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DATE/ 2018.10.21

【仕事と年収】宝石商(34歳男性)

 今回は34歳の「宝石商」の方に年収などのリアルなお金事情、その仕事の内容をうかがいました。

34歳の「宝石商」の年収は…

 今回お話をうかがったのはこちらの方。

【年齢】34歳(男性)
【住まい】東京都
【独身or既婚】既婚

・経歴を教えてください。

 大学卒業後、芸能事務所の営業(舞台・グラビアが主)として勤務していましたが、その時の取り引き先の奥さん(弊社の社長)からオファーを頂戴し、単純に給料がフルコミッションというところに惹かれて、あっさり転職しました。

・年収/月収/賞与について教えてください。

 年収1100万円、月収90万、賞与なし。給料はフルコミッション(完全歩合制)。

・貯蓄額はおいくらですか?

 日本円6000万と不動産(アパートが2500万程度)。

・年間休日は?

 120日程度ありますが、フルコミッションのため、基本的に自ら休みを取ることは、病欠や冠婚葬祭以外ではまずありません。

仕事の内容は?残業はどれぐらい?

 専門のテレアポ(委託アルバイト)がアポイントを取ってくるのですが、アポが取れれば会社からお客様宅へ直行。宝石と聞くと豪邸に住んでいる貴婦人などを想像される方も多いですが、実際は普通の一軒家やマンションに住んでいる方が大半です。中には旦那さんに内緒で信販会社を使って分割する方も。見栄で購入する方も多いです。

 こちらとしてはもちろん販売目的ですが、用件としては、真珠のリフォームやお手持ちのダイヤモンドなどのリペアサービスとして伺います。その際にコミュニケーションを取りながら、新しい真珠や宝石を勧めてクロージングしていきます。

 残業は、定時は18時ですが、後輩へのロープレ(ロールプレイング)などで終電までいるので、月120時間前後です。

この仕事の良い点は?

 やはり、地主さんや会社経営者(上場企業の奥様など)など羽振りの良い方、普通に生活していれば関わることのないような方がお客様として稀にいらっしゃることです。

 一つエピソードとしては、遅くまで話が盛り上がった後にタクシーを呼んでいただいたのですが、その際に御車代として10万円をいただきました。距離にすると1万円もかからない距離です。そのお客様に後日お返しに上がったところ、そんなことは忘れたと言わんばかりに、帰り際には、使っていないのでということで、モンクレールのダウンジャケットをいただきました。ご主人の私物だと思いますが、今も使わせていただいております。

 また、単純に営業力はつくかと思います。私の場合は「玄関を開けたならば、売るまで帰ってくるな」がモットーでしたし、直属の部下にはその様に指導しています。

 あとはやはり収入ですね。役職なども全て売上で決まりますが、売るだけ自分のお金にもなりますので。

この仕事の悪い点は?

 完全に体育会系の職場なので、売れない人はすぐ辞めさせられますし(給与が出ないので)パワハラなどという概念はないです。客観的な見方をすると、ほぼCtoCに近い営業なので、マーケティングなど広義の意味での商才は全く育たないと思います。

 この仕事をしていた中で一番辞めたいと思ったときのエピソードとしては、真珠をご購入いただいたお客様の旦那様が翌朝名指しでオフィスに怒鳴り込んで来られまして、「何を無理やり売りつけてローンまで組ませてくれてるんだ」と胸倉を掴まれ、顔面に2発パンチを受けました(笑)。今でも鮮明に覚えている衝撃の出来事でしたね。当然こんなことに労災はおりませんし、休めませんから、顔が腫れている状態でその日は営業を回ってました。

 また、社風として前にも書きましたが、売るまで帰ってくるなは当たり前ですので、精神疾患にかかる人もいましたね。

――――――――――

 「宝石商」の仕事と年収いかがでしたでしょうか。自分の実力が報酬に反映される体育会系の完全実力主義の世界、誰もができる仕事ではないようです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授