身体の不調から精神的にも参りがちな50代が多くいました。

 そして高血圧、高血糖、高脂肪など生活習慣病や疾患が本格化したという方も多く、同年代の仲間が、ガンや肝臓病、糖尿病といった病気で闘病していたり、亡くなったりするケースも。「まだまだ頑張らなくてはいけないのに、あっちこっちが悪くなり病院通い。若い頃の無理や無茶のツケですかね」(55歳・男性)と、それまでの生活が50代の健康に顕われるので、40代までに食生活や運動など生活習慣の見直しをしておくべきだという意見も。40代では意識しなかった「死」について考えるようになるのも、50代の不安の特徴のようです。

5.老後

 あと数年~10年で定年退職という50代は、その後の老後について考える機会も増えるもの。「老後は年金だけで暮らしていけないのではと不安。個人年金などにも入っておけば良かった」(58歳・男性)、「老後、仕事も収入もなくなり、経済的にやっていけるのか心配。老人ホームに入居するお金もないし」(57歳・女性)と、老後の不安=お金の不安という方が多数。若ければ頑張って稼ぐという手もありますが、収入がなくなり支出する一方になることは底知れない不安を感じることなのかもしれません。

 また「夫が亡くなり、もし自分が病気になったら、離れて暮らす子ども達が面倒を見てくれるのか不安」(57歳・女性) 、「結婚していないので、仕事も辞めてひとりになったらどうやって生きて行くか。孤独が怖いです」(56歳・女性)と、誰かに頼らず自力で生きていけなくなる老後への不安の声も目立ちました。

 いかがでしたか?

 50代の悩みの多くは、間もなくやって来る老いへの不安という印象が強くありました。介護、お金、仕事、健康、そのどれもが、老いに伴い問題化していくものである一方、50代からその悩みを解消しようと努力や対策をしても「遅すぎた!」という結果になってしまうことが多いのです。50代の悩みは、身体的にも経済的にも回復が利く、新陳代謝のいい40代までに対策をしておくことが重要なことなのかもしれませんね。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?

「武器商人」となったアメリカ…ディール至上主義は失敗!?

戦争とディール~米露外交とロシア・ウクライナ戦争の行方

2025年8月、米露、米ウクライナ、EUの首脳会談が相次いで実現した。その成果だが、中でもロシアにとって大成功と呼べるものになった。ディール至上主義のトランプ政権を手玉に取ったロシアが狙う「ベルト要塞」とは何か。事実上...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/12/21
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
2

カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由

カント『永遠平和のために』…国連やEUの起源とされる理由

平和の追求~哲学者たちの構想(5)カント『永遠平和のために』

平和のための「国家連合」。このアイデアの源はサン=ピエールなのだが、現在ではカントの著作『永遠平和のために』が起源だともてはやされることが多い。その理由としては、「なぜ国家連合が必要なのか」「そもそもなぜ平和が...
収録日:2025/08/02
追加日:2025/12/22
川出良枝
東京大学名誉教授 放送大学教養学部教授
3

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟の謎…明らかになった秀吉政権での秀長の役割

豊臣兄弟~秀吉と秀長の実像に迫る(1)史実としての豊臣兄弟と秀長の役割

豊臣と羽柴…二つの名前で語られる秀吉と秀長だが、その違いは何なのか。また、これまで秀長には秀吉の「補佐役」というイメージがあったが、史実ではどうなのか。実はこれまで伝えられてきた羽柴(豊臣)兄弟のエピソードにはか...
収録日:2025/10/20
追加日:2025/12/18
黒田基樹
駿河台大学法学部教授 日本史学博士
4

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学カフェ…西洋哲学×東洋哲学で問う矛盾

逆境に対峙する哲学(1)日常性が「破れ」て思考が始まる

「逆境とは何に逆らうことなのか」「人はそもそも逆境でしか思考しないのではないか」――哲学者鼎談のテーマは「逆境に対峙する哲学」だったが、冒頭からまさに根源的な問いが続いていく。ヨーロッパ近世、ヨーロッパ現代、日本...
収録日:2025/07/24
追加日:2025/12/19
5

夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは

夜まとめて寝なくてもいい!?「分割睡眠」という方法とは

熟睡できる環境・習慣とは(4)起きているときを充実させるために

「腸脳相関」という言葉がある。健康には腸内環境が大切といわれるが、腸で重要な役割をしている物質が脳にも存在することが分かっている。「バランスの良い食事」が健康ひいては睡眠にも大切なのは、このためだ。人生は寝るた...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/12/14
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授