社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.07.23

仕事満足度の高い業種ランキング…その特徴は?

 雨にも負けず風にも負けず、今日も満員電車で通勤。周りのみなさまは、今の仕事にどのぐらい満足しているのでしょうか。職種や業種によって満足格差はあるのでしょうか。今回は、求人・転職サイトdoda(デューダ)の仕事満足度ランキング2019をのぞいてみました。

満足度の高い業種の特徴は?

 まず、具体的な職種で満足度ランキングを並べてみましょう。

1位:「内装設計・インテリア」満足度指数73.5点
2位:「MR」72.8点
3位:「英文事務」72.3点
4位:「セールス・エンジニア・アプリケーションエンジニア・FAE」71.8点
5位:「研究/開発(素材・化学・食品・化粧品・その他)」71.7点

 調査方法は、「総合」「仕事内容」「給与・待遇」「労働時間(残業・休日など)」「職場環境(社風・周囲の社員など)」の五つの指標別に、100点満点中何点かを自己申告してもらっています。対象は正社員として働く20歳~59歳のビジネスパーソン15,000人、調べたのは118職種に上ります。全体平均の仕事満足度は64.7。職場に対する通信簿として、まずまず信頼が置けそうな数字です。

 低い職種は「証券会社(個人)」53.2点、「証券会社(法人)」55.6点、生命保険・損害保険(個人)」55.7点、「デザイナー/クリエーター(出版/広告/Web/映像関連)」57.3点、「店舗開発・施設管理」57.7点など。「自分がやりたい」「新しいことにチャレンジできて、自分自身も成長できる」仕事であれば、労働時間に比べて給与・待遇などに多少不満があったとしても、「今の仕事に満足」と胸を張る人が多いようです。

 より広く19に分けられた「業種」で見ると、70点ラインを超えているのは1位の「コンサルティング」70.3点だけ。2位「教育」68.7点、3位「電気・機械メーカー」68.6点、4位「理容・美容・エステ」68.2点、5位「インターネット・広告・メディア」67.0点と多岐にわたります。満足度コメントを見ると、「自分の資格・スキルを活かせる(コンサルティング)」「自己研鑽できる(教育)」「専門性が高いので、自身の成長もできる(電気・機械メーカー)」など。給与水準が低めでも「仕事内容・人間関係がいいので続けていける(理容・美容・エステ)」「仕事柄いろんな業界を垣間見ることができる(インターネット・広告・メディア)」の声も聞かれました。仕事のやりがいに加え、勤務時間などに自分の裁量がどの程度きくのか、人間関係はどうかなどが総合的な満足度につながっています。

これまで、そしてこれからは?

 この「仕事満足度ランキング」は2013年分からがウェブで公開されています。ただし、業種と職種に分けた分析で比較できるのは2017年からの3年間です。業種ランキングのトップ3を並べてみます。

2017年:「コンサルティング」70.4点「エネルギー」67.0点「メディカル」65.6点
2018年:「コンサルティング」67.0点「メディカル」66.8点「商社」66.5点
2019年:「コンサルティング」70.3点「教育」68.7点「電気・機械メーカー」68.6点

 3年連続満足度トップのコンサルティング業界の強みとして、「給与水準の高さ」「やりがいのある幅広い業務」「職場環境のフラットさ」が挙げられました。

 今回トップ3に入らなかった「エネルギー」「メディカル」「商社」などの満足度は、2019年も65.7~66.2と平均以上を保っています。ただ前回は15位だった「教育」が2位に浮上したのは、「給与・待遇」「労働時間」についての満足度は低いものの、「総合」「仕事内容」「職場環境」の指標が高いレベルを示したため。ということは、働く側の「満足」に対する意識が変化しているのかもしれません。

 たとえば2018年の2位から8位に下落した「メディカル」では、「人の命がかかっているので、つらい時もある」と、重いコメントも聞こえました。2019年の「仕事内容」に関する満足度が最も高い業種は「理容・美容・エステ」である点を見ても、自分の能力や専門性を活かせるかどうか、人間関係はどうかが、今後の仕事満足度を左右する指標になりそうです。

<参考サイト>
・doda「仕事満足度ランキング2019」
https://doda.jp/guide/manzokudo/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
2

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題

保守的な軍国化によって、内戦への機運が高まっているアメリカだが、MAGAと極左という対立図式は表面的なものにすぎない。その根本に横たわっているのは白人とユダヤ人という人種の対立であり、それはカーク暗殺事件によって露...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/06
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
3

『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味

『孟子』に学ぶ、リーダーが過酷な境遇に追い込まれる意味

徳と仏教の人生論(5)陰陽と東洋思想を知ることの意味

宇宙や人生の本質について考察を深めていく今回の講義。前回に続く、宇宙がもう1つの宇宙のような存在をつくりたくて人間を創造したという話は非常に興味深い。陰陽(陰と陽)の両面を理解し、自然の摂理に根差した東洋思想を深...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/11/07
4

ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ

ソニー流「人材の活かし方」「多角化経営の秘密」を学ぶ

編集部ラジオ2025(26)ソニー流!多角化経営と人材論

「人的資本経営」という言葉が、よく聞かれるようになりました。端的にいえば、「人材=コスト」ではなく「人材=資本」として捉え、人を大切にしていこうという考え方です。

「人を大切にする」というのは別に新しい...
収録日:2025/09/29
追加日:2025/11/06
5

職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…

職場への不満は6割以上~ポイントは隠蔽、心理的安全性…

組織心理学~「不満」を生かす(1)不満・相談・予防

「職場に不満を持っている人が6~7割いる」というデータがある。経営者にとっては衝撃的なデータだが、実はリーダーのリーダーシップによってその割合は大きく変わるという。いったいどういうことなのか。不満にも妬み同様「い...
収録日:2023/06/21
追加日:2023/12/08
山浦一保
立命館大学 スポーツ健康科学部 教授 博士(学術:広島大学)