テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2018.05.27

【仕事と年収】小学校教師(46歳男性)の場合

 「学級崩壊」や「モンスターペアレント」など、なにかと大変なイメージのある小学校の先生ですが、どのような仕事をして、実際どれぐらいのお給料を貰っているのでしょうか? 今回はズバリ気になるその月収や賞与、年収、貯蓄額まで、かなり細かく聞いてみました。

――――――――――

46歳「小学校の先生」の年収は…

 今回お話をうかがったのはこちらの方。

【年齢】46歳(男性)
【住まい】中国地方
【独身or既婚】独身
【職業】小学校教諭

・経歴を教えてください。
 国立大教育学部卒業後、すぐ教員に。以来24年勤務。子どもと関わることや学ぶことが好きだったので、子どもたちに学ぶ楽しさを伝えたいと思い、小学校教員になった。また、高校時代に読んだ児童文学も教師を志す1つのきっかけになった。

・年収/月収/賞与について教えてください。


 年収650万円/月収40万/賞与(年2回)170万

・貯蓄額はおいくらですか?
 約2000万

・給与体系や昇給について教えてください。
 教職員給料表に基づく。経験年数に応じ昇級。

・年間休日は?
 年次有給休暇1年間に20日付与(最大20日繰り越し可能)/夏季休暇5日

仕事の内容は?残業はどれぐらい?

 仕事内容は、大きく分けると学習指導、生活指導、学校運営、研究・研修に分かれる。学習指導は、小学校の場合は基本的に全教科の授業を行うことと、その準備や評価。生活指導は、学級経営や給食・掃除等の指導。学校運営は、行事の計画実施や学校全体での生徒指導、保健指導など。研究・研修は教員としての指導力向上を図るための教科研究など。

 残業は人によって異なりますが、私の場合、月100時間を超えるときもあれば、10時間程度のときもあります。(文科省の調査によると、週あたり平均18時間40分なので月に換算するとその4倍で約80時間になります)

「小学校教諭」の良い点は?

 子どもの成長にダイレクトに関われること。自分の仕事が誰のためにどう役立っているのかが分かりやすい。授業にしても行事や生活指導にしても、目の前の子どもたちのために愛情や情熱をもって取り組めば、きちんと返してくれること。教員としてたくさんの子どもの人生と関わることができ、密度の濃い時間や思い出を共有できる点がよいと思う。

「小学校教諭」の悪い点は?

 非常に多忙であるため、心身ともに健康な状態を保ちながら仕事を続けるには努力を要するし、困難な面もある。特に近年は学校現場がどんどん疲弊していっている印象がある。

 ベテラン世代の大量退職、若手教員の急激な増加、教育予算の不足(人手不足、モノ不足)といった構造的な問題や、価値観の多様化、家庭や地域の教育力の低下などにより、公立学校での教育が成り立ちにくい状態、いわゆる学級崩壊や学校崩壊が進んでいる。

 子どもや保護者と長期間ダイレクトに関わり続ける仕事だけに、よい面がある反面、人間関係上のストレスを抱えやすい仕事である点は否めない。外国語や道徳の教科化など、新しい教育課題が絶え間なく増え、情報管理など服務規程も厳しくなるばかりで、教員の負担や業務は増える一方である。

――――――――――

 国税庁「民間給与実態統計調査結果」によると、45~49歳男性の平均年収は633万円ですから、年収650万円というのは、平均よりちょっと上といったところでしょうか。

 しかし、仕事についてはやることが多く、非常に多忙、そして人間関係のストレスを抱えやすいということがデメリットとしてあります。一方で、子どもの成長を実感できるというのが、大きなやりがいであり、仕事のモチベーションとなっているとのことなので、仕事の良し悪しを判断するには、この二つを秤にかけることがポイントになりそうですね。

<参考サイト>
・国税庁HP「民間給与実態統計調査」より
https://www.nta.go.jp/publication/statistics/kokuzeicho/minkan2016/pdf/001.pdf
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
雑学から一段上の「大人の教養」はいかがですか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由

世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由

数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に

世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
2

なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか

なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか

続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景

国際的に見て、政府の債務残高が大きい日本。その背景には、バブル崩壊後の財政赤字を取り戻せていないことがあった。その一方で、預金残高も高い日本。所得が低いのに預金が多い日本の謎を解説する。(全4話中第2話)
※...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
養田功一郎
元三井住友DSアセットマネジメント執行役員 YODA LAB代表 金融・経済・歴史研究者
3

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長

経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力

人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
4

「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実

「100年戦争」と考えて戦争に突入した日本の現実

戦前日本の「未完のファシズム」と現代(8)満州事変と世界大恐慌

日本の陸軍は第二次世界大戦を「100年戦争」であると見なした。勝てる見込みは少なかったにもかかわらず、天皇と国民の一体性という精神主義によって、総力戦になだれこんでいった。石原莞爾が満州事変を起こした時に描いたスト...
収録日:2020/02/26
追加日:2020/08/04
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
5

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家