テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.10.29

日本の「旅行・観光競争力」は世界何位なのか?

 海外からの観光客の姿を見ることが、都心・観光地問わず珍しくなくなった今日この頃。日本への観光は人気が高まっていますが、実際に数値化してランキングするとどれくらいになるのでしょうか。

日本は世界で何位に位置するのか?

 今回指標とするのはWEF(世界経済フォーラム)が2年に一度発表している「旅行・観光競争力レポート」。この調査は「効果的な環境」「旅行・観光の政策と促進要件」「インフラ(社会基盤)」「自然・文化資源」の4分野14項目90指標を用いて、観光地としての魅力を数値化したもの。2019年版では140か国が対象となり、ランキングTOP10は下記の通りになっています。

第1位 スペイン
第2位 フランス
第3位 ドイツ
第4位 日本
第5位 アメリカ
第6位 イギリス
第7位 オーストラリア
第8位 イタリア
第9位 カナダ
第10位 スイス

 日本は140か国中第4位、アジアでは首位にランクイン。実はこの顔ぶれは前回2017年度ほぼ変わらず、前回も日本は同じ順位に位置していました。

日本が評価されている理由は?

 特に高く評価されたポイントは「安全・安心」「保健衛生」「ICT活用」「陸上の交通と港湾のインフラ」「文化的資源とビジネス旅行」の5項目。中でも「陸上の交通の利便性」では140か国中1位に輝き、安定した日本の交通インフラが高く評価されていることが分かります。時間通りの安定した運行、質の高いサービスは日本が誇るべきものといえるでしょう。

 14項目中もっとも高い評価を得たのが「文化的資源とビジネス旅行」の項目で、世界遺産の数では10位、口承・無形文化遺産の数では3位と、日本が文化的に恵まれていることがあらわれています。なかでも筆者が意外に思ったのは、大規模スポーツスタジアム数が140か国中3位だということ。バレーボールやラグビーW杯は日本各地で試合が開催されるのが当たり前と思っていますが、実はこれはとても恵まれたことなのかもしれません。

世界に開かれつつある日本

 6点以上のスコアにはならなかったものの、前回の調査と比べて評価された点に、海外からの観光客やビジネス客に対してオープンになっていることが挙げられます。2019年開催のラグビーW杯や2020年開催の東京五輪をきっかけに日本各地で世界中の人を迎える準備が進んでいますが、このことが評価されるのはとても喜ばしいことといえるでしょう。

 今後も国際化に伴って海外からの旅行客が増えることも想定される日本。上記の通り、海外からの旅行客を受け入れる準備は整いつつありますが、より日本への旅行を豊かにするには日本に暮らす私たちの意識も変わる必要があります。多くの海外からの観光客に日本を堪能してもらえるように、私たちひとりひとりがおもてなしの心を持てるようになれると良いですね。

<参考サイト>
・Travel & Tourism Competitiveness Index2019 edition|WEF
http://reports.weforum.org/travel-and-tourism-competitiveness-report-2019/country-profiles/?doing_wp_cron=1570152660.4085600376129150390625#economy=JPN
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパン…ピアノのことを知り尽くした作曲家の波乱の人生

ショパンの音楽とポーランド(1)ショパンの生涯

ピアニスト江崎昌子氏が、ピアノ演奏を交えつつ「ショパンの音楽とポーランド」を紹介する連続シリーズ。第1話では、すべてのピアニストにとって「特別な作曲家」と言われる39年のショパンの生涯を駆け足で紹介する。1810年に生...
収録日:2022/10/13
追加日:2023/03/16
江崎昌子
洗足学園音楽大学・大学院教授 日本ショパン協会理事
2

歴史のif…2.26事件はなぜ成功しなかったのか

歴史のif…2.26事件はなぜ成功しなかったのか

クーデターの条件~台湾を事例に考える(5)世直しクーデターとその成功条件

クーデターには、腐敗した政治を正常化するために行われる「世直しクーデター」の側面もある。そうしたクーデターは、日本では江戸時代の「大塩平八郎の乱」が該当するが、台湾においては困難ではないか。それはなぜか。今回は...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/17
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長
3

不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?

不動産暴落、大企業倒産危機…中国経済の苦境の実態とは?

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(7)不動産暴落と企業倒産の内実

改革開放当時の中国には技術も資本もなく、工場を建てる土地があるだけだった。経済成長とともに市民が不動産を複数所有する時代となり、地価は高騰し続けた。だが、習近平政権による総量規制は不動産価格を低下させ、消費低迷...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/10/16
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

学力喪失と「人間の理解」の謎…今井むつみ先生に聞く

編集部ラジオ2025(24)「理解する」とはどういうこと?

今井むつみ先生が2024年秋に発刊された岩波新書『学力喪失――認知科学による回復への道筋』は、とても話題になった一冊です。今回、テンミニッツ・アカデミーでは、本書の内容について著者の今井先生にわかりやすくお話しいただ...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/10/16