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冷え性は危険?あなたに合った冷え対策は
なぜ冷え性になってしまうのか
寒さが本番になると、多くの人を悩ませる冷え性。大手お菓子メーカー・グリコが18歳から25歳までの女性97人に実施したアンケートによると、「冷えを感じることがある」と回答した人は74%にのぼりました。その中でも「部分的に冷える」と感じる人が67%を占めており、冷えを感じる部分で多かったのは39%が回答した「足先」、38%が回答した「手先」でした。実際に、このような症状に悩んでいる方は多いですよね。また、夏でも冷房の効きすぎで冷えてしまい、1年中冷え性とつきあっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。冷え性は体温が極端に低い「低体温」とは異なる症状です。冷え性だと低体温になりやすい傾向はありますが、体温自体には問題がないことも多いです。むしろ体温に問題を起こさないための反応といえるでしょう。人間の体は臓器が集中する中心部分の体温を、生命活動に必要な酵素が働きやすい37℃に保つよう調節しています。このため、寒いときには足先や手先の血管を収縮させて、なるべく熱の放出を抑えます。そうすると足先や手先には体内の代謝で温められた血液が行き渡らなくなり、冷え性になってしまうというわけです。
つまり、冷え性の主な原因は血行不良。女性に冷え性が多いのは、男性と比較して基礎代謝が低く、血液を循環させる力も弱いからです。しかし、最近は冷え性に悩む男性も増えているといわれます。これには寒さだけでなく、デスクワークによる運動不足や仕事のストレスによる血行不良も関係していると考えられています。
たかが冷え性とあなどってはいけない
足先や手先が冷えてつらい冷え性ですが、「寒いときの一時的なもので命にはかかわらない」と軽く見られがちなのも事実。ところが、原因となる血行不良には深刻な症状が隠れている可能性もあります。実は、西洋医学では血行不良を病気とは考えていません。これに対し、東洋医学では「瘀血(おけつ)」という病気の扱いをしています。瘀血とは「血液が流れにくい、詰まる、その結果出血する」症状の呼び名で、「瘀血は百病の源」ともいわれるほど。瘀血によって引き起こされる症状には冷え性のほか肩凝りや高血圧、さらに脳卒中まで含まれており、「たかが冷え性」と甘く見てはいけないのです。
血液は全身に酸素や栄養素を配達し、老廃物を回収するという重要な役割を担っています。瘀血はこのサイクルに問題がある状態です。必要なものが来ないうえに不要なものが溜まってしまえば、「百病」が引き起こされても不思議はありませんよね。冷え性になっているなら、すでにこの危険性と無縁ではないと自覚することが大切です。特に舌が紫っぽかったり、顔色がどす黒かったり、女性なら生理の経血が黒ずんでいたり、かたまり状のものが混ざったりする場合は瘀血を疑ってよいでしょう。
手軽な冷え対策で血行促進を
それでは瘀血を改善して冷え性を克服する方法はあるのかというと、もちろんあります。簡単にできるものをご紹介しますので、ぜひ生活に取り入れて冷え知らずの体になってください。なんといっても手軽で効果的なのは、体を温めることです。このとき大切なのは、血流が多い部分を温めること。筋肉が大きくたくさんの血液が行き交う太腿、腰、お腹、お尻を温めると、結果的に温まった血液が冷えた足先や手先まで届くようになります。太腿にはひざ掛けをかけて、膝の裏側まで巻き込むとよいでしょう。腰やお腹には使い捨てカイロや腹巻、お尻には下着の重ね着や毛糸のパンツの活用がおすすめです。また、せっかく温まった熱を逃がさないように靴下やストッキングで末端をガードすることもお忘れなく。
温かい食べ物も、すぐに取り入れやすい冷え対策です。片栗粉などでとろみをつけたあんかけのメニューや、シチューのように冷めにくい料理を選びましょう。体を温める効果がある生姜や根菜類を積極的に食べるのもよい方法です。
このほかにもお風呂にゆっくりつかったり、軽い運動をしたりすると血行が促進されて足先や手先まで温まります。しっかりと全身に血液を行き渡らせて、冷え性知らずの快適な冬を過ごしてください。
<参考サイト>
・グリコ “冷え”について
http://www.glico.co.jp/laboratory/health_science/hesperidin/hesperidin04.html
・花王 温め方いろいろ!自分に合った方法で冷えを解消【健康豆知識】
https://healthcare.kao.com/main_post/mame1/
・グリコ “冷え”について
http://www.glico.co.jp/laboratory/health_science/hesperidin/hesperidin04.html
・花王 温め方いろいろ!自分に合った方法で冷えを解消【健康豆知識】
https://healthcare.kao.com/main_post/mame1/
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