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DATE/ 2020.02.01

明るい部屋で寝ると太る?睡眠の質を高める方法

 帰宅したら電気も消さずベッドへバタンキュー、布団で読書をしていたのに気が付いたら寝落ちしていた…皆さん少なからず経験があるのではないでしょうか?実はこれ、体に良くない習慣なんです。何がいけないのでしょうか?

体内時計のリズムは24時間10分!?

 答えは明るい部屋で寝るということ。アメリカの国立衛生研究所が発表した内容によると、「テレビや照明など人工的な光をつけたまま寝ている女性と、真っ暗な状態で寝ている女性を比べると、つけたまま寝ている女性のほうが体重が5kg以上増える割合が17%高かった」とのこと。灯りをつけたまま寝るとなぜ太りやすいかという理由については未だ研究中ですが、十分な休息が得られていない、生活リズムへの影響などが考えられそうです。また、この研究では常夜灯のような弱い光であれば肥満との関連性は見られませんでした。

 では睡眠の質を高めるには何が重要なのか。肝は量ではなく質です(もちろんある程度の量は必要ですが)。よく体内時計は24時間ではなく25時間だ、などと言いますが、最近の研究だと24時間10分程度とされています。たかが10分、されど10分で、何もしないと1週間で1時間以上、1か月で5時間もずれてしまいます。でも、1か月で就寝・起床の時間が5時間もずれる人ってほとんどいないですよね?それはリズムを自然に調節しているからです。

 体内時計をリセットするのに有効なのは、起きてすぐ日光を浴びること。目覚ましが鳴ってもなかなか起きられず、布団でぬくぬく、という人も寒い季節には多いと思いますが、アラームがなったらカーテンを開け、たっぷりと太陽の光を浴びることが体のリズム調整にはとても大切なのです。そうやって1日の始まりからリズムを作り、食事の時間を極端に変えないことも大切です。腹時計も体内リズムを守るために重要な役割を果たしているんですね。そうやって毎日規則正しい時間に寝て、起きることが良い睡眠に直結します。

「人生の三分の一は睡眠」侮れないセールストーク

 適度な運動、シャワーではなくぬるめの温度での入浴も眠りを助けてくれますし、自分にあった寝具選びも安眠と深くつながっています。「人生の三分の一は睡眠」と布団やベッドのセールストークでよく耳にしますが、実際にその通りです。セールストークに乗って高い布団を買うかどうかはそれぞれの価値観次第ですが、寝具をおざなりにするとボディーブローのように自分に跳ね返ってくると言っても過言ではないでしょう。

 改めて振り返ってみると、質の高い睡眠をとるためには、規則正しい生活をするのが一番、というある意味当然の結論にいきついてしまいました。やってはいけないことはたくさんありますが(冒頭の「明るい部屋で寝る」もその1つです)、やった方がいいことは「当たり前」の積み重ねなのです。

<参考サイト>
・Sleeping with artificial light at night associated with weight gain in women | National Institutes of Health (NIH)
https://www.nih.gov/news-events/news-releases/sleeping-artificial-light-night-associated-weight-gain-women
・明るい部屋で寝ると「太る」? 米国立研究所が気になる調査結果を発表 - FNN.jpプライムオンライン
https://www.fnn.jp/posts/00046746HDK/201906111840_livenewsit_HDK
・睡眠が健康に与える影響――睡眠は「時間」も大事だが「質のよさ」がもっと重要! | はじめよう!ヘルシーライフ | オムロン ヘルスケア
https://www.healthcare.omron.co.jp/resource/column/life/141.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授