テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.05.27

プライド高い?高学歴な人の特徴

 日本社会ではいまだ学歴が大きな武器になります。高学歴イコール「すごい人!」という思い込みは多くの人に共通するステレオタイプです。みなさんも、一流大学卒と聞いて、それだけでなんとなく信頼したり、ときに相手に対して萎縮してしまったなどの経験はありませんか。

 ところが、なかには一流大卒で迷惑な人たちもいるのでご注意を。最近、ニュースで問題になっている政治家や官僚の発言や行動も、その多くが高学歴ゆえの迷惑行為といえるのかもしれません。

プライドがあだになる?

 みなさんも身の回りで高学歴な迷惑な人たちはいませんか。twitterではこんな意見も。「高学歴の人は総じてプライドが高い傾向があるし、そのプライドは自分の言説にかかっていることが多いから、うっかり人前で“間違いを指摘”しちゃったりすると、その場ではにこやかに対応されても、後で別の形で仕返しされたりすることがしばしばありますね」。

 また、高学歴者は頭のよさをプライドにしているので、自分が騙されるわけはないと信じ込んでしまうといった内容の意見もありました。

高学歴モンスターとは

 『高学歴モンスター: 一流大学卒の迷惑な人たち』の著者・片田珠美氏は、高学歴モンスターの特徴として想像力と共感の欠如を挙げています。経済格差が教育格差につながることは最近よく指摘されていることですが、高学歴の人は、やはりとても恵まれた環境で育ってきたケースが少なくないため、そのせいで傲慢になりやすく、自分のことを特別な人間だと思い込み、それが想像力と共感の欠如をもたらすのだそうです。

 高学歴モンスターが暴走してしまうと結局、自分にふりかかってきます。しかし、当の本人は現実を受け入れず、自覚も欠如し、まるで幼児のように振舞うこともあるのです。これも一流大学卒の迷惑な人たちの特徴ということです。

高学歴イコール迷惑な人というレッテルにも注意

 ここまで高学歴イコール迷惑な人という論調で書いてきましたが、高学歴でもマトモな人、立派な人はもちろんたくさんいます。

 twitterでは「高学歴、特に文系の博士課程まで出ていると、“与えられたお勉強はできるけど、頭が固くてプライドが高くて使い物にならない”と見られるのがデフォルト状態になる。僕自身、初対面でほとんど話もしていない相手に、“お前は頭が固い”とマウンティングされた経験が何度もある」という話も。

 つまり、一部の人のせいで実際に迷惑を被っている方もいるということです。高学歴イコール迷惑な人というレッテル貼りはやめることですね。レッテル貼りも高学歴者の暴走と同じくらい迷惑行動にあたります。想像力と共感力を大切に。

<参考文献>
・『高学歴モンスター: 一流大学卒の迷惑な人たち』(片田珠美著、小学館新書)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
2

外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?

外政家・原敬とは違う…職業外交官・幣原喜重郎の評価は?

外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(2)外交と軍事のバランス

国際関係においては外交と軍事(内政)のバランスが重要となる。著書では、近代日本において、それらのバランスが崩れていった過程を3つのステージに分けて解説しているが、今回はその中の、国のトップが外政家・原敬から職業外...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/12
小原雅博
東京大学名誉教授
3

フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる

フーリエ解析、三角関数…数学を使えば音の原材料が分かる

数学と音楽の不思議な関係(3)音と三角関数とフーリエ級数

音が波であることは分かっても、それが三角関数で支えられていると言われてもピンとこないという方は少なくないだろう。そこで、その話を補足するのが倍音や周波数という概念であり、そのことを目で確認できるとっておきのイメ...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/11
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
4

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本

組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
5

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す

ヒトは、そもそもの生き方であった狩猟採集生活でも子育てを分担してきた。それは農業社会においても大きくは変わらなかったが、しかし産業革命以降、都市化が進み、貨幣経済と核家族化と個人主義が浸透した。ヒトが従来行って...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/09/14
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長 元総合研究大学院大学長