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DATE/ 2020.01.28

意外に知らない?有名企業の意外なルーツとは?

 マツダといえば自動車、DHCといえば化粧品……と、有名企業であれば企業名とともに代表的な商品やサービスが思い浮かびますよね。しかしマツダはコルクの生産をしていた、DHCは洋書翻訳事業だった……といったように、知られざる「本業」があったのをご存じですか? このように有名企業のなかには、現在とはまったく違う事業から出発したという企業も少なくありません。今回は、そんな意外なルーツを持つ有名企業を7社ピックアップします。

マツダ:コルク生産業

 世界的自動車メーカーのマツダは「東洋コルク工業」という社名から出発しました。現在もマツダ本社がある広島県は、アベマキという木の分布地。そのアベマキは、コルクづくりにぴったりの木材だったのです。

 広島産業銀行の元頭取だった海塚新八氏は、1920年に広島県中区の中島町に東洋コルク工業会社を設立。ワインコルクやコルクボードの生産を開始しました。しかし海塚氏はまもなく病気のため社長を退任。後を継いだ松田重次郎氏は1927年、事業を機械製造へと転換します。ここにマツダが誕生しました。

 現在、東洋コルクは別会社となっています。しかしマツダ初の量産型EV車「MX-30」の内装にコルクが使われるなど、マツダとコルクの縁は今も深くつながっています。

DHC:洋書翻訳

 DHCとは、実は「大学翻訳センター」の略。創業者のよし田嘉明氏(「よし」は土に口)が1972年、大学の研究室を対象に洋書の翻訳事業を始めたことから始まりました。

 よし田氏の経歴と事業の転換については詳しくは明かされていませんが、一説によるとよし田氏と親交のあったタレントの美輪明宏氏が「オリーブオイルが美容に良い」と話していたことから化粧品業界に食指が動いたといいます。

 これまで化粧品は化学合成成分が中心だったのに対し、DHCはオリーブオイルなど天然成分による自然治癒力をうたったことで、DHCの化粧品は大ヒット。それから天然成分にこだわった商品を開発し続けていくのです。

 1980年の参入以来、化粧品メーカーとして不動の地位を確立したDHCですが、翻訳は今でも重要な事業のひとつとして残っており、翻訳書の出版や翻訳家の育成・教育の老舗企業として、その存在感を放っています。

シダックス:給食事業

 カラオケ店で知られるシダックス。先年、そのカラオケ事業を他社に譲渡すると発表し話題になりましたが、それとともにシダックスの本業に世間の注目が集まりました。それはなんと給食事業!

 創業者の志太勤(しだつとむ)氏は、もともと大衆食堂を営んでいました。1959年に企業を対象とした給食事業、すなわち社員食堂の運営会社を設立。これまでにない「カフェテリア式」の社員食堂を提案し、業績を伸ばしたのです。カラオケ事業は食にまつわるビジネスとして参入したそうです。

 「カラオケシダックスは料理がおいしい」と筆者のまわりで支持者(特に女子)が多かったのですが、もともと給食事業をやっていたとなると、その理由も納得です。

 その後も、車両の運行管理や公共施設の運営管理といったBtoBビジネスを展開していったシダックス。カラオケ事業を手放した現在は、企業内の給食、清掃、送迎ドライバーなど複数の業務をまとめて請け負うトータルアウトソーシング事業に力を入れており、堅調な伸びを示しているようです。

サンリオ:絹製品販売

 ハローキティやマイメロディなど、可愛らしいキャラクター商品が人気を集めるサンリオは、元は山梨県特産の絹製品を販売する「山梨シルクセンター」という会社でした。サンリオ創業者・辻信太朗氏が山梨県職員で、会社は県の外郭団体として誕生したのです。

 残念ながら絹産業は鳴かず飛ばずだったものの、同時展開していた小物雑貨販売が好調。なかでも“花柄をちりばめた草履”が大変人気だったため、可愛らしい雑貨、キャラクターものに着目した辻氏は、絹事業をたたんでキャラクタービジネスに邁進するように。その結果は、皆様ご存じの通り。「サンリオ(スペイン語で『聖なる河』)」という社名は、この雑貨事業から生まれたブランド名からつけられました。

ブリヂストン:足袋屋

 世界指折りのタイヤメーカー・ブリヂストン。実は日本の会社だったというのをご存じでしょうか。その創業は1931年。大元は、創業者の石橋正二郎氏の家業だった足袋屋でした。

