テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2020.12.13

なぜ自販機の表記に「~」が入るのか?

 暗い夜道で自販機を見つけるとほっとします。寒い時期には暖かい飲み物を、暑い時には冷たい飲み物をいつでも準備してくれているのは、ほんとにありがたいもの。こうした自販機の表示をよく見ると、「あたたか~い」「つめた~い」といったように「~」が入っている表示をよく目にします。「~」はなぜつけられるようになったのでしょうか。

多くの自販機が「あったか~い」「つめた~い」を採用

 自販機の表記は「あったか~い」「つめた~い」以外にも、シンプルに「あったかい」「つめたい」と表記されているものもあるそうです。ちなみに筆者の近所の自販機は、ほぼ全て「あったか~い」「つめた~い」といった「~」入りの表記でした。

 この表記は飲料メーカーが決め、自販機メーカーが実際に作っているものだそうです。また、ガイドラインでは基本的には「あたたかい/つめたい」もしくは「あったか~い/つめた~い」の2種類が想定されているとのことです。また色に関しても、「温かい飲み物は「赤字に白抜き」、冷たい飲み物は「青地に白抜き」が基本となっている」とのこと。ただし、いずれも強制力はないそうです。

 たしかに、「あたたかい/つめたい」でも情報としては十分ですが、「あったか~い」「つめた~い」といった表記の方が、なんだか人肌感があるというか、機械的ではなく和む感じがします。最近はほとんどの場合、「あったか~い」「つめた~い」となっており、「~」がないものはかなり古いものとのこと。ただ外国人観光客などにもわかりやすい表記を求めるとすれば、「HOT/COLD」といった表記も必要かもしれません。

最近は「常温」の自販機も増えている

 ながらく自販機はこの「あったか~い」と「つめた~い」が季節に合わせて切り替わるものでしたが、最近はこのどちらでもないものも出てきているようです。それが「常温」。日本自動販売システム機会工業会によると、自販機で「あったか~い」と表示されているものの温度は約55度程度。また、「つめた~い」と表示されているものは約5度です。これらに対して「常温」は約20度。

 これはアサヒ飲料が「冷えた飲み物を飲みたくない」という需要に応じようと始めたものです。2016年当初は300台でしたが、2019年には全国で1万3000台が稼働しているとのこと。主に、オフィスや病院、スポーツ施設などといった常温のニーズが見込まれるロケーションを中心に今後も展開するとのことです。健康管理に対する意識の高まりに応じた、あたらしい試みと言えるでしょう。

 たしかに、冷たい飲み物ばかりを摂取するとお腹を壊すことがあります。冷たい飲み物は確かにのどごしはいいのですが、体に負担がかかることも確かです。また、エアコンが効いているオフィスや体が冷えやすい女性など常温で飲みたいと思うのも当然です。また、冷たい飲み物をカバンの中に入れて、水滴で中が濡れてしまうのが嫌」という意見もあるようです。こういった需要をとらえて、コンビニなどでも「常温」のドリンクを置くところも増えているようです。

<参考サイト>
・「あったか~い」「つめた~い」じゃない!アサヒ飲料、常温自販機を年内300台へ│日刊工業新聞社(2016.5.18)
https://newswitch.jp/p/4700
・「あたたかい」でも「つめたい」でもない、「常温」の自販機が増えている理由 | オトナンサー
https://otonanswer.jp/post/35858/
・夏でもホットを飲む女性は6割以上! 冷たすぎない「常温自販機」も登場|レタスクラブ
https://www.lettuceclub.net/news/article/115519/
・なぜ自販機には「つめたい」と「つめた~い」が混在?「炎」や「氷」マークで表示の例も | ラジトピ ラジオ関西トピックス
https://jocr.jp/raditopi/2020/10/21/162334/
・よくあるご質問|日本自動販売システム機会工業会
https://www.jvma.or.jp/information/information_5.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
「学ぶことが楽しい」方には 『テンミニッツTV』 がオススメです。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える

人間はどうやって「理解する」のか?『学力喪失』から考える

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
2

一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界

一強独裁=1人独裁の光と影…「強い中国」への動機と限界

習近平中国の真実…米中関係・台湾問題(1)習近平の歴史的特徴とは?

「習近平中国」「習近平時代」における中国内政の特徴を見る上では、それ以前との比較が欠かせない。「中国は、毛沢東により立ち上がり、鄧小平により豊かになり、そして習近平により強くなる」という彼自身の言葉通りの路線が...
収録日:2025/07/01
追加日:2025/09/25
垂秀夫
元日本国駐中華人民共和国特命全権大使
3

軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか

軍政から民政へ、なぜ李登輝はこの難業に成功したのか

クーデターの条件~台湾を事例に考える(4)クーデター後の民政移管とその方策

台湾でのクーデターを想定したとき、重要になるのがその成功後の民政移管である。それは民主主義を標榜する民進党の正統性を保つためであるが、それはいったいどのように果たされうるのか。一度は民主化に成功した李登輝政権時...
収録日:2025/07/23
追加日:2025/10/11
上杉勇司
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科教授 沖縄平和協力センター副理事長
4

仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考

仕事をするのに「年齢」は関係ない…不幸を招く定年型思考

『還暦からの底力』に学ぶ人生100年時代の生き方(1)定年制は要らない

新著『還暦からの底力』のなかには、「人生100年時代」を幸せに送るためのヒントが詰まっている。今回のシリーズでは、その本をもとに考え方の軸を根本から変える秘訣を伺った。その一つが「定年型社会」に対する提言だ。本人が...
収録日:2020/06/30
追加日:2020/08/01
出口治明
立命館アジア太平洋大学(APU)学長特命補佐
5

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本

組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授