社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
クーポンは本当にお得なのか?
新聞の折り込みに入っていたり、食事や買い物をしたときにもらったりするクーポン。最近ではネットやアプリで配信されることも増え、すっかりおなじみの存在になりました。財布やスマホの片隅に、クーポンを保存している方も多いのではないでしょうか。
それでもクーポンはなくならないどころか、どんどん増えています。これは発行するお店側にメリットがあるからにほかなりません。お店はどのような意図でクーポンをつくっているのでしょうか。
新規顧客の場合は、まだお店の特徴を知らない人が来店するので、自信作や看板商品など「お店の売りとなるもの」、「最もこのお店らしいもの」をクーポンでアピールします。開店したばかりのお店が、まず手広く集客するためによく使われる手法です。こうしてクーポンで興味を持った人がお店のサービスに満足すれば、また来店してくれるリピーターになるわけです。ただし、単純に安ければどこのお店でもいいという人は必ずいるので、現実的にはあまりリピーターが増えないという結果になることも。
一方、リピーターの場合は、ある程度お店のよさを知っている人に配るので、普段利用しているものよりもクオリティの高い体験ができるクーポンでアピールします。ラーメン店でトッピングをプラスできたり、美容院でリッチなトリートメントを受けたりできるクーポンが該当します。こうしてお店のよさをより深く伝えることで、さらなるファンになってもらう訳です。ただし、もともとの満足度が高くなければリピーターにはならないので、一番大切なのはやはり日々のサービスや努力です。
「お客をたくさん集めてまた来店してもらう」というお店経営の大前提を達成するために、お店側はクーポンを発行しているのです。
それなのに損をした気分になってしまうのは、使った側に原因があります。「安くなっているから」と単品で充分なメニューをセットにしたり、「もうすぐ期限だから」とか「○○円以上お買い上げで」という割引の条件を満たすために不要なものを買ったりしたら、満足度は低くなってしまいますよね。
このような事態にならないよう、意識したいのがメンタルアカウンティングです。「心の会計」とも呼ばれる行動経済学の用語で、人間はお金に関して不合理な判断をするときがあるという考え方。まさに、クーポンでの失敗が不合理な判断によるものですよね。
クーポンを使うときは「不合理な判断をするかもしれない」ことを念頭に置き、「これは本当にほしい、必要なものなのか」と自分に問いかけましょう。本当に必要なら少しの割引でもうれしく感じますし、もとから〇〇円以上買うつもりなら損した気分にはなりません。きちんとクーポンの恩恵を得られるのです。
クーポンで得をするのも損をするのも、使う人次第。条件や期限に振り回されず、本当にほしいものを買うときにだけ使うのが賢いつきあいかたです。
つい取っておいてみるクーポンだけど
多くの場合、クーポンには使用期限があり、しかもその期限がとても短いことも少なくありません。「○○円以上お買い上げで」という条件つきや、別にポイントカードがあってそのポイントが○倍になるなど、「本当に得なのかな」という疑問が生じるクーポンも多いですよね。また、割引額が微々たるものだと再来店の意欲は湧きにくいですし、「提供しているサービスに自信がないからお茶を濁しているのでは」とみなす人もいます。それでもクーポンはなくならないどころか、どんどん増えています。これは発行するお店側にメリットがあるからにほかなりません。お店はどのような意図でクーポンをつくっているのでしょうか。
お店側がクーポンを発行する理由
お店がクーポンによって得られるメリットは、「新規顧客」と「リピーター」の獲得です。両者はアプローチのしかたが異なるので、どちらかに狙いを定めたクーポンを発行します。新規顧客の場合は、まだお店の特徴を知らない人が来店するので、自信作や看板商品など「お店の売りとなるもの」、「最もこのお店らしいもの」をクーポンでアピールします。開店したばかりのお店が、まず手広く集客するためによく使われる手法です。こうしてクーポンで興味を持った人がお店のサービスに満足すれば、また来店してくれるリピーターになるわけです。ただし、単純に安ければどこのお店でもいいという人は必ずいるので、現実的にはあまりリピーターが増えないという結果になることも。
一方、リピーターの場合は、ある程度お店のよさを知っている人に配るので、普段利用しているものよりもクオリティの高い体験ができるクーポンでアピールします。ラーメン店でトッピングをプラスできたり、美容院でリッチなトリートメントを受けたりできるクーポンが該当します。こうしてお店のよさをより深く伝えることで、さらなるファンになってもらう訳です。ただし、もともとの満足度が高くなければリピーターにはならないので、一番大切なのはやはり日々のサービスや努力です。
「お客をたくさん集めてまた来店してもらう」というお店経営の大前提を達成するために、お店側はクーポンを発行しているのです。
結局、得か損かは使う人次第
お店は、お客獲得のためにクーポンを発行している以上、信頼を損なう行為はしません。提示すればクーポン通りのサービスを受けられるので、クーポンを提示したときの取引では、どんなに割引額が少なくても必ずお客が得をします。それなのに損をした気分になってしまうのは、使った側に原因があります。「安くなっているから」と単品で充分なメニューをセットにしたり、「もうすぐ期限だから」とか「○○円以上お買い上げで」という割引の条件を満たすために不要なものを買ったりしたら、満足度は低くなってしまいますよね。
このような事態にならないよう、意識したいのがメンタルアカウンティングです。「心の会計」とも呼ばれる行動経済学の用語で、人間はお金に関して不合理な判断をするときがあるという考え方。まさに、クーポンでの失敗が不合理な判断によるものですよね。
クーポンを使うときは「不合理な判断をするかもしれない」ことを念頭に置き、「これは本当にほしい、必要なものなのか」と自分に問いかけましょう。本当に必要なら少しの割引でもうれしく感じますし、もとから〇〇円以上買うつもりなら損した気分にはなりません。きちんとクーポンの恩恵を得られるのです。
クーポンで得をするのも損をするのも、使う人次第。条件や期限に振り回されず、本当にほしいものを買うときにだけ使うのが賢いつきあいかたです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」
AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(2)江藤淳の「リアリズムの源流」
文芸評論を再考するに当たり、江藤淳氏の「リアリズムの源流」を振り返ってみる。一般的に日本で近代小説が始まった起源は坪内逍遥だといわれるが、江藤氏はそれに疑問を呈す。そして注目したのが、夏目漱石の「坊ちゃん」であ...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/02
ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係
地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ
国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは
日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道
機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?
キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか
キリスト教とは何か。「文明の衝突」が世界中で現実化する中、この問題は日本人にとっても重要なものになっている。上智大学神学部教授・竹内修一氏は、「キリスト教とは何か」という問いは、同時に「イエスとは誰なのか」も意...
収録日:2016/12/26
追加日:2017/02/28
最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか
第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ
反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28