社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.11.04

水漏れで高額請求!くらしのレスキューの注意点

 「トイレや台所の水漏れで困った時には〇〇へ!」テレビCMやポスティングで各社が宣伝を競っている業界ですが、トラブルも少なくないと言います。政府広報が注意を呼びかけているほか、高額請求が報じられるケースも。どんなところに気をつけると良いのでしょうか。

政府広報でも注意喚起 具体例は…

 そう頻繁に経験するわけではないものの、どんな家でもある程度の確率で発生し得る水周りのトラブル。起きてしまったらすぐに修理しないと水浸しになる、水が垂れ流しになってしまうなど、すぐさま手当てする手段を見つけないといけないことも多いでしょう。だからこそ各業者はこぞって宣伝をし、「もしも」の事態が起きた時すぐに連想してもらえるよう工夫をこらしているわけです。冷蔵庫に貼り易い宣伝用のマグネットをポスティングする業者もよく見かけますね。

 政府広報では水漏れに加え鍵を紛失した際など暮らしの中での困った出来事の対処を手助けするサービスを「暮らしのレスキューサービス」と呼んでおり、業者選びの注意を呼び掛けています。というのも、全国の消費生活センター等に寄せられる相談件数が年々増加しているというのです。2013~2018年度に受け付けた国民生活センターなどのデータによると、「暮らしのレスキューサービス」関連の相談件数の上位2件はトイレの修理(4270件)、水漏れの修理(2682件)と水回り系が占めています。

 トラブルの事例としては「『見積り・出張無料』とチラシに書いてあったにも関わらず、見積もりを依頼したら勝手に蛇口を取り外し、作業費を請求された」という内容が紹介されています。その他鍵交換や害虫駆除のトラブルも例示しつつ、よく見られるのはインターネットやチラシの広告を見てその場で業者を選んでいる、相見積もりを取っていない、見積もり無料のはずが費用を請求される、クーリング・オフに応じてもらえない、などが挙げられています。

 また、読売新聞オンラインでも「7万円の工事が『65万円』、水回り修理で高額請求トラブル相次ぐ」という記事で同様のサービスにおいて高額請求が相次いでいることを報じています。「見積もり無料」だったはずなのに、見積書を見せないまま勝手に工事を始め、65万円が請求された、しかし相場では7万円程度で済む作業だった、という悪質な内容です。こうした被害が愛知県周辺で相次いでいることから、同県内の弁護士らが「悪質!『トイレのつまり』ぼったくり被害対策弁護団」という団体を結成する動きも見せています。

トラブルを避けるためにはどうすれば

 どうすればこのような事態に遭遇せずに済むのでしょうか?政府広報では「日ごろから、信頼できる業者を探すなど情報収集をしておきましょう」としていますが、そうは言っても日頃から「暮らしのレスキューサービス」業者をしっかり調べている人は少ないことでしょう。すぐにでも業者を呼びたいことも多いと思いますが、可能であれば相見積もりを取ることが重要です。複数の業者に当たれば、ある程度相場観もつかめるはずですので。もしも不当と思える額を払ってしまった場合は、消費生活センターに相談してみるのも手です。また、水漏れであれば水道局にまずは問い合わせをして、業者に頼まなければいけないのか、水道局が手配をするのか確認をしてみるのも大事です。都道府県によっても異なりますが、水道局が工事事業者をあっせんしてくれることもありますので、調べてみるのも良いでしょう。

 と、ここまで業者悪玉論にも見えるような展開をしてきましたが、当然きちんと修理をしてくれる業者が大多数です。ただし、中には悪質業者もいることは事実なので、そうした“はずれ”を引かないためにも、できるだけ対処をできるようにしてくださいね。

<参考サイト>
・水漏れ、解錠、トイレ修理…緊急時の駆け付けサービスのトラブルにご注意! | 暮らしに役立つ情報 | 政府広報オンライン
https://www.gov-online.go.jp/useful/article/201906/1.html
・7万円の工事が「65万円」、水回り修理で高額請求トラブル相次ぐ : 社会 : ニュース : 読売新聞オンライン
https://www.yomiuri.co.jp/national/20201011-OYT1T50117/
・漏水修繕の依頼先 | くらしと水道 | 東京都水道局
https://www.waterworks.metro.tokyo.jp/kurashi/trouble/shuri.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
物知りもいいけど知的な教養人も“あり”だと思います。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
2

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

布団に入る何分前がいい?入眠しやすいお風呂の入り方

熟睡できる環境・習慣とは(3)睡眠にいい環境とお風呂の入り方

眠る環境は各家庭の状況や個人の好みによって大きく異なるが、一般的に「良い睡眠」のために望ましい環境はどのようなものだろうか。布団や枕などの寝具、エアコンなどの室温コントロールを含めた寝室の環境、また寝つきの良く...
収録日:2025/03/05
追加日:2025/12/07
西野精治
スタンフォード大学医学部精神科教授
3

世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係

世界は音楽と数学であふれている…歴史が物語る密接な関係

数学と音楽の不思議な関係(1)だれもがみんな数学者で音楽家

数学も音楽も生きていることそのもの。そこに正解はなく、だれもがみんな数学者で音楽家である。これが中島さち子氏の持論だが、この考え方には古代ギリシア以来、西洋で発達したリベラルアーツが投影されている。この信念に基...
収録日:2025/04/16
追加日:2025/08/28
中島さち子
ジャズピアニスト 数学研究者 STEAM 教育者 メディアアーティスト
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏のすごさ…波へのこだわり

葛飾北斎と応為~その生涯と作品(2)『富嶽三十六景』神奈川沖浪裏への道

役者絵からキャリアを始め、西洋の画法を取り入れながら読本の挿絵を大ヒットさせた葛飾北斎。その後、北斎が描いていった『北斎漫画』や浮世絵などの数々は、海外に衝撃を与えてファンを広げるほどのものになっていく。60代は...
収録日:2025/10/29
追加日:2025/12/06
堀口茉純
歴史作家 江戸風俗研究家