テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.02.10

ネットで横行するサクラレビューを見破る方法

 レビューを参考にネットショッピングしたらとんでもないモノが送られてきた、そんな経験をしたことはありませんでしょうか。

 ネットストアでは、同じような商品が出品されていたり、出店者も複数あることから、多くは評価レビューを参考にすることと思います。昨今、こうした消費者行動を逆手にとって、自作自演で評価を高めるという悪徳業者のフェイクレビューいわゆる「サクラレビュー」が横行しているのです。

サクラレビューとは?

 業者は、レビュー作成を一般に募り、商品購入から良い評価レビュー投稿までを確認し、商品購入代金を支払うという仕組み。請け負った一般レビュアーは無料で商品を手にいれることができるだけでなく、業者によっては数百円から千円程度の報酬が見込めるというメリットがあります。

 このようなレビューは商品の正当な評価レビューではなく、売るためだけの評価レビューであることから、結果的にそれを信じて購入した消費者をだましていることに。つまり、こうした行為は、商品を売るためにレビュー機能を利用したステルスマーケティングに該当し、日本のみならず米国でも訴訟に発展しています。

 ちょっとしたアルバイト感覚でステルスマーケティングに加担していたということにもなりかねないので、ネットでの儲け話には注意していただきたいところです。

サクラレビューを見破る方法は?

 巧妙化しているサクラレビューにダマされないために、ユーザーサイドでサクラを見抜くポイントとしては

・評価レビューの偏り  →レビュー数が少なかったり、よい評価ばかりであること
・レビュワーのプロフィール  →一つだけしかレビューしていない、プロフィール情報が少ない
・レビューの内容  →日本語として意味が通らない(自動翻訳)
・商品名の表記  →商品名が異常に長く、メーカー名が入っていないもの

 というような事があげられます。

 また、近年こうしたサクラレビューを見抜くWEBサービス「サクラチェッカー」を活用するのもよいでしょう。このサービスは、Amazon.co.jpに投稿されたレビューを分析し、サクラ度を見抜くというもので、当該サイトに製品URLを貼り付けることで、「サクラ度○%」「危険/警告/合格」といった結果が表示されます。

 サクラチェッカーを開発したきっかけは、「高評価のワイヤレス充電器を購入したら全然充電しなくて困った」「高評価のUSBディスプレイアダプタを購入したら3日で壊れた」ことがあり、Amazonレビューが信じられなくなったことだと、開発者であるユウさんは明かしています。

 サクラレビューが多い商品カテゴリーは、比較的製造しやすいものに集中しているようです。例えば、「イヤフォン」「モバイルバッテリー」「PC周辺機器」「ゲーム周辺機器」「美容系家電」「折りたたみ傘」「枕」などです。サクラチェッカーでは、トップ画面でサクラ度が高い商品カテゴリーを知ることができます。

レビューの公平性

 誰でも投稿できるレビューについて、公平性を担保したり、企業のステルスマーケティングを防ぐことはなかなか難しい状況にあります。Amazonばかりでなく、グルメ系口コミサイトでも、運営サイドは否定していますが、報酬を得て高評価レビューをするサクラの存在などが指摘されています。

 サクラレビュー問題は、こうした情報操作に個人が関わらないようにすることが解決のために必要不可欠です。合わせて、「サクラチェッカー」や東京大学発のスタートアップ企業TDAI LabAIが開発したレビューの信頼度をスコアリングするサービス「WISE REVIEW」といったサイトを活用しつつ、ネットショッピングを楽しみたいものです。

 さらにいうなら、レビューが少ないモノやサービスでも良いものはたくさんあるので、ネット情報の目利き感というべき、正しく情報を読み解くリテラシーを鍛えていきましょう。

<参考サイト>
・サクラチェッカー
https://sakura-checker.jp
・ITmedia:Amazonのやらせレビューと戦う「サクラチェッカー」はなぜ生まれたか 開発者に聞く背景やサクラレビューの見分け方
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1911/22/news010.html
・ITmedia:AIが「本当においしいラーメン店」を判定 頼りは口コミ、偽レビュー排除の仕組みを開発者に聞く
https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1912/11/news105.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

ウェルビーイングの危機へ…夜型による若者の幸福度の低下

ウェルビーイングの危機へ…夜型による若者の幸福度の低下

睡眠から考える健康リスクと社会的時差ボケ(4)社会的時差ボケとメンタルヘルス

社会的時差ボケは、特に若年層にその影響が大きい。それはメンタルヘルスの悪化にもつながり、彼らの幸福度を低下させるため、ウェルビーイングの危機ともいうべき事態を招くことになる。ではどうすればいいのか。欧米で注目さ...
収録日:2025/01/17
追加日:2025/08/23
西多昌規
早稲田大学スポーツ科学学術院教授 早稲田大学睡眠研究所所長
2

「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機

「学びの危機」こそが現代社会と次世代への大きな危機

「アカデメイア」から考える学びの意義(1)学びを巡る3つの危機

混迷を極める現代社会にあって、「学び」の意義はどこにあるのだろうか。次世代にどのような望みをわれわれが与えることができるのか。社会全体の運営を、いかに正しい知識と方針で進めていけるのか。一人ひとりの人生において...
収録日:2025/06/19
追加日:2025/08/13
納富信留
東京大学大学院人文社会系研究科教授
3

同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」

同盟国よもっと働け…急激に進んでいる「負担のシフト」

トランプ政権と「一寸先は闇」の国際秩序(3)これからの世界と底線思考の重要性

トランプ大統領は同盟国の役割を軽視し、むしろ「もっと使うべき手段だ」と考えているようである。そのようななかで、ヨーロッパ諸国も大きく軍事費を増やし、「負担のシフト」ともいうべき事態が起きている。そのなかでアジア...
収録日:2025/06/23
追加日:2025/08/21
佐橋亮
東京大学東洋文化研究所教授
4

寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由

寝ないとよく食べる…睡眠不足が生活習慣病を招く理由

睡眠と健康~その驚きの影響(1)睡眠が担う5つのミッション

私たちに欠かせない「睡眠」。そのメカニズムや役割についていまだ謎も多いが、それでも近年は解明が進み、私たちの健康に大きく関与することが明らかになっている。まずは最新情報を盛り込んだ睡眠が果たす5つの役割を紹介し、...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/06/05
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
5

ニーチェ:超人、ニヒリズム…善悪は弱者の嫉妬心にすぎない

ニーチェ:超人、ニヒリズム…善悪は弱者の嫉妬心にすぎない

西洋哲学史の10人~哲学入門(10)ニーチェ 超人

ニーチェは牧師の家庭に生まれつつ、キリスト教の価値を全否定した。そこから見いだされた「強いニヒリズム」は、何が「善い」のかを価値付けするのが困難な中で、いかに現実と向き合うかを教えてくれる。こうした「超人」の思...
収録日:2018/02/09
追加日:2018/06/29
貫成人
専修大学文学部教授 文学博士