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DATE/ 2018.11.05

ゲームのやりすぎで頭は悪くなるのか?

 子どもの頃、「ゲームのしすぎは馬鹿になるから」と、親にゲーム機を取り上げられた記憶がある方も多いのではないでしょうか。時代は変わり、今やスマホがゲーム機の役割を果たすために、昔よりもゲームをしている時間は長くなっているようです。

 そんな時に、親に言われたあの言葉を思い出すと、いまの自分は昔より馬鹿になってしまっているのではないか……そんな不安にかられる人もいるかもしれません。とはいえ、そもそもゲームのしすぎで本当に馬鹿になってしまうのでしょうか?その実態を調べてみました。

ゲームで成績が落ちるデータは

 「ゲームをする習慣があると勉強時間が減って成績が落ちる」といわれがちですが、実はこれを裏付けるデータは「ない」ということはあまり知られていません。逆に、最近ではゲームをすることと成績の間には関係がないという研究結果が示されることも増えているのです。

 朝日新聞が2017年7月に行った調査によれば、「成績はいいと思う」「成績はまあまあいいと思う」と答えた小学生は、ゲームを禁止されている子どものうち93.3%、ゲームは許されている子どものうち94.9%と、大きな差は見られませんでした。また親側の意見を見てみても「成績はいいと思う」「成績はまあまあいいと思う」と答えたのは、ゲームOKの家庭の93.8%、ゲームNGの家庭の93.3%と同様の結果が得られています。

 また海外においても、コンピューターゲームが勉強の成果に与える影響を2年間にわたって調査した結果が発表されています。オーストリアの心理学者が行った研究では、1日に最大8時間ゲームをする子どもでも成績に与える影響はごくわずかしか見られなかったことが分かりました。

なぜゲームのやりすぎは悪と見なされるようになったのか

 ゲームのやりすぎと聞くと「脳の萎縮の原因になる」「暴力的なシーンのあるゲームをやると人格形成に影響を及ぼす」といった、マイナスイメージを持たれがちです。こうした印象が、ゲームのやりすぎ=悪という方程式を成り立たせているようですが、実はこちらも科学的な根拠があるわけではないのです。

 まず前者については、前頭葉が萎縮する症状は依存症患者に見られるもの。つまり、ゲームにのめりこみすぎて日常生活を送るのが困難である、ゲームがないとイライラしてしまうといった、ゲーム依存症の域まで達してしまうと、脳に影響を及ぼす可能性が出てくるということです。そのため、ゲームのやりすぎは脳の萎縮の原因にならないと断言はできませんが、日常生活の娯楽の一部として楽しんでいる分には影響は出ないといえるでしょう。

 後者については海外のいくつかの調査で、暴力的な内容を含むゲームをプレイすることと、子どもの性格が攻撃的になることは無関係である結果が出ています。事件を起こした人物がアニメやゲームが好きだったことで、その影響を取り沙汰されることも多いですが、これは科学的根拠よりも世間の偏見によるところが大きいのです。

プロゲーマーの中には高学歴の人も

 普段の生活で長い時間をゲームに費やしながら、東大合格を果たした人もいます。現在プロゲーマーとして活躍するときどさんは、朝日新聞のインタビューで「受験前でもゲームをしていたし、ゲームをしていたから東大に合格できた」と語っています。ときどさんによれば、ゲームで強くなりたいという気持ちから、どうすれば効率的に勝てるのを考える思考が身についたというのです。受験も同じで、いかに効率的に東大に合格するか、ということだけを考えて勉強していたというのです。

 「ゲームは頭の善し悪しに影響を与えるのか」に対する答えとしては「過度でなければ問題ない」というのが最近の風潮になっているといえるでしょう。場合によっては教材としてゲームが使われることも増えてきています。プロゲーマーという職業が成り立ち、ゲームを競技としてとらえたeスポーツが台頭していく時流の中で、ゲームの立ち位置はこれからも変わっていくのかもしれません。

<参考サイト>
・GameSpark:ゲームのやりすぎは子供の学力に「少しだけ」影響する?海外研究結果
https://www.gamespark.jp/article/2018/09/19/83885.html
・朝日新聞:ゲーム毎日8時間、東大も攻略 プロゲーマーときどさん
https://www.asahi.com/articles/ASHDT65D6HDTUEHF00T.html
・Nomark-Log:ゲームをやりすぎると、脳はどうなるのか?【ゲームは何時間まで?】
https://no-mark.jp/liveescape/game-time.html
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