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意外とできてない?「食事」のマナーとは?
食事マナーって面倒そうだけど…
マナーに違反しても、法律のように罰せられることはもちろんありません。それでもマナーが生活のさまざまな場面に存在するのは、他人と気持ちよく過ごすためのものだからです。人にはそれぞれの生活習慣や価値観があるので、自分は大丈夫でも相手には不快という場合もありますよね。そんなときにマナーという共通の決まりごとを守れば、うっかりいやな思いをさせずにすむわけです。マナーといわれてまっさきに思い浮かべる方が多いであろう、食事マナーも例外ではありません。だからこそしっかり守りたいところですが、食事マナーは細かい決まりごとが多くて面倒なイメージが強いのもまた事実。しかしマナー講師の飯島永津子さんは、5つの心がけさえ持っていればあとは応用が利くと語ります。その5つをご紹介します。
食事マナーの5つの基本
食べ物に感謝する:自分の血肉になる食べ物への感謝だけでなく、食材の生産者、料理をつくる人、料理を提供する人など料理に関わる人たちへの感謝も忘れないようにしましょう。感謝の気持ちを込めた「いただきます」、「ごちそうさま」を欠かさないことが大切です。食べる姿勢を意識する:猫背にならないように意識し、背筋を伸ばして食べましょう。きれいな姿勢で食事をすれば、目上の人からも感心してもらえます。頬杖をついたり、器に口を持っていって犬食いをしたりするのは見苦しく、姿勢も崩れてしまうので避けてください。
箸の扱い方を知る:国や文化によって食器はさまざまですが、まずは箸の扱い方を基本からマスターしましょう。箸を舐める「ねぶり箸」のような他人に不快感を与える行為はフォークやスプーンでも嫌われるので、箸の扱いを覚えれば応用が利きます。
相手を気づかい、デリケートな話題は避ける:食事中の会話は楽しく弾ませたいですよね。そのためには相手の身長、体重、容姿などのデリケートな話題は避けましょう。同様の理由で、政治や宗教の話題も避けたほうが無難。相手を思いやる気持ちが大切です。
周りを気づかい、できるだけ音を立てない:口に食べ物を入れたまましゃべったり、食器を乱雑に扱ったりしないように心がけましょう。食事中は極力音を立てないように振る舞うことが、周囲への気遣いになります。この点を意識することで動作も優雅になります。
この5つを習慣づければ、自分を客観的に見て周囲に気を配れるようになると飯島さんは解説しています。
意外と見落としがち?こんな食事マナーも…
基本の5つを身につけたら、次は応用の3つのマナーも知っておくとさらに周囲を気づかえるようになりますよ。意外と見落としがちなポイントなので、自信がある方も確認の意味で一読されてはいかがでしょうか。テーブルや食器に傷や汚れをつけない:テーブルや椅子、食器やグラスなどは丁寧に扱いましょう。破損はもちろん、傷や汚れにも気をつけてください。こうすることで余計な音も出なくなります。指輪、ブレスレット、メタルの時計などは傷をつけやすいので食事中には外したほうが賢明です。
きれいな手の所作を心がける:箸などの口に運ぶ食器だけでなく、お皿やお椀など器を扱うほうの手にも気を配りましょう。特に箸やスプーンなどを使っているときに空いている手は膝に置いたり頬杖になったりしないよう注意を。空いた手は器に添えると見た目が美しく、器を支えることもできます。
においにも気をつける:料理のおいしさは味だけでは決まりません。見た目や食感のほか、香りも大きく関係します。この香りを台無しにしないよう、体や服を清潔にしましょう。いやなにおいとは逆にいい香りでも、料理の香りには邪魔になることも多いので、香水は控えめにすることも大切。
ここまで気をつけてマナーを守れれば、同席者を不快にする可能性はぐっと減るはずです。
日本で気をつけたい食事マナー
ここまでご紹介したものに加えて、日本独自の食事マナーが気になる方も多いのではないでしょうか。特に箸には独特なマナーが多いので、代表的なNGの使い方を見てみましょう。・迷い箸:箸を食べ物の上でうろうろと迷ったように動かすこと。
・舐り箸:箸を舐めて箸についた食べ物を取ること。
・指し箸:箸で人や食べ物を指し示すこと。
・逆さ箸:箸の上下を逆にして料理を取り分けること。取り箸を別に用意しましょう。
・立て箸:箸をご飯に突き立てること。仏式の葬儀でお供えにする枕御飯を連想させるので縁起が悪いとされます。
・箸渡し:箸と箸で食べ物を渡し合うこと。遺骨を骨壺に収める動作を連想させるので縁起が悪いとされます。
基本的にはきれいな所作を心がければ大丈夫ですが、立て箸や箸渡しのように不吉とされる使い方もあります。うっかりやってしまうと、特に年配の方にはいやがられるので気をつけてください。
また、汁ものが蓋つきのお椀で出てきたときには蓋を一気に開けず、お椀の上で蓋を傾けて裏側についた水滴を落とすとテーブルを汚しません。開けた蓋はテーブルを傷つけないように両手で置きましょう。食べ終わったら蓋は元通りに閉めるのがマナーです。蓋を裏返しにして重ねると表面を傷つけるおそれがあるので避けてください。
汁気が多いものを口に運ぶとき、汁を垂らさないようにやってしまいがちなのが、食べ物の下に手を添える「手皿」ですが、これはマナー違反。小皿に取って食べるか、懐紙(懐に携帯する和紙。現代では改まった和食の席やお茶席などで使われる)があればそれを手に置くのがマナーです。
食事マナーを気にしすぎても窮屈ですが、自分も周囲の人も快適に食事を楽しめるよう、気遣いできる心は大切にしたいですよね。
<参考サイト>
・ニチレイフーズ 【5万人に教えたマナー講師直伝!】 子どもと一緒に覚えたい。楽しい食卓をつくる食事マナーの基本
https://www.nichireifoods.co.jp/media/1088/
・はし和文化研究会 箸使いタブー
https://hashiwabunka.jp/hashi/taboo
・ニチレイフーズ 【5万人に教えたマナー講師直伝!】 子どもと一緒に覚えたい。楽しい食卓をつくる食事マナーの基本
https://www.nichireifoods.co.jp/media/1088/
・はし和文化研究会 箸使いタブー
https://hashiwabunka.jp/hashi/taboo
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