社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
コロナ禍で注目された「アマビエ」とは何か?
ウロコ、三本足、くちばし、長い髪。人魚もしくは半魚人と言ったほうがいいのかもしれません。これは半人半漁の妖怪「アマビエ」です。江戸時代に「もし疫病が流行ったら私の姿を描き写して人々に見せよ」と言ったとされています。新型コロナウイルス禍において、護符やロゴに止まらず、和菓子、飴、ビスケットになるなどにわかに注目を集めています。ではこの「アマビエ」とは一体なんなのでしょうか。
「明治妖怪新聞」(柏書房)などの著書がある湯本豪一さんは朝日新聞の取材でより詳しい事情を解説しています。これによると、明治8年の「東京日日新聞」には、凶作を予言した「天日子尊(あまびこそん)」という幻獣の記載があるそうです。家ごとに天日子尊の姿を写したものを貼り、朝夕拝むことで災難を逃れられるとされたとのこと。アマビエと同種と考えられるものには、「あま彦(アマビコ)」の他にも、アマビエと同じく肥後国に現れたとされる「アリエ」、半人半牛の「件(くだん)」、人魚のような姿の「神社姫」などの記録が残っているそうです。
ネット通販サイトで「アマビエ」を検索すると、スタンプ、キーホルダー、せんべい、お酒、マスク、Tシャツ、スマホケースなどなど、実にさまざまな商品がヒットします。初登場から174年経った現代でも、私たちはアマビエをみて笑ったり、慰められたりしています。アマビエは「姿を描いた絵を人々に見せる」よういいました。人同士が接触できなくてもみんな同じものを見ていると思えば、つながりを感じます。つながることで私たちの気持ちも安らぎます。アマビエは世の人々が不安な時、こうやって橋渡しになって人同士を繋いで励ましてきた存在といえるのかもしれません。
アマビエは江戸時代に登場した妖怪
アマビエが出現したのは江戸時代後期の弘化3年(1846年)、肥後国(現・熊本県)とのこと。光輝く姿で海中から現れ、「当年より6ヶ年の間は諸国で豊作が続くが疫病も流行する。私の姿を描いた絵を人々に早々に見せよ」と告げたといいます。このアマビエ(アマビヱ)としての資料例はたった一つ、京都大学に残されているだけですが、いくつかの要素が共通した「アマビコ(天彦/天日子)」の資料はもう少しあるようです。「明治妖怪新聞」(柏書房)などの著書がある湯本豪一さんは朝日新聞の取材でより詳しい事情を解説しています。これによると、明治8年の「東京日日新聞」には、凶作を予言した「天日子尊(あまびこそん)」という幻獣の記載があるそうです。家ごとに天日子尊の姿を写したものを貼り、朝夕拝むことで災難を逃れられるとされたとのこと。アマビエと同種と考えられるものには、「あま彦(アマビコ)」の他にも、アマビエと同じく肥後国に現れたとされる「アリエ」、半人半牛の「件(くだん)」、人魚のような姿の「神社姫」などの記録が残っているそうです。
アマビエは人を繋ぐ
現代に再び蘇らせたのは、「ゲゲゲの鬼太郎」の作者で妖怪研究家としても知られた水木しげるさんでした。これがおよそ20年前のこと。そこから現代、アマビエがブームの端緒となったのが3月に起こったTwitterでの「アマビエチャレンジ」です。ハッシュタグ「#アマビエ」を含むツイートは多い日で3万件を超えました。投稿ではイラストにとどまらず、動画、ぬいぐるみ、ラテアートなども登場しています。また、厚生労働省もSNSの感染拡大防止キャンペーンのロゴとしてアマビエを起用するなど、一気に多くの人に知られる存在となりました。ネット通販サイトで「アマビエ」を検索すると、スタンプ、キーホルダー、せんべい、お酒、マスク、Tシャツ、スマホケースなどなど、実にさまざまな商品がヒットします。初登場から174年経った現代でも、私たちはアマビエをみて笑ったり、慰められたりしています。アマビエは「姿を描いた絵を人々に見せる」よういいました。人同士が接触できなくてもみんな同じものを見ていると思えば、つながりを感じます。つながることで私たちの気持ちも安らぎます。アマビエは世の人々が不安な時、こうやって橋渡しになって人同士を繋いで励ましてきた存在といえるのかもしれません。
<参考サイト>
・アマビエ、いち早く描いていた「国民的漫画家」コロナウイルスで注目|withnews
https://withnews.jp/article/f0200320000qq000000000000000W06910201qq000020721A
・新型コロナウイルス感染症について│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
・アマビエ、いち早く描いていた「国民的漫画家」コロナウイルスで注目|withnews
https://withnews.jp/article/f0200320000qq000000000000000W06910201qq000020721A
・新型コロナウイルス感染症について│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000164708_00001.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。
『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
世界で最もクリエイティブな国は? STEAM教育が広がる理由
数学と音楽の不思議な関係(4)STEAM教育でつくる喜びを全ての人に
世界では「創造性がどれくらい大事か」という問題意識が今、急激に高まっている。創造性とは全ての人にあり、偏差値などでは絶対に計れない、まさに無限軸の創造性のこと。そうした創造性を育む学びが「STEAM教育」である。最終...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/09/18
なぜ日本の所得水準は低いのに預金残高は大きいのか
続・日本人の「所得の謎」徹底分析(2)政府債務と預金残高の背景
国際的に見て、政府の債務残高が大きい日本。その背景には、バブル崩壊後の財政赤字を取り戻せていないことがあった。その一方で、預金残高も高い日本。所得が低いのに預金が多い日本の謎を解説する。(全4話中第2話)
※...
※...
収録日:2025/07/10
追加日:2025/09/17
米長邦雄のアンラーニング、弟子の弟子になってV字成長
経験学習を促すリーダーシップ(2)経験から学ぶ力
人が成長していくために重要な経験学習。その学習サイクルを適切に回していくためには、「経験から学ぶ力」が必要になる。ではそこにはどのような要素があるのか。ストレッチ、リフレクション、エンジョイメントという3要素と、...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/17
各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴
「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率
日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
外交とは何か…いかに軍事・内政と連動し国益を最大化するか
外交とは何か~不戦不敗の要諦を問う(1)著書『外交とは何か』に込めた思い
外交とは国益を最大化しなければいけないのだが……。35年にもわたる外交官経験を持つ小原氏が8年がかりで書き上げた著書『外交とは何か 不戦不敗の要諦』(中公新書)。小原氏曰く、外交とは「つかみどころのないほど裾野が広い...
収録日:2025/04/15
追加日:2025/09/05