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DATE/ 2020.12.06

世界で最も話されている「言語」は?


 世界にはどのくらいの言語の数があると思いますか。また、世界で最も話されている言語は何語だと思いますか。言語に詳しくなくとも中国語か、英語か、それともスペイン語かなとなんとなく見当がつくかもしれませんが、世界で一番話者が多いのはどの言語でしょうか。

 いっぽうで、国際化が進むにつれて消滅危機にさらされている言語もあります。今回の記事では、このような世界中の言語事情についてご紹介していきます。

世界にはいくつの言語があるか

 世界にはいくつの言語があると思いますか。どこまでを言語の種類に含めるかという問題もありますが、方言も含めるとだいたい6000から7000ほどだと言われています。

 そのうち、なんと2500の言語が「消滅危機言語」に該当するのだそうです。およそ10年前にユネスコ(日本ユネスコ協会連盟)が発表しました。

日本の言語も消滅危機言語?

 ユネスコは「消滅危機言語」を次の6段階で示しています。

(1)安全 すべての世代によってその言語が話されている状態
(2)脆弱 ほとんどの子供たちが話しているが、特定の場所(家庭など)に限って使われている状態
(3)危険 子供が家庭でもはや母語として習得しない状態
(4)重大な危機 祖父母以上の世代によって話されており、親世代では理解されるものの会話で使用されておらず、親子や子供同士でも話されていない状態
(5)極めて深刻 祖父母の世代でさえ部分的に、また、まれにしか話されない状態
(6)消滅 その言語を話す人がいない状態。なお、ユネスコの報告書では言語と方言を区別せず、ランゲージ[language]として統一的に扱っている

 実は日本国内の言語・方言についても、アイヌ語が「極めて深刻」に認定されています。また、「重大な危機」に八重山の方言である八重山語、与那国方言である与那国語。さらに「危険」レベルに沖縄語、国頭語、宮古語、奄美語、八丈語が認定されています。

世界で最も話されている言語 第3位

 「消滅危機言語」があるいっぽう、この記事のタイトルにもなっている「世界で最も話されている言語」は何語でしょう。冒頭には「中国語」「英語」「スペイン語」を挙げましたが、いかがでしょう。

 では、第3位から発表していきましょう。世界最大の統計ポータルと言われている「Statista」の「2019年に世界で最も話されている言語(The most spoken languages worldwide in 2019)」によると、第3位は「英語」でも「中国語」でも「スペイン語」でもなく「ヒンディー語」でした。話者は6億3700万人とされています。

 「スペイン語」は、5億3800万人で第4位でした。こうなると、首位決戦はやはり英語と中国語ということになりそうです。

首位は「英語」か、「中国語」か

 それでは第1位と第2位を続けて発表します。第1位は12億6800万人で「英語」、第2位は11億2000万人で「北京語」でした。ウェブサイトには「中国語」ではなく「北京語(Mandarin)」と表記されています。「中国語」には「広東語」「上海語」に含まれるのであえて「北京語」としているのでしょう。

 4位までお伝えしたので、ベスト5ということで第5位もお伝えします。第5位は「フランス語」。2億7700万人でした。ちなみにワールドアトラス(WorldAtrass)の「世界で最も話されている言語は何ですか?(What Are The Most Spoken Languages In The World?)」(2020)という別記事でも、話者の数は多少異なりますが、順位は同じで英語、北京語、ヒンディー語、スペイン語、フランス語の順番でした。

英語は第二言語の話者が多い

 実は上述のStatistaの2017年版「世界で最も話されている言語」の記事では1位が中国語、2位がスペイン語、3位が英語という結果でした。なぜ数年でこれだけ結果に大きな違いが出るのかと疑問に思われる方も多いと思いますが、この2017年の発表は「母国語」の話者に集計を限定していることからこのような違いが生まれています。

 「母国語」の話者に限定すると英語の話者の数は激減します。英語は話者そのものは多いものの、第二言語、第三言語として使用している人が多いからです。この点も興味深いですね。

インターネットで一番使われている言語は?

 また、インターネットで一番使われている言語を調査した統計もあります。Statistaによると、1位は英語で25.9パーセント、2位が中国語で19.4パーセント、3位スペイン語で7.9パーセント。日本語は2.6パーセントで8位でした。(2020年1月時点)

 昨今、英語教育が盛んに叫ばれていますが、やはり今後のグローバル社会においては英語、それから中国語が使える人材が重宝されそうです。ただし、言語学習にはベースとして母国語である日本語の能力も不可欠です。

 日本の文学者である石牟礼道子さんがノーベル賞の候補に挙げられながらも、小説が熊本の水俣方言で書かれているがゆえに海外ではあまり理解されず、2018年に逝去され、結局受賞を逃したのは非常に残念なことでした。多様性の観点からも、自分が生まれた土地の方言や消滅危機言語も看過すべきでないでしょう。

<参考サイト>
・The most spoken languages worldwide in 2019
https://www.statista.com/statistics/266808/the-most-spoken-languages-worldwide/
・Most common languages used on the internet as of January 2020, by share of internet users
https://www.statista.com/statistics/262946/share-of-the-most-common-languages-on-the-internet/
・世界にいくつ言語があるか?│公益財団法人日本英語検定協会
https://www.eiken.or.jp/eiken-junior/enjoy/welcome/detail01/detail_01.html
・消滅言語│ジャパンナレッジ
https://japanknowledge.com/psnl/display/?lid=1001050310219
・What Are The Most Spoken Languages In The World?│World Atlas
https://www.worldatlas.com/articles/most-popular-languages-in-the-world.html

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