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DATE/ 2018.10.26

【仕事と年収】寿司職人(ホノルル在住45歳)

 今回は45歳の「寿司職人」の方に年収などのリアルなお金事情、その仕事の内容をうかがいました。

45歳の「寿司職人」の年収は…

 今回お話をうかがったのはこちらの方。

【年齢】45歳(男性)
【住まい】ホノルル
【独身or既婚】独身

・経歴を教えてください。

 某州立大学を最終年に家庭の事情で中退。学生時代にクジで当たった永住権をあきらめきれず、米国で生き残るために日本料理店で皿洗いをして必要最低限の生活費で食いつなぐ。

 半年後、仕事の真面目さが気に入ったので板前の修業を積まないかと上司に勧められ、即答で承知した。寿司の技術に英語力、「寿司の本場から来た日本人」というブランドがあれば、米国では希少価値が出ると思った。また、人材不足が常の米国寿司業界においては、板前が仕事探しで悩むことは一切なく、好きな場所を選んで暮らせるだろうと確信した。

・年収/月収/賞与について教えてください。

 年収$54,000(約630万円)、月収$4,500(約52万円)、賞与なし。

・貯蓄額はおいくらですか?

 $500,000(約5,800万円)。

・年間休日は?

 平均100日(同僚が病欠などの場合には出勤する)。

仕事の内容は?

 早朝の飯炊きから始まり、入荷した魚の下処理、食材の在庫整理、ソース・たれ等の補充、板場で使用する野菜・ネタ等のセットアップ、予約リストに載る自分の前に座る常連客の確認、そのための特別メニュー・ネタの仕込み、本日のおススメにする日替わりメニューの作成と他従業員への告知、翌日の食材の発注、マンネリ気味とボヤキを聞きながら毎回作りつづける賄いメシ、その残飯を一人分づつ容器に入れて持って帰ってくださいと、残飯がなくなるまでひとりひとりにお願いするなど、やることが尽きることはありません。

この仕事の良い点は?

 毎日何かを学び、自分自身が成長していく過程を実感できる環境に身を置けること。また努力をした結果、お客様から直接「ありがとう!」「また来ます」、笑顔など、人から感謝をされて一日を過ごすことができる。

 収入面においては、経験年数が10年を超えるあたりから、中流階級の平均年収を上回り、割りと余裕のある生活ができる。給料の額も、最初の面談の時に板前が「言い値」を最初に伝えてから、店側が採用の有無を判断することが多いので、思い切って高値を言っても採用してもらえる可能性が高い。

この仕事の悪い点は?

・朝から晩まで立ち仕事なので、腰痛・首痛は当たり前。そのため、どこの整体師や針治療師が良いとかにやたらと詳しくなる。

・人材の出入りが多い店で働くと、新人のトレーニングを任されるが、仕事を覚えたと思ったら、突然辞めてしまって、また来た新人に同じ事を教えるという、終わりのない業務に目まいがする。

・自営業の小規模な店舗では原則、少人数で経営してるので、簡単に病欠が取れず、体調管理が重要になってくる。すると早寝早起きは勿論、食生活も限りなく質素なものになり、せっかく稼いだお金をほとんど使わず、まるで修行僧ではないかと自虐に陥る。

・この職業は簡単に辞めることはできるが、それまでのキャリアが次の職場で活かせるかどうかわからず、せっかく積んだ経験が水の泡になる可能性もある。

――――――――――

 ホノルル在住「寿司職人」の仕事と年収いかがでしたでしょうか。日本とは多くの点で事情は異なりますが、アメリカの寿司業界では、「英語ができる日本人の寿司職人」というアドバンテージは大きいようです。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
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