10MTVオピニオン|有識者による1話10分のオンライン講義 ログイン 会員登録
DATE/ 2019.09.07

外国人観光客に人気の「お土産」とは?

 円安トレンドが定着し始めた2013年ごろから、全国各地で訪日外国人観光客(インバウンド)を目にする機会が増えるようになりました。特に人気の観光地やアクセスもよく魅力的な施設も多数ある都市部では、毎年多くの外国人観光客が訪れています。

 外国人観光客の大きな目的と楽しみの一つに、日本ならではの「お土産」の購入があります。ではどんな「お土産」が人気なのでしょうか。データからみていきたいと思います。

日本観光の一番の目的は“お買い物”!?

 観光庁の発表した「訪日外国人消費動向調査(2018年)」によると、2018年の訪日外国人旅行消費額は総額で4兆5,189億円と推計されています。

 そして、訪日外国人旅行消費額を費目別割合が多い順にみていくと、
1)「買物代」15,763億円(34.7%)
2)「宿泊費」13,312億円(29.3%)
3)「飲食費」9,783億円(21.7%)
4)「交通費」4,674億円(10.4%)
5)「娯楽等サービス費」1,738億円(3.8%)
6)「その他」20億円(0.0%)

――となっています。

 この結果からは買物代の支出が一番多いこと、ひいては日本観光の大きな目的に「お土産」の購入があることがみえてきます。

 ところで、具体的には、どんな「お土産」が人気なのでしょうか。

 同じく「訪日外国人消費動向調査(2018年)」での“費目別の購入率(その費目を購入した人の割合)”のベスト5は、
1)「菓子類」(68.0%)
2)「化粧品・香水」(41.6%)
3)「医薬品」(36.4%)
4)「衣類」(35.5%)
5)「その他食料品・飲料・たばこ」(34.9%)

――となっています。

人気のお菓子は“抹茶味”と“地域限定”?

 さて、外国人観光客に人気の「お土産」第1位は、「菓子類」ということがわかりました。では、具体的にはどのような「菓子類」が人気なのでしょうか。ここでは二つのキーワード、“抹茶味”と“地域限定”からみてみたいと思います。

 まずは“抹茶味”です。京都の宇治や愛知の西尾といった抹茶ゆかりの地域のお菓子はもちろん大人気ですが、それだけにとどまることなく、江崎グリコ、カルビー、森永製菓、明治、ブルボン、不二家といった大手菓子メーカーをはじめ、チョコレート系、クッキー系、ソフトケーキ系、スナック系などあらゆる定番商品の“抹茶味”バージョンが販売され、「お土産」の大ヒット商品になっています。

 次は“地域限定”です。前述しているような大手菓子メーカーはもちろんですが、それだけでなく各地の菓子メーカーが地域の名産品を取り入れた、“地域限定”のご当地スイーツも人気です。その中には、小豆・ほうじ茶・酒粕など、“和素材”を用いたものも多数あり、こちらも好評です。

 なお、これらの「菓子類」は、観光地の売店や空港の免税店だけでなく、コンビニエンスストアやドラッグストア、スーパーマーケットや百貨店・デパートなどあらゆる場所で販売されています。特にコンビニエンスストアは、外国人観光客に最も利用される買物施設であるため、より多くの人が手にとったり購入したりしているかもしれません。

“機能性化粧品”と“高品質な医薬品”はマストバイ!

 一方、「化粧品・香水」の中では、アンチエイジングやホワイトニングといった効果をねらい薬用成分などの配合を強化した、“機能性化粧品”の人気が拡大し続けているといいます。特に、美白を好む東アジア圏の外国人観光客の人気が高くなっているといわれています。

 例えば、歌舞伎柄やアニメキャラクターとのコラボなどもあり、以前から「お土産」として人気のフェイスマスクですが、ヒアルロン酸や生コラーゲンなど“機能性”を盛り込んだ商品も増えています。

 ほかにも、薬用リップクリーム、UVケア商品、目薬、湿布薬など、日常使いの高品質な化粧品や医薬品なども、マストバイアイテムとなっているようです。

 なお、「化粧品・香水」や「医薬品」は、ドラッグストアや家電量販店などでまとめ買いされることも多い商品です。大手をはじめ化粧品メーカーや家電量販店は、外国人観光客の「お土産」購入のおかげで売上を伸ばしています。

「お土産」の未来。増加?それとも多様化?

 2003年から日本政府によって推進されてきた「訪日旅行促進事業(ビジットジャパン事業)」では、「訪日外国人3000万人プログラム」を掲げて2020年までに2500万人を目指していましたが、めでたいことに2018年時点で、訪日外国人は3000万人を突破しました。

 そこで改めて「2020年訪日外国人4000万人」を目標に掲げ、
1)戦略的な訪日プロモーションの実施
2)グローバルキャンペーン等の先進的なプロモーションの実施
3)ICT・ビックデータ等の分析・活用による個人の関心にあわせた情報の発信

――などを強化しています。

 今後、さらに多くの外国人観光客が日本を訪れてくれたとき、より魅力的な「お土産」はあるのでしょうか。

 売れ筋の「お土産」には、中身だけでなくパッケージや販売方法にも、さまざまな工夫や魅力がつまっていることが、データからみえてきました。

 訪れる人の文化から求めるもの、日本の文化から提供できるもの。それらがうまく交差したときに、人気商品が誕生しているようにうかがえます。近未来の人気の「お土産」のヒントは、新たな視点からの前向きな相互理解から、生まれてくるのかもしれません。

<参考文献・参考サイト>
・「円高リスク インバウンド減で地方観光に打撃 日本企業の国内回帰もストップ (為替で読む 世界経済) -- (ドル・円の正体)」、『エコノミスト』(2018年3月13日号、宮嵜浩著、毎日新聞出版)
・訪日外国人消費動向調査│観光庁
http://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/syouhityousa.html
・訪日外国人の消費動向 2018年 年次報告書
http://www.mlit.go.jp/common/001285944.pdf
・株式会社 True Data プレスリリース
https://www.truedata.co.jp/news/pressrelease
・お菓子のインバウンド消費額は1,589億円!?「外国人観光客×お菓子」の関係を数値から見る
https://honichi.com/news/2018/10/23/inboundxsnacks/
アンチエイジング、ホワイトニングなどのスキンケアが好調 機能性化粧品の国内市場を調査
http://www.group.fuji-keizai.co.jp/press/pdf/190212_19011.pdf
・「注目セクター 個人・訪日客消費 中国「爆買い新規制」の影 10月消費増税も懸念材料 (大変調 企業決算)」、『エコノミスト』(2019年3月5日号、河野圭祐著、毎日新聞出版)
・「訪日旅行促進事業(ビジットジャパン事業)」、『イミダス2018』(鈴木勝著、集英社)
・訪日外国人旅行者数、初の3,000万人突破!
https://www.jnto.go.jp/jpn/news/press_releases/pdf/181219.pdf
・訪日旅行促進事業(訪日プロモーション)
https://www.mlit.go.jp/kankocho/shisaku/kokusai/vjc.html
(10MTV編集部)

あわせて読みたい