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DATE/ 2019.12.13

世界の都市総合力ランキング…日本の都市は何位?

 世界の競争力ランキング、幸福度ランキング、住みたい都市ランキングなど、国や都市を対象にした様々なランキングがありますが、毎年発表されている「世界の都市総合力ランキング」はご存知ですか。

 来年にオリンピックを控える東京、2025年に万博のある大阪の順位がとても気になるところですが、そもそもこのランキングはどのような評価基準で作られているのかということを含めて、分かりやすく解説していきます。

世界の都市総合力ランキングとは?

 「世界の都市総合力ランキング」(Global Power City Index、以下GPCI)は、森ビル系のシンクタンクである森記念財団都市戦略研究所が発表しています。研究所の所長は、小泉政権時の構造改革の旗振り役を務めたあの竹中平蔵氏です。

 GPCIは、「経済」「研究・開発」「文化・交流」「居住」「環境」「交通・アクセス」の6分野を評価し、世界の主要都市の「総合力」を順位付けしています。

世界のなかで東京はいったい何位?

 実際にランキングを見てみましょう。トップ5は次の5つの都市です。

1位:ロンドン
2位:ニューヨーク
3位:東京
4位:パリ
5位:シンガポール

 東京が3位にランクインしていますね。EU離脱騒動の渦中にある英国ロンドンが1位なのはすこし意外でしょうか。また、米国ニューヨークが上位なのは納得ですが、もう一つの大国である中国の都市がランクインしていないのも意外です。

 もうすこし虫の眼で見ると、やはりロンドンは前年に比べると今年は総合力のスコアを落とす結果に。とはいえ、8年連続で1位を獲得。ニューヨークはGDPや証券取引所の株式時価総額、スタートアップ環境などの指標で高評価を得て、「経済」と「研究・開発」の分野で1位でした。しかし、トランプ現象の影響でしょうか。「文化・交流」における外国人居住者数は過去3年間、減少傾向です。パリは、2015年の同時多発テロ以降、スコアが下落傾向でしたが、2024年のパリ五輪が決定した2017年以降は上向きつつあります。

大阪と福岡のランキング

 さて、東京は4年連続で3位を維持。しかしながら、ロンドン、ニューヨークと同様に、昨年と比べて総合スコアを落とす結果になりました。同じく4位のパリもスコアを落としていますが、東京とパリの間のスコア差は縮まりました。来年のオリンピック終了後には逆転される可能性もあります。

 東京は総合力は非常に高いものの、圧倒的に強い分野も極端に弱い分野もないバランス型の都市であることが特徴です。2025年に万博を控える大阪は、前回から一つランクを下げて29位。同じアジアでは北京が24位、上海が30位でした。

 大阪の次にランクインした日本の都市は福岡です。しかし、42位で前回の37位から大きく順位を下げました。メルボルンなど新たに4都市が評価対象として加わったことが影響していると思われます。

 東京はもしかするとオリンピックを迎える来年がピークになるかもしれませんが、大阪は万博開催に向けて「文化・交流」や、インフラ整備が進めば「交通」分野が今後伸びていく可能性があります。どのくらいまでランキングを駆け上がっていけるのか、期待が膨らみます。

<参考サイト>
・世界の都市総合力ランキング(GPCI) 2019
http://mori-m-foundation.or.jp/ius/gpci/2019.shtml
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授