テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.01.06

サラリーマンの「手ぶら出勤」はあり?なし?

 サラリーマンの通勤スタイルといえば、ダークなスーツに革靴、四角い革カバンだったのは昭和の話。平成になって業務のIT化が進むと同時に、スーツは徐々にカジュアル化、靴も実用的なスニーカーを選ぶ人が増え、両手の自由になるリュック姿で快適通勤の姿もよく見かけるようになりました。

 ところが、ここ数年、スマホの普及とともに、リュックすら持たない「手ぶら」のサラリーマンが増えていると言います。一体どういうことなのか、調べてみました。

カバンを持たない「手ぶら」派の言い分を聞いてみた

 街で「手ぶら」を実践している人を見かけると、一見「あれ? カバンを忘れてきたの?」「近所のオフィスからコンビニにでも用足しに来たのかな?」と思います。でも、実は20代から60代に至るまで、手ぶら通勤を実践している人は幅広くいる様子。その「快適さ」について聞いてみました。

 「手ぶら」派が口をそろえる第一のメリットは「身軽に動けて、通勤ストレスがなくなる」ことです。徒歩通勤が可能な距離であれば、通勤タイムをウォーキング時間として使えます。歩くことで、体重コントロール、メタボ予防、消化促進やストレス解消などに役立てたい人にとっては見逃せないメリットですね。

 電車やバスを使っての通勤を続ける場合も、いつも身軽に動けることが、満員電車のストレスをかなり解消してくれるようです。男性の固いカバンの角が食い込んで痛い思いをしている女性にとっても、「手ぶら」派が増えるのはうれしいことです。

 二番目のメリットは、「カバンをなくさない」こと。言われてみれば当たり前のことですが、実際、手ぶら通勤を決めたきっかけが「重要書類の入ったカバンを置き忘れた」苦い経験だった人もいます。持っていない物は紛失することもありません。

 さらに「会社や飲み会からサクッと脱出できる」メリットを上げる人も。自分の仕事が終わっていても、定時では出づらい雰囲気のとき、あるいは飲み会を早めに切り上げたいときなど、カバンがなければトイレに立つような顔をして抜けられるので、非常に便利とのことでした。

 また、両手も背中もフリーになれば、姿勢がよくなることも確かです。長年同じ側の肩にショルダーバッグを提げている人は、マッサージに行ったときなど、左右のゆがみを指摘されたりする人も多いのではないでしょうか。小さなお子さんがいる場合、手をつないで歩くことも、おんぶや抱っこが気軽にできることも大きなメリットに数えられます。

「手ぶら」にデメリットや死角はないのか?

 カバンを持たないことでの解放感、重いカバンを持っている人への優越感など、心理的効果をあげる人も多くいました。そんな「手ぶら派」がデメリットと感じるのは、逆に「周囲から不審がられる」ことのよう。周囲の目が気になる日本人には、どちらも大きくはたらくのでしょうね。

 それ以外のデメリットは、「ポケットがふくらむ」こと。とくに夏場はシャツの胸ポケットとズボンのポケットしか収納できるところがありません。

 手ぶらといってもスマホ、財布、家の鍵、ワイヤレスイヤフォン程度は持ち歩くのが現実的なので、財布をなるべく薄型にすること、なるべくキャッシュレスを利用して小銭を持ち歩かないことを心がけている人が多数です。電車の中では読書が欠かせないという人は、この際思い切ってオーディオブックに切り替えてみるのも手。「耳から読書」で新鮮な世界が開けるかもしれませんね。

 ただし、「手ぶら」は弁当派男子には向いていません。また、食後などの決まった時間に飲む薬がある人にもハードルが高くなります。さらに、会社からPCを持って帰るなど、何かお土産がある場合もちょっと困ります。

 そこで「手ぶら」派が心がけているのは、通勤用カバンの中身を徹底的にチェックして、「会社に置く」物と「家に置く」物を分けてしまうこと。たとえば仕事用カバン、荷物の持ち帰り用エコバッグ、予備ネクタイ、デジカメ、スマホ充電機、傘、革靴、靴磨きセットまで会社のロッカーに常備しておけば、そうそうあわてることはなさそうです。

 コートやダウンで着ぶくれラッシュが気になる季節こそ、「手ぶら」に踏み切ってみるベスト・タイミングかもしれません。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い

イヌ、ネコ、ニワトリ…弥生時代の役割と縄文時代との違い

弥生人の実態~研究結果が明かす生活と文化(10)弥生人と動物

われわれにとって馴染み深いイヌやネコなどの動物。縄文時代や弥生時代は、その役割、位置づけはどうなっていたのか。また、現代との違いはどこにあるのか。出土品から見えてくる動物との関係について、当時の食生活にも触れな...
収録日:2024/07/29
追加日:2025/05/21
藤尾慎一郎
国立歴史民俗博物館 名誉教授
2

メタボリックシンドロームを単なる肥満と侮ってはいけない

メタボリックシンドロームを単なる肥満と侮ってはいけない

健診結果から考える健康管理・新5カ条(6)メタボを侮ってはいけない

「メタボリックシンドローム」を単なる肥満と侮ってはいけない。内臓脂肪が蓄積すると、血糖値や血圧の上昇を招き、さまざまな健康リスクを高めることになってしまう。自覚症状のないまま血管障害が進行するリスクの上昇を防ぐ...
収録日:2025/01/10
追加日:2025/05/20
野口緑
大阪大学大学院医学系研究科 公衆衛生学 特任准教授
3

フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威

フェンタニルの麻薬中毒も意図的な戦略?非対称兵器の脅威

医療から考える国家安全保障上の脅威(1)「非対称兵器」という新たな脅威

国家安全保障上の脅威といえばミサイルや爆弾投下などの「武力攻撃」を想定しがちだが、現在、特に先進諸国では異なる見方をしているという。2024年米国下院の特別委員会で、国内に大量の中毒者・死亡者を出して社会問題視され...
収録日:2024/09/20
追加日:2025/05/01
山口芳裕
杏林大学医学部教授
4

1987年に日本批判広告…トランプ政治の原点は日米貿易摩擦

1987年に日本批判広告…トランプ政治の原点は日米貿易摩擦

米国システムの逆襲~解放の日と新世界秩序(1)米国システム「解放の日」

第二次トランプ政権は、その関税政策を発動させた日、4月2日を「解放の日」と称した。そこには、アメリカが各国の面倒を見るという第二次世界大戦以降の構図が、アメリカに損害をもたらしているという問題意識がある。「解放の...
収録日:2025/04/25
追加日:2025/05/20
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
5

千手千眼観音のサポートとは?菩薩たちのビッグバンとは?

千手千眼観音のサポートとは?菩薩たちのビッグバンとは?

おもしろき『法華経』の世界(3)止観と菩薩による救済

最澄の瞑想図は非常に美しいが、彼は何を瞑想していたのだろうか。答えは無、心の動きを止めるのが「止観」だからだ。また、『法華経』全巻の構成を見ると、弥勒、観音、普賢の三菩薩が衆生を導き救済する中心的存在であること...
収録日:2025/01/27
追加日:2025/05/18
鎌田東二
京都大学名誉教授