社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
中国人が困った「日本のマナー」とは?
旅行や国際的なイベントのために来日する人も多いようです。また労働市場では、より高いスキルや国際的な業務経験を持つ人材を求めて、積極的に海外の人材を採用する場面も増えています。なかでも中国からの来日者数はかなり多いようです。こういった場面で話に挙がってくるのがマナーの違い。今回は、日本人にとってのマナーが中国の人たちにどのように受け取られているのか、少し見てみましょう。
具体的に、戸惑いのポイントはどういうところなのでしょうか。一つには日本での「お礼文化」に関してのものがあるようです。オズマピーアールの記事では同社で働く二人の中国人へのインタビューが掲載されています。これによると「中国人はおごってもらっても基本的にお礼は言わない」とのこと。日本では建前的なやり取りとして、お礼は必要と考える人が多いと思いますが、実際に日本でのこの習慣を中国でやってしまった時「せっかく食事をして距離が縮まったと思ったのにと怒られたことがある」そうです。中国での人間関係では「距離の近さ」が重要ということのようです。たしかに、日本人でもこの感覚の方が、気持ちが楽という人もいるかもしれません。ここはなかなか面白い感覚の違いです。
このあたりもかなり大きなギャップとなりそうです。インタビューによると、「面子を潰された」ということは、そのまま会社を辞める理由になるとのこと。それだけ中国人は自分があってこそ、という意識が強いと言えるでしょう。これに対して日本では、自分の主張はあっても、これを通そうと思ったら、自分の主張をどれだけ抑えながらうまく立ち振る舞うかということが大事になります。うまく立ち振る舞うことのうちには根回しが大事になってきたりするので、面倒ではあります。
同じものを見て、同じような経験をしてきた人間であれば、自ずと相手の思考や心情を察知できます。つまり、「空気を読む」ことも可能でしょう。このような強い同質性がこれまでの日本の特徴でした。しかしこの先の少子化社会では、旧来の日本の文化的背景を持って生まれ育つ人間の数は減少します。日本がいつまでもこの同質性を維持することに腐心していれば、外側からの理解を得ることはより難しくなります。それよりも、どうすればより他者に明確に自分の意思や意図を伝えられるか、という発想でその方法を磨くほうが、この先の社会では有効な能力になるのではないでしょうか。外国人のマナーを知ることは、その人たちが何を大事にしているのかを知ることです。これは他者とつながるための第一歩かも知れません。
お礼に対する違和感
国内や海外での総合的なPRを手掛ける株式会社オズマピーアールは在日中国人女性プラットフォーム「一般社団法人美ママ協会」の会員を対象に日本のマナーや習慣に関する調査を行っています。これによると、日本に住む中国人の6割が「初来日時に日本のマナーや習慣に戸惑った」と回答しているそうです。また、「初来日時に日本でのマナーや習慣について人に尋ねたことがあるか」という質問に対して、「あてはまる」「ややあてはまる」と回答した人は合わせて75.7%。同社の分析では、訪日中国人のマナーについて注目が集まる一方で、訪日する側の中国人自身も、日本でのマナーや習慣を気にしているとのこと。具体的に、戸惑いのポイントはどういうところなのでしょうか。一つには日本での「お礼文化」に関してのものがあるようです。オズマピーアールの記事では同社で働く二人の中国人へのインタビューが掲載されています。これによると「中国人はおごってもらっても基本的にお礼は言わない」とのこと。日本では建前的なやり取りとして、お礼は必要と考える人が多いと思いますが、実際に日本でのこの習慣を中国でやってしまった時「せっかく食事をして距離が縮まったと思ったのにと怒られたことがある」そうです。中国での人間関係では「距離の近さ」が重要ということのようです。たしかに、日本人でもこの感覚の方が、気持ちが楽という人もいるかもしれません。ここはなかなか面白い感覚の違いです。
人前で怒られることの違和感
名刺を渡す際などに自己紹介することがあると思います。日本では、まず組織があってそこに所属している一人です、という名乗り方をするでしょう。これに対して中国でのビジネスマンは、まず人が先に立つということのようです。中国では自分が会社に力を貸している、という考え方があるようです。また、中国人は面子を大事にするので、ミスをした社員をみんなの前で上司が叱ることはないとのこと。中国では同僚の目を避け、個室に呼び出して注意するそうです。このあたりもかなり大きなギャップとなりそうです。インタビューによると、「面子を潰された」ということは、そのまま会社を辞める理由になるとのこと。それだけ中国人は自分があってこそ、という意識が強いと言えるでしょう。これに対して日本では、自分の主張はあっても、これを通そうと思ったら、自分の主張をどれだけ抑えながらうまく立ち振る舞うかということが大事になります。うまく立ち振る舞うことのうちには根回しが大事になってきたりするので、面倒ではあります。
