社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
「加熱式たばこ」はどれだけ普及しているのか?
みなさんのまわりに加熱式タバコの喫煙者はどのくらいいますか。2018年7月、加熱式タバコ市場において業界1位の外資系たばこ大手フィリップ・モリス・ジャパンが「アイコス」の詰め替え用たばこを1箱当たり40円の値上げすることを明らかにしました。
フィリップ・モリス・ジャパンは「マールボロ」など従来の紙巻きたばこは50円値上げしたことを踏まえ、紙巻きたばこより「アイコス」が割安であることを打ち出しています。
実際のところ、加熱式たばこはどれだけ広まっているのでしょうか。
それに対して、国産の「プルーム・テック」は専用器具でカートリッジ内の溶液を加熱することにより発生した蒸気で製造たばこを加熱し喫煙するという方式になっています。売り文句は三者三様で、アイコスは「本物の満足感」、グローは「連続使用量」、プルーム・テックは「小型化」です。
ブームの火付け役は「アイコス」。2014年から一部販売が始まり、2016年に全国販売。急激に販売数を伸ばし、ユーザー数はすでに500万人を突破しています。続けて「グロー」、やや遅れて「プルーム・テック」が発売開始されました。
「プルーム・テック」は発売当初は乗り遅れたのではないかと心配されていましたが、破竹の勢いで売り上げを伸ばし、累計販売が400万台を突破し、グローを抜いて業界2位に躍り出ました。
加熱式たばこの割合は、この勢いでシェアを拡大していけば、数年後にはたばこ総市場の30%を超えるとも言われています。
しかしです、アイコスはフィリップ・モリス・ジャパンが本社を構えるアメリカにおいて、まだ発売許可がおりていません。アメリカでは米国食品医薬品局(FDA)から認可がおりないと発売できないのですが、いまだ申請中という状態なのです。
日本と世界で大きなシェアを獲得しつつあるアイコスですが、アメリカ国内における状況との温度差には違和感を感じざるをえません。もちろん、米国食品医薬品局がかなり厳しい審査基準を設けていることはたしかなのですが。
ともあれ、加熱たばこ市場が急成長産業であることは間違いありません。とりわけ、日本においては短期間にして驚くべき普及ぶりです。何がそれほどまで人の心を捉えたのか。マーケティングという点からも興味の尽きない話題を提供してくれます。どんな変化や進化をみせてくれるのか、今後も目が離せません。
フィリップ・モリス・ジャパンは「マールボロ」など従来の紙巻きたばこは50円値上げしたことを踏まえ、紙巻きたばこより「アイコス」が割安であることを打ち出しています。
実際のところ、加熱式たばこはどれだけ広まっているのでしょうか。
「アイコス」「プルーム」「グロー」の違い
そもそも普及している加熱式たばこには3種類あります。先ほどご紹介したフィリップ・モリス・ジャパンの「アイコス」、JTの「プルーム・テック」、ブリティッシュ・アメリカン・タバコ・ジャパンの「グロー」です。アイコスとグローはもちろん外資系です。2社の製品とも、専用器具で製造たばこを加熱して喫煙するという使用法式をとっています。それに対して、国産の「プルーム・テック」は専用器具でカートリッジ内の溶液を加熱することにより発生した蒸気で製造たばこを加熱し喫煙するという方式になっています。売り文句は三者三様で、アイコスは「本物の満足感」、グローは「連続使用量」、プルーム・テックは「小型化」です。
加熱式タバコは急成長産業
さて、加熱式たばこはどれだけ広まっているのか。JTの調査によると、日本における喫煙者率は3年連続で下落しており、17.9パーセントで過去最低を記録。他方で、加熱式たばこの喫煙者は急速に拡大しています。ブームの火付け役は「アイコス」。2014年から一部販売が始まり、2016年に全国販売。急激に販売数を伸ばし、ユーザー数はすでに500万人を突破しています。続けて「グロー」、やや遅れて「プルーム・テック」が発売開始されました。
「プルーム・テック」は発売当初は乗り遅れたのではないかと心配されていましたが、破竹の勢いで売り上げを伸ばし、累計販売が400万台を突破し、グローを抜いて業界2位に躍り出ました。
加熱式たばこの割合は、この勢いでシェアを拡大していけば、数年後にはたばこ総市場の30%を超えるとも言われています。
アイコスの不都合な真実?
