社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
魚の4割にプラスチックが入っているって本当?
タンカーの事故による原油流出や工場排水に含まれる有害物質などの海洋汚染は、今までに何度も社会問題になってきました。そして新たに、2010年代はじめ頃から問題視されるようになってきたのが、マイクロプラスチックによる汚染です。
マイクロプラスチックとは、微細なプラスチックごみを指します。環境省の規定では5mm以下とされており、このうちマイクロサイズで製造されたビーズ状のプラスチックは特にマイクロビーズといいます。
マイクロプラスチックに汚染された魚をより大きな魚が食べれば、そこに汚染が広がります。そしていずれは人間が食べてしまいます。多くの環境破壊同様、人間と無関係ではないのです。
この汚染は日本だけでなく全世界に広がっており、海外諸国ではマイクロプラスチックを禁止する動きが活発です。アメリカでは、2017年1月にマイクロビーズを含む洗い流すタイプの化粧品が製造禁止になりました。またイギリスでは、今年1月にマイクロビーズを含む商品の製造が禁止されています。
一方、日本ではまだ規制はありません。成分表示も統一されていないため、メーカーごとに「ポリエチレン」、「ポリエチレン末」、「コポリマー」などばらばらの表記なのが現状です。しかし、メーカーが自主的にマイクロビーズの使用を控える例は増えています。たとえば花王は、2016年中に使用を終了しました。
そしてなにより、海に本来あるはずのないものが大量に流れ込んでいることは事実。栄養のないプラスチックを食べた魚が満腹だと勘違いすれば発育不良になります。海洋の生態系を乱す可能性は高いでしょう。
ただし、マイクロプラスチックが人体に健康被害をもたらすかはまだわかっていません。プラスチックは消化されないので、食べたとしてもそのまま体外に排出されると考えられます。神経質になりすぎず、冷静に情報を選別する必要があります。
スクラブ洗顔をした直後は表面がつるつるしてきれいになった気になりますが、角質層までこそげ取っているのですぐ乾燥してしまいます。皮膚科医の柴亜伊子医師はスクラブ洗顔について「砂利や砂で顔を洗っているのと同じくらいの刺激」と表現しています。
柴医師が語るように、多くの人は雑誌やTVなどから聞こえてくる「スクラブは必要」という呪文のような言葉にとらわれているのかもしれません。本当にスクラブ洗顔する必要があるのか、きちんと自分の頭で考えなくてはいけません。
自分の肌を守るため、そして大切な海を守るためにどうすればいいか、今後の行動が求められているということですね。
マイクロプラスチックとは、微細なプラスチックごみを指します。環境省の規定では5mm以下とされており、このうちマイクロサイズで製造されたビーズ状のプラスチックは特にマイクロビーズといいます。
魚の体内からマイクロプラスチックが
京都大学の田中周平准教授(環境工学)のチームが東京湾や大阪湾で行った調査では、採取した魚の約4割からマイクロプラスチックが発見されました。中でも最も割合が高かったのは東京湾のカタクチイワシで、なんと約8割から発見されています。マイクロプラスチックに汚染された魚をより大きな魚が食べれば、そこに汚染が広がります。そしていずれは人間が食べてしまいます。多くの環境破壊同様、人間と無関係ではないのです。
マイクロプラスチックの正体とは
それでは、マイクロプラスチックの正体は何なのでしょうか。大きく分けると2種類あります。まず、レジ袋やペットボトルなどのプラスチック製品が紫外線を受けてもろくなり、波で砕かれて微細になったもの。もうひとつは、歯磨き粉や洗顔料などに含まれるスクラブ剤。つまり、はじめから細かいビーズ状につくられたマイクロビーズです。この汚染は日本だけでなく全世界に広がっており、海外諸国ではマイクロプラスチックを禁止する動きが活発です。アメリカでは、2017年1月にマイクロビーズを含む洗い流すタイプの化粧品が製造禁止になりました。またイギリスでは、今年1月にマイクロビーズを含む商品の製造が禁止されています。
一方、日本ではまだ規制はありません。成分表示も統一されていないため、メーカーごとに「ポリエチレン」、「ポリエチレン末」、「コポリマー」などばらばらの表記なのが現状です。しかし、メーカーが自主的にマイクロビーズの使用を控える例は増えています。たとえば花王は、2016年中に使用を終了しました。
どんな影響があるかはまだわからない
スクラブ剤として使用されているマイクロビーズはとても小さいので、洗面所やお風呂で洗い流されると下水処理場を素通りして海に放出されます。プラスチックは微生物によって分解されることがないので、どんなに細かく砕けても決してなくならず、ずっと海を漂い続けます。この表面に海中の有害物質が付着するかもしれませんし、プラスチック自体に有害物質が含まれていることもあります。そしてなにより、海に本来あるはずのないものが大量に流れ込んでいることは事実。栄養のないプラスチックを食べた魚が満腹だと勘違いすれば発育不良になります。海洋の生態系を乱す可能性は高いでしょう。
