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DATE/ 2018.05.21

キャッシュレス派の年間貯蓄は現金派の倍以上!

 中国で爆発的に進行しているキャッシュレス化が日本でも大きな話題になっています。このキャッシュレス化に関して驚きの調査結果が発表されました。現金派よりもキャッシュレス派のほうが、圧倒的に貯蓄が多いということです。

理由はお金が管理しやすくなるから?

 ジェーシービーは、キャッシュレス派と現金派の年間の平均貯蓄増価額を比べたところ、キャッシュレス派が87.6万円で、現金派が32.5万円となり、キャッシュレス派が2.7倍も上回ったことを調査結果として発表しました。

 なぜキャッシュレス派は貯蓄額が多いのか。一番の理由はお金が管理しやすくなるからでしょう。レシートの有無にかかわらず、オンラインで使用額を確認することができます。これはたしかに使いすぎ防止に効果がありそうです。

 ただし、キャッシュレス化を推進したいクレジットカード会社の調査なので、そうしたバイアスがまったくないとは言い切れません。

ツイッターの反応は

 ツイッターではこんな意見があります。「キャッシュレス派の方が一年あたりの平均貯蓄額が多いみたいな記事読んだがそれも頷ける。アプリで残高も購入履歴も細かくチェック出来るしね。」、「キャッシュレスに移行してからお金の流れが可視化されて無駄使いしなくなったのはある。現金だと何にどれだけ使ったか分からないからね」。

 お金が管理しやすくなるという点がやはりキャッシュレスのひとつの魅力になっているようです。

 また、現金派はキャッシュレス化による浪費を恐れていることが多いのですが、それに対してツイッターでは「反対派は浪費しそう、お金のありがたみがなくなりそう、と具体的な経験よりも感覚で反対している感じ。いずれ変わってくるんじゃないかなー」、「キャッシュレス反対派にありがちな「金銭感覚ズレて浪費しそう」って意見、1度も使ったことない人の意見だよね」という意見も。

 ジェーシービーの調査でもキャッシュレス化によって浪費が減ることと答えた人が多く、ツイッターの意見とほぼ一致しています。

中国でキャッシュレスが爆発的に広がった理由

 日本でも少しずつキャッシュレス化が進んでいるようですが、爆発的に浸透した中国と比べるとまことに牛の歩みです。

 中国で普及している決済は、キャッシュレスというより、スマホを使うモバイル決済というほうが的確です。ウェッジインフィニティによると、モバイル決済が中国で爆発的に広がった理由として、「アリペイ払いで代金をキャッシュバック」といったキャンペーンが大々的に展開されたことが挙げられます。

 日本でも、今回取り上げたジェーシービー調査もある種のキャンペーンと捉えることができます。調査情報が拡散されることで、だんだんとキャッシュレス化は進んでいくのでしょう。

 ただし、「無現金週間」キャンペーンを掲げて毎日88万人に抽選で純金をプレゼントしたアリペイの戦略と比べるとまだまだ消極的。これからどんな企業がどんなキャンペーンを仕掛けてキャッシュレス化の主導権を握るのか。舞台裏ではすでにデッドヒートが繰り広げられているはずです。

<参考サイト>
・JCB、キャッシュレスとデビットカード利用意向に関する実態調査2018」を発表
http://www.global.jcb/ja/press/00000000162614.html
・WEDGE Infinity:中国でキャッシュレス化が爆発的に進んだワケ
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/10450
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