テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.09.12

世界の「軍事力」ランキング

 世界的な権威を誇るアメリカの軍事評価機関「Global Firepower(グローバル・ファイヤーパワー)」が、「2020 Military Strength Ranking(2020年・世界の軍事力ランキング)」を発表しました。

 「世界の軍事力ランキング」は、人口、兵力、兵器数、国防予算、各国の地理的位置、ロジスティックス、経済力、天然資源の入手可能性等、50以上の要素を総合的に評価した「Power Index(軍事力指数)」のスコアを国別に算出。総合的な軍事力ランキングを作成のうえ、毎年発表しています(ただし、核兵器は評価基準に含まれていない)。

 では早速、グローバル・ファイヤーパワー版「2020年・世界の軍事力ランキング」トップ10をみていきましょう。2020年は138カ国でのランキングとなっています。なお、軍事力指数は小さい方が上位で、「0」が“Perfect”です。

「2020年・世界の軍事力ランキング」1位~5位

《1位:アメリカ》
軍事力指数:0.0606
人口:329,256,465人(3/138)
活用可能な人員数:144,872,845人(3/138)
年間新規成人数:4,188,274人(7/138)
現役兵員数:1,400,000人(3/138)
予備役兵員数:860,000人(9/138)
航空機:13,264機(1/138)
戦車:6,289台(2/138)
主要艦艇:490隻(4/138)

 1位のアメリカは、いわずと知れた世界一の軍事大国です。兵力や軍備をはじめ、あらゆる面で圧倒的な軍事力を保有しています。

《2位:ロシア》
軍事力指数:0.0681
人口:142,122,776人(9/138)
活用可能な人員数:69,640,160人(9/138)
年間新規成人数:1,306,449人(9/138)
現役兵員数:1,013,628人(5/138)
予備役兵員数:2,000,000人(4/138)
航空機:4,163機(2/138)
戦車:12,950台(1/138)
主要艦艇:603隻(3/138)

 次点となった2位のロシアは、冷戦時のアメリカとの2強時代からは差が開いたものの、やはり総合的な軍事力のポテンシャルを有しています。

《3位:中国》
軍事力指数:0.0691
人口:1,384,688,986人(1/138)
活用可能な人員数:752,855,402人(1/138)
年間新規成人数:19,614,518人(2/138)
現役兵員数:2,183,000人(1/138)
予備役兵員数:510,000人(12/138)
航空機:3,210機(3/138)
戦車:3,500台(7/138)
主要艦艇:777隻(2/138)

 続く3位は、近年軍事費を増やし続けている中国です。中国の軍拡には、すさまじい勢いがあります。

《4位:インド》
軍事力指数:0.0953
人口:1,296,834,042人(2/138)
活用可能な人員数:622,480,340人(2/138)
年間新規成人数:23,116,044人(3/138)
現役兵員数:1,444,000人(2/138)
予備役兵員数:2,100,000人(3/138)
航空機:2,123機(4/138)
戦車:4,292台(5/138)
主要艦艇:285隻(9/138)

 4位には、中国とならぶ軍事新興大国のインドがランクイン。経済成長や人口増加とともに軍備増強にも熱心で、特に武器輸入を積極的に行っています。

《5位:日本》
軍事力指数:0.1501
人口:126,168,156人(10/138)
活用可能な人員数:53,873,803人(11/138)
年間新規成人数:11,782,201人(3/138)
現役兵員数:247,160人(23/138)
予備役兵員数:56,000人(41/138)
航空機:1,561機(6/138)
戦車:1,004台(21/138)
主要艦艇:155隻(19/138)

 今回5位となった日本は、憲法で「戦力の不保持(軍隊を持たない)」をうたっています。しかしながら国としての自衛権は当然ながら保持しています。自国の防衛や自衛隊等を含めた軍事力のあり方について様々な意見がありますが、緊迫する国際情勢をふまえ、ますます慎重な舵取りが求められています。

「2020年・世界の軍事力ランキング」6位~10位

《6位:韓国》
軍事力指数:0.1509
人口:51,418,097人(27/138)
活用可能な人員数:25,709,049人(26/138)
年間新規成人数:632,443人(34/138)
現役兵員数:580,000人(7/138)
予備役兵員数:3,100,000人(2/138)
航空機:1,649機(5/138)
戦車:2,614台(11/138)
主要艦艇:234隻(13/138)

 6位の韓国は北朝鮮との対立や日本との領土問題を抱え、海軍を中心に軍事力強化をはかっています。

《7位:フランス》
軍事力指数:0.1702
人口:67,364,357人(21/138)
活用可能な人員数:30,111,868人(22/138)
年間新規成人数:776,483人(28/138)
現役兵員数:268,000人(21/138)
予備役兵員数:183,635人(26/138)
航空機:1,229(8/138)
戦車:528台(32/138)
主要艦艇:180隻(17/138)

 ヨーロッパの軍事大国フランスが、7位にランクイン。兵力レベルと軍備バランスともに、世界最高レベルといわれています。

《8位:イギリス》
軍事力指数:0.1717
人口:65,105,246人(22/138)
活用可能な人員数:29,948,413人(23/138)
年間新規成人数:745,117人(30/138)
現役兵員数:192,660人(27/138)
予備役兵員数:83,000人(35/138)
航空機:733機(15/138)
戦車:227台(57/138)
主要艦艇:88隻(27/138)

 8位のイギリスは、伝統的に強力な海軍力を有する国です。現在も世界屈指の海軍力を保持しています。

《9位:エジプト》
軍事力指数:0.1872
人口:99,413,317人(14/138)
活用可能な人員数:42,946,553人(15/138)
年間新規成人数:1,551,229人(16/138)
現役兵員数:440,000人(11/138)
予備役兵員数:480,000人(13/138)
航空機:1,054機(10/138)
戦車:4,295台(4/138)
主要艦艇:316隻(7/138)