ただし、マイクロプラスチックが人体に健康被害をもたらすかはまだわかっていません。プラスチックは消化されないので、食べたとしてもそのまま体外に排出されると考えられます。神経質になりすぎず、冷静に情報を選別する必要があります。
そもそもスクラブ剤は必要なのか
むしろ健康によくないという点では、スクラブ剤のほうがはっきりしているでしょう。スクラブ剤は多くの皮膚科医が使用しないでほしいと考えています。スクラブ洗顔をした直後は表面がつるつるしてきれいになった気になりますが、角質層までこそげ取っているのですぐ乾燥してしまいます。皮膚科医の柴亜伊子医師はスクラブ洗顔について「砂利や砂で顔を洗っているのと同じくらいの刺激」と表現しています。
柴医師が語るように、多くの人は雑誌やTVなどから聞こえてくる「スクラブは必要」という呪文のような言葉にとらわれているのかもしれません。本当にスクラブ洗顔する必要があるのか、きちんと自分の頭で考えなくてはいけません。
自分の肌を守るため、そして大切な海を守るためにどうすればいいか、今後の行動が求められているということですね。
<参考サイト>
・毎日新聞:魚4割に微細プラ片 東京湾など調査、海の汚染深刻
https://mainichi.jp/articles/20170919/ddm/041/040/047000c
・京都四条あいこ皮フ科クリニック院長ブログ:スクラブ洗顔
http://www.aiko-hifuka-clinic.net/2012/07/post-475.html
・毎日新聞:魚4割に微細プラ片 東京湾など調査、海の汚染深刻
https://mainichi.jp/articles/20170919/ddm/041/040/047000c
・京都四条あいこ皮フ科クリニック院長ブログ:スクラブ洗顔
http://www.aiko-hifuka-clinic.net/2012/07/post-475.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
ヒトは共同保育の動物――生物学からみた子育ての基礎知識
ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(1)動物の配偶と子育てシステム
「ヒトは共同保育の動物だ」――核家族化が進み、子育ては両親あるいは母親が行うものだという認識が広がった現代社会で長谷川氏が提言するのは、ヒトという動物本来の子育て方法である「共同保育」について生物学的見地から見直...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/08/31
日本の弾道ミサイル開発禁止!?米ソとは異なる宇宙開拓の道
未来を知るための宇宙開発の歴史(7)米ソとは異なる日本の宇宙開発
日本は第二次大戦後に軍事飛行等の技術開発が止められていたため、宇宙開発において米ソとは全く違う道を歩むことになる。日本の宇宙開発はどのように技術を培い、発展していったのか。その独自の宇宙開拓の過程を解説する。(...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/02
天平期の天然痘で国民の3割が死亡?…大仏と崩れる律令制
「集権と分権」から考える日本の核心(3)中央集権と六国史の時代の終焉
現代流にいうと地政学的な危機感が日本を中央集権国家にしたわけだが、疫学的な危機によって、それは早い終焉を迎えた。一説によると、天平期の天然痘大流行で3割もの人口が減少したことも影響している。防人も班田収授も成り行...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/01
世界は数学と音楽でできている…歴史が物語る密接な関係
数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家
数学も音楽も生きていることそのもの。そこに正解はなく、だれもがみんな数学者で音楽家である。これが中島さち子氏の持論だが、この考え方には古代ギリシア以来、西洋で発達したリベラルアーツが投影されている。この信念に基...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/08/28
自由な多民族をモンゴルに統一したチンギス・ハーンの魅力
モンゴル帝国の世界史(2)チンギス・ハーンのカリスマ性
なぜモンゴルがあれほど大きな帝国を築くことができたのか。小さな部族出身のチンギス・ハーンは遊牧民の部族長たちに推されて、1206年にモンゴル帝国を建国する。その理由としていえるのは、チンギス・ハーンの圧倒的なカリス...
収録日:2022/10/05
追加日:2023/01/07