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なぜキーボードの配列はABCではないのか?
何気なく入力しているキーボードですが、慣れないうちはキーボードをよく見ながら練習したのではないでしょうか。アルファベット順だったらもっと覚えやすかったのに、と思った人もいるかもしれません。ではなぜキーボードの文字配置は今のような形なのでしょうか。
タイプライターの配列の原型が提案されたのは1870年ころ。提案したのは、Christopher Latham Sholesというアメリカ人です。このころはまだABC順をベースにしたものでしたが、このあと電信学校や電信会社に売り込まれています。カギはここにあります。こういった場所で当時よく使われていたモールス信号の打ちやすさに合わせることが改良の始まりだったようです。この段階での改良でかなり今のQWERTY配列に近づきます。そこから英語でよく使われるerやreといったつづりを打ちやすくするため、これらのアルファベットが近くになるよう移動していきました。
こうして、1874年にSholesのライプライターの配列はすでにほぼQWERTY配列となって発売されます。しかし、この時点ではMキーが中段の一番右側にあります。Mの位置が今の下段に移動したのは1882年。理由は、別の会社がこのタイプライターの独占販売権を獲得した際「Sholesに特許使用料を支払わないようにするため」だったようです。なかなか複雑な大人の事情が絡んでいることがわかります。
またSholesがこういった配列にした理由に関しては、「タイプライターを早く打ちすぎて機械トラブルが起こるのを防ぐため、わざと打ちにくくした」であるとか、「セールスプレゼンテーションの際、”TYPE WRITER”と打ちやすくするため」などなどといった、さまざまな話もありますが、この辺りは定かではないようです。
一般にローマ字入力では、初めに覚えるキーの数が少ない分、はじめのハードルは低いです。一方、カナ入力は大量の文字の位置を覚える必要があり、さらに実際には英語で入力する場面も多いので、アルファベットの位置も覚えなければなりません。こういったハードルの高さから、ローマ字入力で学ぶことが多いようです。しかし効率を追求すればカナ入力、という考えも理解できます。ということで、世の中が完全にローマ字入力とならないことにもそれなりの理由があることがわかります。
一般的な配列が「QWERTY配列」になっている理由
現在流通している多くのキーボードの配列は「QWERTY配列(クワーティはいれつ)」と呼ばれるものです。これはアルファベットキーの一番上が左から「QWERTY」と並ぶことから呼ばれるようになったものです。ほかにもDvorak配列(ドヴォラックはいれつ)といったものもあるようですが、あまり普及していません。このQWERTY配列ですが、もともとキーボードの原型であった英文タイプライターの配列を引き継いでいます。ということでタイプライターはどのようにしてこの配列になったのか、ということから見てみましょう。タイプライターの配列の原型が提案されたのは1870年ころ。提案したのは、Christopher Latham Sholesというアメリカ人です。このころはまだABC順をベースにしたものでしたが、このあと電信学校や電信会社に売り込まれています。カギはここにあります。こういった場所で当時よく使われていたモールス信号の打ちやすさに合わせることが改良の始まりだったようです。この段階での改良でかなり今のQWERTY配列に近づきます。そこから英語でよく使われるerやreといったつづりを打ちやすくするため、これらのアルファベットが近くになるよう移動していきました。
こうして、1874年にSholesのライプライターの配列はすでにほぼQWERTY配列となって発売されます。しかし、この時点ではMキーが中段の一番右側にあります。Mの位置が今の下段に移動したのは1882年。理由は、別の会社がこのタイプライターの独占販売権を獲得した際「Sholesに特許使用料を支払わないようにするため」だったようです。なかなか複雑な大人の事情が絡んでいることがわかります。
またSholesがこういった配列にした理由に関しては、「タイプライターを早く打ちすぎて機械トラブルが起こるのを防ぐため、わざと打ちにくくした」であるとか、「セールスプレゼンテーションの際、”TYPE WRITER”と打ちやすくするため」などなどといった、さまざまな話もありますが、この辺りは定かではないようです。
カナ入力も起源はタイプライター
一方、日本語入力に特化した入力方法に「カナ入力」がありますが、これもあいうえお順ではありません。起源はやはりタイプライターです。1923年ごろに開発されました。このころはセソヘケなどはシフトキーを押しながら打つ仕組み。1952年にアルファベットとカナの両方を打てるタイプライターが発売されますが、このときアルファベットを優先させるために小書きの文字や記号が削られるなど大きな変化があります。その後1970年に電電公社(現NTT)が発売したものが、現在のカナキー配列のものとのこと。アルファベットとカナ文字のバランスをどうすればよいかというところで、さまざまな苦労があったことが想像できます。カナ入力派は全体の1割
ここまで英字入力、カナ入力両方のキーボードの歴史をたどってみました。では日本語入力での「ローマ字入力」と「カナ入力」はどちらが便利なのでしょうか。実際の利用割合を見てみると2015年の調査でおよそ90%以上がローマ字入力という結果となっています。しかし注目すべきは残り1割のカナ入力派。この多くはITエンジニアだそうです。ローマ字入力では子音と母音の2文字を打たなければならないのに対して、カナ入力では一度のタイピングで1文字を打てるので効率がいいとの理由が多いようです。一般にローマ字入力では、初めに覚えるキーの数が少ない分、はじめのハードルは低いです。一方、カナ入力は大量の文字の位置を覚える必要があり、さらに実際には英語で入力する場面も多いので、アルファベットの位置も覚えなければなりません。こういったハードルの高さから、ローマ字入力で学ぶことが多いようです。しかし効率を追求すればカナ入力、という考えも理解できます。ということで、世の中が完全にローマ字入力とならないことにもそれなりの理由があることがわかります。
<参考サイト>
・キーボードの配列が「アルファベット順」じゃないワケ|BIGLOBE
https://enjoy.sso.biglobe.ne.jp/archives/why_keyboard/
・パソコンのキーボードは,なぜABC順・五十音順ではないのですか|ことば研究館
https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-35/
・キーボードの配置のルーツとキーの役割を知ろう|チエネッタ
https://flets-w.com/chienetta/list/2019/03/nrt_ser-cat36_keyboard-layout.html
・日本でわずか10%! なぜITエンジニアは「かな入力」を使って仕事効率を図るのか?|パーソルテクノロジースタッフ
https://persol-tech-s.co.jp/i-engineer/technology/key-kana
・キーボードの配列が「アルファベット順」じゃないワケ|BIGLOBE
https://enjoy.sso.biglobe.ne.jp/archives/why_keyboard/
・パソコンのキーボードは,なぜABC順・五十音順ではないのですか|ことば研究館
https://kotobaken.jp/qa/yokuaru/qa-35/
・キーボードの配置のルーツとキーの役割を知ろう|チエネッタ
https://flets-w.com/chienetta/list/2019/03/nrt_ser-cat36_keyboard-layout.html
・日本でわずか10%! なぜITエンジニアは「かな入力」を使って仕事効率を図るのか?|パーソルテクノロジースタッフ
https://persol-tech-s.co.jp/i-engineer/technology/key-kana
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