テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2019.11.29

便利だけど気をつけたい「サブスク」の罠

 サブスクリプション(定額制)サービスと聞いて何を思い浮かべるでしょうか。有名なところでは、動画のNetflix、音楽でのApple Music、雑誌ではdマガジンなどがあります。ほかにも、アマゾンプライムはショッピングから動画配信、音楽配信まで幅広く対応しているので、加入している人も多いのではないでしょうか。

概算で年間3万円強は使っているかもしれない

 さまざまなサービスがサブスクリプションに移行しています。比較的利用者が多いのは動画系のサービスではないでしょうか。はじめに挙げたNetflix以外にも海外ドラマに強いHulu、スポーツならDAZN、配信本数の多いU-NEXT、これらにdTVやアマゾンプライムビデオを加えたところがメジャーではないでしょうか。またYouTubeは基本的に無料ですが、さらにいくらか払えば、さらに使いやすい機能をいくつか備えたYouTubeプレミアムを利用することが可能です。

 またオンラインゲームサービスではNintendo Switch Online、PlayStation Networkといったものが代表的。さらに仕事で使うソフトでもサブスクリプションはメジャーになりつつあります。WordやExcelを代表とするMicrosoft OfficeやPhotoshopやIllustratorなどのAdobe社のデザイン用ソフトなどは、クラウド化と共にサブスクリプションに移行しています。また、Dropboxといったクラウドストレージも定額で容量を増やせます。

 挙げればきりがないサブスクリプションサービスですが、料金も一つ一つ見れば高くはありません。たとえば、Amazonプライムは500円/月、オリジナル作品の充実しているNetfilixはベーシックプランで800円/月、Apple Musicの個人向けプランは980円/月、dマガジンは400円/月となっています。ここで挙げたのは主に個人で利用する場合のプランです(税別・税込みの区別なし)。個別には安い事がわかったところで、これら各部門のサービスを全て利用したとして、年間で計算して概算をだしてみましょう。なお、Amazonは各部門にまたがっていますが、配送料などとして契約しているとします。

・Amazon(配送料他) 500円×12ヶ月=6,000円(年間プラン4,900円もあり)。
・Netflix(動画) 800円×12ヶ月=9,600円
・Apple Music(音楽) 980円×12ヶ月=11,760円
・dマガジン(雑誌) 400円×12ヶ月=4,800円
 合計32,360円(税別・税込みの区別なし)

状況によっては年間80,000円!?

 モデルケースを作って計算してみると年間32,360円となりました。これに個人のPCでOffice365 Soloを契約しているとすれば、12,744円/年がプラスされます。他にももっとHuluにしかない動画が見たい(プラス1,026円/月、12,312/年)、スポーツ番組が見たいからDAZNに契約(プラス1750円程度、21000円/年)、としていくと月間は安くとも、ここまで全て含めると、80,000円近くになります。月額と年額のイメージギャップが結構ある事がわかります。

 「年間9,600円で動画見放題!」と打ち出されるよりも、「毎月800円で動画見放題!」と言われたほうが圧倒的にお得な感じがします。しかし、両者は実は同じことを意味しています。このことは、商売をしている側からすれば、利用者に月額で安い印象を持ってもらいながら、安定的に収入がもたらされることを意味します。企業はサブスクリプションサービスをやる意義があるわけです。

「うまい売り方をしている」からこそ「計画的な利用を」

 このマジックは企業がズルをしているわけではありません。むしろ「うまい売り方をしている」と考えた方がいいでしょう。だからこそ、消費者であるわたしたちも意識していなければ、出費がかさみます。対策としては、使わないサービスは整理する必要があるでしょう。契約していれば、いつでも利用できるので便利ですが、本当に必要かどうか、ここ数ヶ月でどれだけ利用したか、よく考える必要はありそうです。

 ものによっては、無料の代用サービスもあります。たとえば、どうしてもMicrosoftのOfficeでなくとも、簡単な文書や計算ができればいいということであれば、Googleのサービスを使えば無料です。また、スポーツに強いDAZNの場合、シーズンオフは課金を中止することもできます。毎月の出費をいかに抑えるか、という細かい視点が大事です。サブスクリプションサービスに関しては、「ご利用は計画的に」という言葉を心においておくといいかもしれません。

<参考サイト>
・Netflix
https://www.netflix.com/jp/
・Hulu
https://www.hulu.jp/about
・DAZN
https://watch.dazn.com/ja-JP/sports/
・Amazon prime
https://www.amazon.co.jp/gp/video/offers/
・Apple Music
https://www.apple.com/jp/apple-music/features/
・dマガジン
https://magazine.dmkt-sp.jp/
・YouTube Premium
https://www.youtube.com/red
・Microsoft Office
https://products.office.com/ja-jp/buy/office
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」

なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」

AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(2)江藤淳の「リアリズムの源流」

文芸評論を再考するに当たり、江藤淳氏の「リアリズムの源流」を振り返ってみる。一般的に日本で近代小説が始まった起源は坪内逍遥だといわれるが、江藤氏はそれに疑問を呈す。そして注目したのが、夏目漱石の「坊ちゃん」であ...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/02
與那覇潤
評論家
2

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ

国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
小原雅博
東京大学名誉教授
3

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道

機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
木下康司
元財務事務次官
4

「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?

「イエス・キリスト」という名前の本当の意味は?

キリスト教とは何か~愛と赦しといのち(1)「イエス」とは一体誰なのか

キリスト教とは何か。「文明の衝突」が世界中で現実化する中、この問題は日本人にとっても重要なものになっている。上智大学神学部教授・竹内修一氏は、「キリスト教とは何か」という問いは、同時に「イエスとは誰なのか」も意...
収録日:2016/12/26
追加日:2017/02/28
竹内修一
上智大学神学部教授
5

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ

反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
柿埜真吾
経済学者