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「一途な人」ってどんな人?その特徴とは
浮気者が嫌われるのは世の常ですが、昨今の過剰といえるほどの不倫報道やバッシングを見ると、浮気者の反対となる「一途な人」の需要が高まっているのではないかと感じます。
「一途」には、「一つの事柄に向ってひたむきに打ち込む」「一つの方法や方針を信じてひたすらに取り組む」というような意味があります。このことを踏まえながら、今後ますます求められると思われる「一途な人」の特徴について、探ってみたいと思います。
「一途な人」はその特性から、「長期的な計画や戦略に取り組める(または取り組みやすい)」と考察することができます。この特性は素晴らしい長所となります。なぜなら大前提として、なにかをやり遂げたり、それ以前になにかをやり遂げるためのスキルや能力を手に入れたりするためには、一定以上の時間をかけて練習や訓練や準備などに取り組む必要があります。そのため長期的に取り組める人は、やり遂げることや成功する確率が飛躍的に向上するからです。
しかも長期的な計画や戦略の取り組みの過程そのものにおいても、多くの人に「真面目だ」「頑張っている」「一所懸命でよい」など好感を持たれやすくなります。そのため、例えば職場であればビジネスパーソンとして、地域社会であれば社会人としてなど、「組織内での評価が高まり信頼を得る可能性が増える」ことも予想されます。
ただし、このようなせっかくの長所も、いきすぎると「融通が利かない」「臨機応変に対応できない」「軌道修正を図れない」といった短所となってしまいます。そうなると組織内では厄介者となったり敬遠されてしまったり、なによりも自身の人生が暗く辛い、我慢と義務感だけの日々となってしまいます。
「一途な人」は一つのことにひたむきに、しかも長期的に取り組める能力が高いことから、好きなモノやコト、そして人に対して「愛着心を形成したり育んだりしやすい」と考えられます。愛着心は適切に形成し、よりよく育むことによって、例えば対象が人であるなら信頼関係の礎や強化となり、コトであるなら継続して続けることでスキルアップを、モノであるなら物持ちがよくなり流行に惑わされないなど、社会面や経済面でも多くのメリットを与えてくれます。
しかしこのすばらしい心理特性も、やはり度を越すと執着心や妄念へと変質し、大きなデメリットとなります。「執着心や妄念に囚われてしまう」と、モノにこだわりすぎたり人を束縛したり、最悪な場合はストーカーのような加害者となって自分だけでなく被害者をも苦しめる事態を引き起こしてしまいます。
以上のように考察していくと、「一途」というすばらしい特性であっても、やはり正しい自己認識と適切な自身へのチェックとフィードバック、そして節度が必要となることがみえてきます。
作家の橘玲氏は、「進化心理学では、身体的な特徴と同様に、人間の心理(こころ)も進化の過程のなかでつくられたと考える」と述べています。たとえば「愛」は「子孫を残すためにつくられた感情」であり、精子の放出にほとんどコストのかからない男は乱交型の進化戦略を、受精から出産・授乳を含む子育てに至るまで多大なコストがかかる女は純愛型の長期志向の進化戦略を望むとしています(『(日本人)』)。
さらに橘氏の論を一歩進め、明治大学教授で認知科学や科学基礎論などを研究する石川幹人氏は、人間は子どもの養育に手間がかかるようになり子孫を残すために働かなければならなかったことと、男は自分の子どもと思っていても他人の子どもを養育するおそれがあるため、それらの負担とおそれを軽減するためにも一夫一妻制をとるようになったとしています(『人は感情によって進化した』)。同様にメンタリストのDaiGo氏も、「なぜ男性が一途になったのかというと(進化心理学的に)子孫が残しやすかったから」と述べています(心理学的「恋愛相談」)。
以上のように進化心理学の視点からみると、「女は生殖戦略的観点から生得的に一途(純愛型)である」一方、「男は生殖戦略的には乱交型がベストであるが、子どもの養育自体に手間がかかるようになったので子孫を残す確率を上げるために、一途(純愛型)を進化の過程で学習した」といえるのではないでしょうか。
多様化し複雑化する現代において価値観や幸福感は変化し、同時に価値観や幸福感といった観念や心情までもが意識されたり認識されたりするようになってきました。他方それらと並行して、連綿と脳も心も体も進化し、変化しつづけています。男女問わず「一途な人」こそが、厳しい環境にも進化しつつ適合し「幸福度の高い人生」という新たな進化の目的に、一歩リードしてせまっているのかもしれません。
「一途」には、「一つの事柄に向ってひたむきに打ち込む」「一つの方法や方針を信じてひたすらに取り組む」というような意味があります。このことを踏まえながら、今後ますます求められると思われる「一途な人」の特徴について、探ってみたいと思います。
人生への取り組み姿勢に影響大?