「空気を読む」は必要か
マナーとは、相手を不快にさせないための作法、と言ってもいいでしょう。ですが、こういった作法はその個人の所属している文化によって変化します。だからこそこういったマナーはズレがあって当然と言えます。日本人はよく「空気を読む」と言います。これは、さまざまな情報をまとめて状況を察し、配慮して言葉や振る舞いを選べ、ということかと思われます。日本でのマナーは、この「空気を読む」ことと強く関係しています。同じものを見て、同じような経験をしてきた人間であれば、自ずと相手の思考や心情を察知できます。つまり、「空気を読む」ことも可能でしょう。このような強い同質性がこれまでの日本の特徴でした。しかしこの先の少子化社会では、旧来の日本の文化的背景を持って生まれ育つ人間の数は減少します。日本がいつまでもこの同質性を維持することに腐心していれば、外側からの理解を得ることはより難しくなります。それよりも、どうすればより他者に明確に自分の意思や意図を伝えられるか、という発想でその方法を磨くほうが、この先の社会では有効な能力になるのではないでしょうか。外国人のマナーを知ることは、その人たちが何を大事にしているのかを知ることです。これは他者とつながるための第一歩かも知れません。
<参考サイト>
・【中国人が困る日本のマナーや習慣に関する調査】|OZMAPR
https://ozma.co.jp/globalcommunication/news-20190722/
・外国人が日本で働くために必要なスキルと手続ガイド|To Creator
https://www.dsp.co.jp/tocreator/all/career-all/foreign-workers/
・【中国人が困る日本のマナーや習慣に関する調査】|OZMAPR
https://ozma.co.jp/globalcommunication/news-20190722/
・外国人が日本で働くために必要なスキルと手続ガイド|To Creator
https://www.dsp.co.jp/tocreator/all/career-all/foreign-workers/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
分断進む世界でつなげていく力――ジェトロ「3つの役割」
グローバル環境の変化と日本の課題(5)ジェトロが取り組む企業支援
グローバル経済の中で日本企業がプレゼンスを高めていくための支援を、ジェトロ(日本貿易振興機構)は積極的に行っている。「攻めの経営」の機運が出始めた今、その好循環を促進していくための取り組みの数々を紹介する。(全6...
収録日:2025/01/17
追加日:2025/04/01
最悪10メートル以上海面上昇…将来に禍根残す温暖化の影響
水から考える「持続可能」な未来(1)気候変動の現在地
今や世界共通の喫緊の課題となっている地球温暖化。さらに、日本国内の上下水道など、インフラの問題も、これから大きな問題になっていく。地球環境からインフラまで、「持続可能」な未来をどうつくっていくのかについて、「水...
収録日:2024/09/14
追加日:2025/03/06
なぜやる気が出ないのか…『それから』の主人公の謎に迫る
いま夏目漱石の前期三部作を読む(5)『それから』の謎と偶然の明治維新
前期三部作の2作目『それから』は、裕福な家に生まれ東大を卒業しながらも無気力に生きる主人公の長井代助を描いたものである。代助は友人の妻である三千代への思いを語るが、それが明かされるのは物語の終盤である。そこが『そ...
収録日:2024/12/02
追加日:2025/03/30
イーロン・マスクは何がすごい?生い立ちと経歴
イーロン・マスクの成功哲学(1)マスクが「世界一」になるまで
2022年、フォーブス誌が発表した世界長者番付の一位となったイーロン・マスク。テスラの電気自動車やスペースXのロケット開発などを通じ、革新的なイノベーションを実現してきたことで知られるマスクは、いかにして現在のような...
収録日:2022/06/22
追加日:2022/08/23
このように投資にお金を回せば、社会課題も解決できる
お金の回し方…日本の死蔵マネー活用法(6)日本の課題解決にお金を回す
国内でいかにお金を生み、循環させるべきか。既存の大量資金を社会課題解決に向けて循環させるための方策はあるのか。日本の財政・金融政策を振り返りつつ、産業育成や教育投資、助け合う金融の再構築を通した、バランスの取れ...
収録日:2024/12/04
追加日:2025/03/29