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DATE/ 2019.08.07

東京五輪中の電車通勤は地獄?都が取る対策は?

 東京オリンピック・パラリンピックまで1年を切りました。開催されるのは2020年7月24日から8月9日です。日本を訪れる人の数は年々増加し、開催期間中には約1,000万人が訪れるという予想もでています。また、2020年の訪日客数は最終的に4,000万人に達すると想定されています。

 こうなると気になるのは、交通機関の混雑です。都内の通勤電車では、日頃から激しい混雑が続いていますが、果たして五輪期間中はどうなるのでしょうか。

「スムーズビズ」で乗り切れるか

 東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会は、東京都や国と共に「2020TDM推進プロジェクト」を立ち上げています。TDMとはTransportation Demand Managementの略で、「交通需要の調整」といった意味です。内容としては、交通需要の平準化(混雑の分散)、自転車利用の環境の整備(シェアサイクルの活用)といったことを目指しています。

 東京都は、時差出勤(時差ビズ)、在宅勤務(テレワーク)といった働き方と合わせて、これら一連の取り組みを「スムーズビズ」として推進しようとしています。

駅や電車は非常に激しい混雑の予想

 多くの人が影響を受けるのは、通勤時の鉄道での混雑かと思われます。

 「大会輸送影響度マップ(路線・駅)」を見ると、通勤の時間帯は特定の駅や路線でかなり混雑しそうです。駅では五輪メイン会場あたりの国立競技場駅や千駄ヶ谷駅、外苑前駅、青山一丁目が、まず混雑する予想に。その他、お台場海浜公園駅や有明テニスの森駅、大井競馬場前駅といった海沿いのエリア、加えて有楽町駅あたりも混雑する予想です。路線では、中央線、半蔵門線・銀座線、総武快速線、京葉線が混雑の予想。路線の混雑状況を大きく見ると、おおよそ新宿や代々木エリアから国立競技場、新小岩から有楽町、西船橋から新木場といったルートが混雑の中心になるようです。

 こういった状況を受けて、東京都は、大会期間中に夏季休暇を取得することや、時差出勤を認めるなどの協力を企業に求めています。実際に東京都職員に加え、アサヒビール、味の素、JR東日本、JTB、全日本空輸、東京ガスなど、オリンピックのスポンサー企業が参加して、テレワークや時差出勤、などの試みが行われています。同時に、東京地下鉄(東京メトロ)では日比谷、半蔵門、南北の3線でラッシュ時間帯前に臨時列車を運行しました。7月の実験開始から4日で、最大2%から5%の混雑率低下につながっています。

「スムーズビズ」はもっとアピールを

 ここまでの経過をみると、たしかに「スムーズビズ」は一定の効果を生みそうです。問題点としては、「スムーズビズ」の取組が一般の鉄道利用者にあまり知られていない点ではないでしょうか。この取組をもっと多くの人が知れば、「スムーズビズ」への参加企業は増えるかも知れません。この点は、今回の実験を元に大きくアピールされることを期待します。

 このオリンピック期間の混雑は、こういったイレギュラーなときに私達がどのような行動を取りうるのか、そのシミュレーションと考えていいのかもしれません。日本では災害に備えた街のあり方がたえず模索されています。オリンピックでの交通の問題は、わたしたちが柔軟に経済活動を行うためのシステム作りの機会だと思ってはどうでしょうか。混乱下でなくとも、「スムーズビズ」がうまく定着すれば、私たちの生活自由度はもっと上がる気がします。

船通勤もアリ!?

 ちなみに、船を通勤手段として活用する実験もあります。実験は2019年7月24日から8月2日の8日間、エリアは中央区の晴海地区にある「朝潮運河の船着き場」から「日本橋の船着き場」の間で行われました。片道の所要時間は30分から40分程度です。この区間を電車で移動すると「勝どき駅」から「三越前駅」で約20分、バスだと約30分。電車よりはやや時間はかかりますが、夏の早朝の時間帯に船で風を切って通勤するというのも、なかなか得難い経験です。

 いつもと違う風景、いつもと違う空気を吸いながら仕事に向かえば、なにか新しい発見も生まれるかもしれません。

<参考サイト>
・スムーズビズ|東京都
http://www.toshiseibi.metro.tokyo.jp/bunyabetsu/kotsu_butsuryu/smooth_biz.html
・交通需要マネジメント(TDM)とは|東京都環境局
http://www.kankyo.metro.tokyo.jp/vehicle/management/tdm.html
・大会輸送影響度マップ|東京都オリンピック・パラリンピック準備局
https://2020tdm.tokyo/map/
(10MTV編集部)

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