 “世界の火薬庫”と称され多数の軍事強国がひしめく中東地域から、アラブ陣営の盟主ともいえるエジプトが、9位にランクインしています。

《10位:ブラジル》
軍事力指数:0.1988
人口:208,846,892人(5/138)
活用可能な人員数:107,764,996人(5/138)
年間新規成人数:3,383,821人(9/138)
現役兵員数:334,500人(17/138)
予備役兵員数:1,340,000人(6/138)
航空機:715機(16/138)
戦車:437台(34/138)
主要艦艇:112隻(24/138)

 10位のブラジルは、中南米最大の軍事大国です。特に海軍が充実しています。

軍事力から考察するこれからの世界

 なお、2020年版の最下位となる138位はブータン(軍事力指数:10.1681)でした。ブータンの現役兵員数は7,000人、航空機は2機、さらには予備役兵員数0人、戦車0台、艦艇0隻となっています。ブータンの軍事力の低さの理由には、隣国のインドとの条約締結による軍事面での指導が挙げられます。

 他にも、日本の近隣国のうち、トップ10には入っていないものの25位にランクインしている北朝鮮(軍事力指数:0.3718)も、軍事力の強化に積極的です。特に現役兵員数1,280,000人(4/138)および、予備役兵員数600,000人(10/138)と、高い兵力を有しています。

 いかがでしたでしょうか。「2020年・世界の軍事力ランキング」の一部を駆け足でみただけでも、世界の軍事力にまつわる多様な実態や懸念が、多少なりとも具体化されましたでしょうか。

 さらに別の視点からも世界の軍事力をみてみると、核保有国(アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、イスラエル、インド、パキスタン、北朝鮮)といった、大きな課題もみえてきます。そして、軍事力を行使した後や軍事力を背景とした国際的な圧力など、様々な課題が浮かび上がってきます。

 生きている以上誰しも、世界や国家の関係性から外れることはできません。そして、世界や国家の関係性には、各国の軍事力が大きな影響を及ぼしています。これからをよりよく生きていくためにもぜひ一度、世界や国家間の情報を更新のうえ、国のあり方や個人としての生き方、その背景ともいえる国際情勢や各国の軍事力の関係など、いろいろな角度や視点から考察してみてほしいと思います。

<参考文献・参考サイト>
・2020 Military Strength Ranking│Global Firepower
https://www.globalfirepower.com/countries-listing.asp
・日本が五強入り、 2020年「世界の国別軍事力ランキング」トップ50│msnニュース
http://a.msn.com/01/ja-jp/BBZF1aE?ocid=scu2
・『図解一目でわかる!世界の軍事力』(ワールドミリタリー研究会著、PHP研究所)
・「自衛隊」『日本大百科全書』(藤井治夫・村井友秀著、小学館)
・「自衛権」『日本大百科全書』(石本泰雄著、小学館)
・「ブータン」『世界大百科事典』(応地利明著、平凡社)
・世界の核兵器、これだけある:朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/special/nuclear_peace/change/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

シフトワークによる脱同調に要注意…時差ボケへの対策は?

シフトワークによる脱同調に要注意…時差ボケへの対策は?

睡眠と健康~その驚きの影響(5)時差ボケと脱同調

シフト勤務者にとって避けて通れない問題がある。それは、時差ボケによる睡眠のリズムである。現在、日本では労働者の何割かがシフトワークに就いているが、この働き方では睡眠のリズムが崩れ、健康を大きく害する危険がある。...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/07/03
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
2

なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」

なぜ『ホトトギス』に注目?江藤淳の「リアリズムの源流」

AI時代に甦る文芸評論~江藤淳と加藤典洋(2)江藤淳の「リアリズムの源流」

文芸評論を再考するに当たり、江藤淳氏の「リアリズムの源流」を振り返ってみる。一般的に日本で近代小説が始まった起源は坪内逍遥だといわれるが、江藤氏はそれに疑問を呈す。そして注目したのが、夏目漱石の「坊ちゃん」であ...
収録日:2025/04/10
追加日:2025/07/02
與那覇潤
評論家
3

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

ヨーロッパとは?地図で読み解く地政学と国際政治の関係

地政学入門 ヨーロッパ編(1)地図で読むヨーロッパ

国際政治の戦略を考える上で今やかかせない地政学の視座。今回のシリーズではヨーロッパに焦点を当て、地政学の観点から情勢分析をする。第1話目では、まず地政学の要点をおさらいし、常に揺れ動いてきた「ヨーロッパ」という領...
収録日:2025/02/28
追加日:2025/05/05
小原雅博
東京大学名誉教授
4

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

最悪のシナリオは?…しかしなぜ日本は報復すべきでないか

第2次トランプ政権の危険性と本質(8)反エリート主義と最悪のシナリオ

反エリート主義を基本線とするトランプ大統領は、金融政策の要であるFRBですらも敵対視し、圧力をかけている。このまま専門家軽視による経済政策が進めば、コロナ禍に匹敵する経済ショックが世界的に起こる可能性がある。最終話...
収録日:2025/04/07
追加日:2025/06/28
柿埜真吾
経済学者
5

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

アジア的成熟国家モデルづくりへ、日本が目指すべき道とは

日本の財政と金融問題の現状(4)日本が目指すべき成熟国家への道

機関投資家や経営者の生の声から日本の金融市場の問題点を見ていくと、リスクマネーを供給するための市場づくりや人材育成等の課題が浮き彫りになる。良質なスタートアップ企業を育てるにはどうすればいいのか。今こそアジア的...
収録日:2025/04/13
追加日:2025/07/01
木下康司
元財務事務次官