しかし、気になるニュースもあります。アイコスについての話題です。アイコスは2014年に日本とイタリアでのみ先行で発売がスタートしました。ちなみに2016年10月時点においては、世界シェアのなんと98パーセントを日本が占めていました。つまり、ほとんど日本限定発売だったということです。日本はテスト市場とみなされていたのかもしれません。その後、2018年2月時点においては36カ国に展開されるようになりました。しかしです、アイコスはフィリップ・モリス・ジャパンが本社を構えるアメリカにおいて、まだ発売許可がおりていません。アメリカでは米国食品医薬品局(FDA)から認可がおりないと発売できないのですが、いまだ申請中という状態なのです。
日本と世界で大きなシェアを獲得しつつあるアイコスですが、アメリカ国内における状況との温度差には違和感を感じざるをえません。もちろん、米国食品医薬品局がかなり厳しい審査基準を設けていることはたしかなのですが。
ともあれ、加熱たばこ市場が急成長産業であることは間違いありません。とりわけ、日本においては短期間にして驚くべき普及ぶりです。何がそれほどまで人の心を捉えたのか。マーケティングという点からも興味の尽きない話題を提供してくれます。どんな変化や進化をみせてくれるのか、今後も目が離せません。
<参考サイト>
・東洋経済ONLINE:加熱式たばこ「日本だけで大流行」という真実
https://toyokeizai.net/articles/-/223879
・JT:2018年「全国たばこ喫煙者率調査」要領
https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/2018/0730_01_appendix_01.html
・産経ニュース:加熱式たばこ市場拡大 シェア3割超視野 顧客争奪戦が激化
https://www.sankei.com/economy/news/180802/ecn1808020003-n1.html
・東洋経済ONLINE:加熱式たばこ「日本だけで大流行」という真実
https://toyokeizai.net/articles/-/223879
・JT:2018年「全国たばこ喫煙者率調査」要領
https://www.jti.co.jp/investors/library/press_releases/2018/0730_01_appendix_01.html
・産経ニュース:加熱式たばこ市場拡大 シェア3割超視野 顧客争奪戦が激化
https://www.sankei.com/economy/news/180802/ecn1808020003-n1.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
習近平への権力集中…習近平思想と中国の夢と強国強軍
習近平―その政治の「核心」とは何か?(1)習近平政権の特徴
国際社会における中国の動きに注目が集まっている。新冷戦ともいわれる米中摩擦が激化する中、2021年7月に中国共産党は創立100周年を迎えた。毛沢東以来、初めて「思想」という言葉を党規約に盛り込んだ習近平。彼が唱える「中...
収録日:2021/07/07
追加日:2021/09/07
熟睡のために――認知行動療法とポジティブ・ルーティーン
熟睡できる環境・習慣とは(1)熟睡のための条件と認知行動療法
「熟睡とは健康な睡眠」だと西野氏はいうが、健康な睡眠のためには具体的にどうすればいいのか。睡眠とは壊れやすいもので、睡眠に影響を与える環境要因、内面的要因、身体的要因など、さまざまな要因を取り除いていくことが大...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/11/23
密教の世界観は全宇宙を分割せずに「つないでいく」
エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(4)全てをつなぐ密教の世界観
岡本浩氏、長谷川敏彦氏の話を受けて、今回から鎌田氏による講義となる。まず指摘するのは、空海が説く『弁顕密二教論』の考え方である。この著書で空海は、仏教の顕教は「中論」「唯識論」「空観」など世界を分割して見ていく...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/20
史料読解法…豊臣秀吉による秀次粛清の本当の理由とは?
歴史の探り方、活かし方(4)史実・史料分析:秀吉と秀次編〈上〉
実際に史料をどうやって読み解いていけばいいのか。今回から具体的な史料の読み解き方をケース・スタディしていく。最初は『太閤記』に関する参考資料を用いて、太閤・豊臣秀吉と関白・秀次の関係を考える。そもそも『太閤記』...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/22
不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?
習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実
改革開放当時の中国には技術も資本もなく、工場を建てる土地があるだけだった。経済成長とともに市民が不動産を複数所有する時代となり、地価は高騰し続けた。だが、習近平政権による総量規制は不動産価格を低下させ、消費低迷...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/16


