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DATE/ 2018.10.07

日本人は世界一「ホテルの〇〇が許せない」

 2018年7月、世界で旅の情報を発信している旅行サイト・エクスペディアの日本語サイトであるエクスペディア・ジャパンが、ホテルにまつわる国際比較調査の結果を発表しました。この調査は「1年以内に飛行機に乗った」、「ホテルに宿泊した」という条件を満たす世界23か国の人々1万8千229人を対象に行ったものです。

日本人旅行者の特徴とは

 この結果を見ると、日本人旅行者と外国人旅行者の意識の違いが一目でわかります。たとえば日本人は、予約するホテルの第一候補に大手チェーンホテルを選ぶ割合が約70%で世界一でした。続くアメリカとメキシコが約60%、スペインが55%という結果と比較すると、かなり高い比率です。堅実さや無難さを好む日本人は、広く信頼を得ている大手のブランドに安心感を持つのでしょう。

 そんな中でも特に注目したい結果が、日本人旅行者の「隠さない」ことと「許せない」こと。この2点に、日本人旅行者の特徴がよく現れているのです。

日本人は世界一「貴重品を隠さない」

 日本人旅行者は一体なにを隠さないのでしょうか。実は、現金や高価な品物などの貴重品なのです。「ホテルの客室で貴重品をハウスキーパーの目の触れないところに隠すか」という質問に、アメリカ人は半数が、スペイン人やメキシコ人も約40%がイエスと答えたのに対し、日本人は約10%しかイエスと答えず、世界一低い数値になりました。

 日本は他国と比べて治安がよいため、日本人はつい自分で自分の安全を守ることを忘れがちです。ましてや安心して休む場所であるホテルでは、気が緩んでしまうのでしょう。しかし、ホテルスタッフもやはり人間なのです。他人を信じすぎないことも、海外旅行では必要だと心掛けてください。

 実際、海外のホテルではそこで働くスタッフによる盗難が多発しています。現金はもちろん、パソコンやカメラなどの精密機器も狙われます。また日本の化粧品は品質がよいため、意外と盗難に遭いやすいので注意が必要です。持ち歩ける貴重品はなるべく身につけて、部屋に残すときは金庫に入れたり鍵がかかるバッグに入れたりしてから外出しましょう。

日本人は世界一「髪の毛が許せない」

 では日本人旅行者はなにが許せないのでしょうか。それは、浴室に髪の毛が落ちていることです。「ホテルの部屋にチェックインした際にあったら嫌なこと」についての質問で、「シャワー室に髪の毛が落ちていること」を「許せない」と回答した日本人は38%にのぼり、世界一となりました。自宅の浴室でも、排水溝に髪の毛が溜まることを嫌がる日本人は多いですよね。

 これに僅差で続いたのが、36%のスペインです。実はスペイン人はかなりの掃除好き。モップ絞り器つきのバケツを発明したのはスペイン人で、家の中だけでなく家の前の道まで丁寧にモップがけする習慣があります。台所や浴室もしっかり掃除するスペイン人は、日本人同様にホテルの浴室に髪の毛があることを許せないようです。

 しかし他国の旅行者の回答に目を移すと、浴室の髪の毛が許せない人は20%程度にとどまっています。この数値の差からも、日本人は清潔さに強いこだわりを持っていることがよくわかりますね。

警戒心が弱く清潔好きな日本人旅行者

 これらの結果から、日本人旅行者は外国人旅行者と比べて警戒心が弱く清潔好きといえるでしょう。貴重品の管理があまり必要ないのも、浴室の髪の毛が許せないのも、日本では「普通」の感じ方ですが、海外に出たらその普通は普通ではなくなることを改めて示してくれています。

 特に近年は、日本人を狙った海外での犯罪が増加しています。警戒心の弱さが隙を生むと、すぐさま犯罪者の標的にされてしまうでしょう。外務省では海外旅行に出かける日本人に対して、安全対策の知識と意識を持つよう呼びかけています。

 せっかくの海外旅行を楽しい思い出にするには、旅行先の国の常識を受け入れることも大切。慣れるまでは難しいかもしれませんが、自分の身は自分で守るという意識を強く持ち、少しの汚れはおおらかに見逃すことがグローバルな視点につながってゆくのです。

<参考サイト>
・We Love Expedia:日本人は世界で一番ホテルで「隠さない」大手チェーンホテルが好きな割合も世界一
https://welove.expedia.co.jp/press/37160/
・We Love Expedia:日本人は世界一「シャワー室に落ちている髪の毛」が許せない
https://welove.expedia.co.jp/press/38296/
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授