 足袋屋「志まや」は石橋氏のずば抜けた経営センスによってみるみる成長し、やがて法人化。業績好調だったものの、第一次世界大戦の影響で一気に経営不振に陥ります。

 そこで従来の足袋やわらじに代わる履物として、安全で耐久性の高い「ゴム底足袋(地下足袋)」が開発されました。これがゴム製品との関わりのはじまりで、やがてゴム靴、そして日本初のタイヤ生産へとステージを移していくのです。

 ブリヂストンの社名は、石橋を英語読みした「ストーンブリッヂ」にちなんでいます。戦時中は英語が禁止されたため、日本語の社名に変更を余儀なくされるなど紆余曲折ありましたが、創業当時から培われた開拓精神があったからこそ、現在のようなグローバル企業へと成長を遂げたことは言うまでもないでしょう。

セブン-イレブン:氷屋、ローソン:牛乳屋

 セブン-イレブン、およびローソンはいずれもアメリカ発祥の企業です。世に「コンビニエンスストア」の概念を生み出した2社は、とても似たようなルーツを持っています。

 セブン-イレブンの創業者はジョン・ジェファーソン・グリーン氏といい、1927年からテキサス州のオーククリフという町で氷の小売店を営んでいました。夏の時期には毎日16時間、休む間もなく働き、常に顧客満足を満たす営業を心がけていたといいます。やがてお客の要望から日用品も取り扱うように。これがコンビニとしてのセブン-イレブンの原型となりました。

 いっぽうローソンはオハイオ州のJ.J.ローソン氏が創業者です。1939年、当時ローソン氏が営んでいたのは牛乳屋でした。ローソン氏の牛乳は評判上々で、氏はやがてローソンミルク社という会社を設立。顧客の要望に応えて品揃えも増え、チェーン店を広げていきました。コンビニのローソンの青い看板に牛乳瓶が描かれているのは、牛乳屋として始まったからなのです。

 セブン-イレブンとローソンは、このように地域の個人商店としてお客のニーズに応えるうちに、便利なお店=コンビニエンスストアとして成長、世界へと羽ばたいていったのです。

しまむら:呉服店

 最後に、日本の有名小売店のルーツをご紹介しましょう。ファッションセンター・しまむらです。現在はリーズナブルな衣料品の販売で知られていますが、その前身は、なんと高級な呉服店でした。

 埼玉県の「島村呉服店」に入社し社長となった藤原秀次郎氏が、呉服のほかに既製服の販売をはじめたことから衣料量販店への道が開かれていきます。藤原氏は業界でいち早くコンピューターを導入して業務を合理化し、仕入れや物流をコントロール。小さな呉服店にすぎなかった店を、約30年の間に100店舗企業にまでのばしたのです。

 現在もしまむらでは昔取った杵柄で、着物や和小物を取り扱っています。しかもお値段も超お手頃価格! 着物を気軽に着たい、若い女性に大変人気を集めているそうです。

 いかがでしたか? 実は日本の会社10867社のうち、約半数にのぼる47.7%の会社が、創業以降、本来の事業から別の事業へと転換しているそう。あなたがよく知っている会社も、実は今と違ったサービスを展開していた、こんな事業もやっていたということがあるかもしれません。ぜひ調べてみては?

<参考サイト>
・マツダ
https://www.mazda.co.jp/experience/tokyomotorshow2019/heritage/
・東洋コルク 沿革・歴史
https://www.toyocork.co.jp/history
・DHC 会社概要・沿革
https://top.dhc.co.jp/company/jp/cp.html
・シダックス 沿革
https://www.shidax.co.jp/corporate/chronology/
・サンリオ サンリオのあゆみ
https://www.sanrio.co.jp/corporate/about/history/
・ブリヂストン ブリヂストン物語
https://www.bridgestone.co.jp/corporate/history/story/index.html
・セブン-イレブン セブン-イレブンの歴史
https://www.sej.co.jp/company/history.html
・ローソン ローソンの歴史
http://www.lawson.co.jp/company/corporate/data/history/detail/
・しまむら 沿革
https://www.shimamura.gr.jp/company/history/
・「新しいビジネスの芽を育て、事業の多角化で成長を続ける、有名企業や老舗企業の意外な「業種転換」」(アクサ生命)
https://www.axa.co.jp/100-year-life/business/20180920/
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