まずは、「一途な人」の物事への取り組み姿勢について、考えてみたいと思います。「一途な人」はその特性から、「長期的な計画や戦略に取り組める(または取り組みやすい)」と考察することができます。この特性は素晴らしい長所となります。なぜなら大前提として、なにかをやり遂げたり、それ以前になにかをやり遂げるためのスキルや能力を手に入れたりするためには、一定以上の時間をかけて練習や訓練や準備などに取り組む必要があります。そのため長期的に取り組める人は、やり遂げることや成功する確率が飛躍的に向上するからです。
しかも長期的な計画や戦略の取り組みの過程そのものにおいても、多くの人に「真面目だ」「頑張っている」「一所懸命でよい」など好感を持たれやすくなります。そのため、例えば職場であればビジネスパーソンとして、地域社会であれば社会人としてなど、「組織内での評価が高まり信頼を得る可能性が増える」ことも予想されます。
ただし、このようなせっかくの長所も、いきすぎると「融通が利かない」「臨機応変に対応できない」「軌道修正を図れない」といった短所となってしまいます。そうなると組織内では厄介者となったり敬遠されてしまったり、なによりも自身の人生が暗く辛い、我慢と義務感だけの日々となってしまいます。
愛着か執着か。心の行き着く先は?
次に「一途な人」の心理特性、つまり「心のあり方」や「深層心理」を考察してみたいと思います。「一途な人」は一つのことにひたむきに、しかも長期的に取り組める能力が高いことから、好きなモノやコト、そして人に対して「愛着心を形成したり育んだりしやすい」と考えられます。愛着心は適切に形成し、よりよく育むことによって、例えば対象が人であるなら信頼関係の礎や強化となり、コトであるなら継続して続けることでスキルアップを、モノであるなら物持ちがよくなり流行に惑わされないなど、社会面や経済面でも多くのメリットを与えてくれます。
しかしこのすばらしい心理特性も、やはり度を越すと執着心や妄念へと変質し、大きなデメリットとなります。「執着心や妄念に囚われてしまう」と、モノにこだわりすぎたり人を束縛したり、最悪な場合はストーカーのような加害者となって自分だけでなく被害者をも苦しめる事態を引き起こしてしまいます。
以上のように考察していくと、「一途」というすばらしい特性であっても、やはり正しい自己認識と適切な自身へのチェックとフィードバック、そして節度が必要となることがみえてきます。
進化心理学から男女の「一途」を考える
ところで「一途な人」とそうでない人の違いに理由はあるのでしょうか。「人それぞれの性格だ」と言ってしまえばそれまでかもしれませんが、ここでは一つの視点として、進化心理学を通して「一途」をみてみたいと思います。作家の橘玲氏は、「進化心理学では、身体的な特徴と同様に、人間の心理(こころ)も進化の過程のなかでつくられたと考える」と述べています。たとえば「愛」は「子孫を残すためにつくられた感情」であり、精子の放出にほとんどコストのかからない男は乱交型の進化戦略を、受精から出産・授乳を含む子育てに至るまで多大なコストがかかる女は純愛型の長期志向の進化戦略を望むとしています(『(日本人)』)。
さらに橘氏の論を一歩進め、明治大学教授で認知科学や科学基礎論などを研究する石川幹人氏は、人間は子どもの養育に手間がかかるようになり子孫を残すために働かなければならなかったことと、男は自分の子どもと思っていても他人の子どもを養育するおそれがあるため、それらの負担とおそれを軽減するためにも一夫一妻制をとるようになったとしています(『人は感情によって進化した』)。同様にメンタリストのDaiGo氏も、「なぜ男性が一途になったのかというと(進化心理学的に)子孫が残しやすかったから」と述べています(心理学的「恋愛相談」)。
以上のように進化心理学の視点からみると、「女は生殖戦略的観点から生得的に一途(純愛型)である」一方、「男は生殖戦略的には乱交型がベストであるが、子どもの養育自体に手間がかかるようになったので子孫を残す確率を上げるために、一途(純愛型)を進化の過程で学習した」といえるのではないでしょうか。
「一途な人」は最終的に幸福になれるのか?
長期的な計画や戦略に取り組めたり、愛着心を形成したり育んだり、はてはパートナーを得やすかったり子育てをしやすくなったりと、「一途な人」にはたくさんのベネフィットがあるように思います。そして、寿命が長くなった現代において、たとえ時間がかかったとしても良質な人間関係を構築する可能性の高い「一途な人」こそ、最終的に幸福になる確率が高いともいえます。多様化し複雑化する現代において価値観や幸福感は変化し、同時に価値観や幸福感といった観念や心情までもが意識されたり認識されたりするようになってきました。他方それらと並行して、連綿と脳も心も体も進化し、変化しつづけています。男女問わず「一途な人」こそが、厳しい環境にも進化しつつ適合し「幸福度の高い人生」という新たな進化の目的に、一歩リードしてせまっているのかもしれません。
<参考文献・参考サイト>
・『(日本人)』(橘玲著、幻冬舎文庫)
・『人は感情によって進化した』(石川幹人著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・心理学的「恋愛相談」 ~あいまいな関係から抜け出す方法から、モテるしぐさや服装まで
https://www.youtube.com/watch?v=k89uegMr_ZM&t=207s
・『(日本人)』(橘玲著、幻冬舎文庫)
・『人は感情によって進化した』(石川幹人著、ディスカヴァー・トゥエンティワン)
・心理学的「恋愛相談」 ~あいまいな関係から抜け出す方法から、モテるしぐさや服装まで
https://www.youtube.com/watch?v=k89uegMr_ZM&t=207s
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