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DATE/ 2015.06.12

「寂しいので会って…」高齢者を狙う出会い系サイト


 「独り暮らしでさみしいので会ってもらえませんか」「悩み相談に乗ってください」、そんな怪しいメールの着信があれば、通常のITリテラシーの持ち主であれば明らかに「出会い系」サイトへの誘導と分かります。

 しかし、ここ数年のスマホの普及によって、あまりITリテラシーのない高齢者が悪質な「出会い系」有料メール交換サイトの被害にあっています。

 オレオレ詐欺のような高額振込に対して、コンビニなどで容易に購入できるようになった電子マネーを使った有料メール詐欺は、本人はもとより近親者でも気がつくことは難しいのです。気がついたら3年間で1,000万円以上を支払ったという76歳無職男性のケースもあるほどです。

 結果、貯金をすべて切り崩し、個人年金や保険なども解約、気がついた時には生活もままならなくなってしまう…

 高齢者の寂しさや下心、義侠心をターゲットにしたメールの語り口は「秘密にしてほしい」という病気ネタから、「見捨てないで」というように、メールが途切れないように続かせることを意図した巧妙さにあります。

 「出会い系」有料メールにのめり込むと、人に相談することもはばかられることから、財産を無くしかけて気がつくことが多いようです。

 こうした有料メール交換サイトはこれまで独身男性をターゲットにして大きく成長してきました。有料メール交換サイト業者は、いわゆる「サクラ」として、利用客を擬装して課金を長引かせるメールを発信するメールオペレーターを雇用しているケースが多いのです。

 こうした「サクラ」メールで利益を貪る業者の多くは、悪質な脱税容疑で告発されていますが、「サクラ」か否かという心理誘導の立件は難しいようです。

 こうした業者の摘発に際して、利用していた高齢者は、「まさか自分がだまされるとは」「すべてがウソだと信じたくない」とコメントしています。

 国民生活センターに寄せられた「出会い系」有料メール交換サイトの相談数は、2004年度以降大幅に減っています。しかし60歳以上の高齢者の相談は約4倍に増えているのです。

 寂しさに「出会い」を持ちかけるだけでなく、金品の提供、悩み相談を持ちかけたり、無料から有料課金を持続させる手口は悪質化し、ネット環境とコミュニケーションの知識の乏しい高齢者を直撃しています。

 こうした被害を少しでもなくすために、高齢者が相談できる環境と正しい知識から注意を喚起していくことが一層必要になってくるのではないでしょうか。

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