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DATE/ 2015.06.08

ガンになりやすい「HONDA」さん、ってどんな人?


 現在、アメリカの医療機関がターゲットとする典型的な人物像は「HONDA」さんと呼ばれています。

 HONDAさんのHはハイパーテンション、高血圧。Oはオビース、肥満。Nはノンコンプライアンス、すなわち医者や医療従事者やトレーナーの指示をあまり聞かない人。それからDは、ダイアベテス、糖尿病の気のある人。最後のAはアダルトです。

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少し血圧が高めで、太っていて、人の話を聞かず、やや糖尿病境界型の人。こういう人を、医療機関としては一人でも多く欲しいのです。

その理由は、こういうタイプはがんや脳卒中、心筋梗塞、うつ病などになる確率が非常に高い、と分かってきたからです。

 今の日本で、このような高血圧で糖尿で肥満気味の人は、それぞれの診療科を受診しなくてはならず、「糖尿病の先生はこう言われた」「高血圧の先生はこうおっしゃった」「いや、こっちはこうだ」と意見が分かれることがあります。

 医療の発達によって、一人の患者さんに対する一貫したアプローチが見えにくくなっているのが現状だと言えるでしょう。

 これに対する一つの方法として、アメリカで提唱されているものに「スマートチーム」があります。多方面に問題を抱える人に対して、食事、エクササイズ、就労状態など、さまざまなフィードバックによりコーチングを行って、今の病気を早く治したり改善したりする取り組みです。

 スマートチームを含む新しい健康管理は「ヘルスケア2.0」ということで、従来型の画一的な医療からより個別化した医療として今後ますます注目されます。最近話題になっているゲノム医療も、今後は一つの予防策として普及してくると思われます。

(順天堂大学医学部教授:堀江重郎)
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上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長