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DATE/ 2021.04.05

資産運用で有名な「72の法則」とは?

 資産運用では「いつまでにどのくらい増やしたいのか」ということを、はじめに想定しておくことが大事です。このときイメージを掴む手立てになるものに「72の法則」と呼ばれるものがあります。簡単に言えば、予定利回り(もしくは固定金利)で運用した際、何年後に2倍になるかを導き出す法則です。実際の例とともに詳しく見てみましょう。

72割る金利=2倍になるまでの期間

 計算方法としては、72を金利で割るだけ。この計算結果が、そのお金が2倍になる期間(年)のおおよその値となります。具体的な計算を見てみましょう。左から予定利回り(固定金利)、計算式、2倍になるまでのおおよその年数です。

1% 72÷1 約72年
2% 72÷2 約36年
3% 72÷3 約24年
4% 72÷4 約18年
5% 72÷5 約14.4年
6% 72÷6 約12年
7% 72÷7 約10.3年
8% 72÷8 約9年
9% 72÷9 約8年
10% 72÷10 約7.2年

 いま手元にある資産の予定利回りが6%の場合、およそ12年後に2倍になるということが想定できます。また、逆に10年で資産を倍にしたいと考えれば、いま買うべきは金利7%の投資商品であるという考え方もできます。このように、投資においてお金を増やすのにかかる時間と、そのために必要な金利との関係をすぐに考えることができるのが「72の法則」です。これはもちろん資産運用だけでなく、住宅ローンで考えても有効です。

 また少し極端な例で考えてみましょう。カードローンでの上限金利は、利息制限法によって決まっています。たとえば10万円未満の場合の利息上限は年20%。つまり、もし20%でお金を借りた場合、倍になるのは72割る20で3.6年となります。もちろんこの計算では途中で元本を一切返さなかった場合という条件はつきますが、利息の果たす役割がいかに大きいかわかる数字ではないでしょうか。

単利商品は「100の法則」

 ちなみに金融商品では、定期的に受け取る利息を元本に組み入れて再投資するタイプの商品と、金利は受け取り、元本に組み入れないタイプの商品があります。前者は複利の投資商品、後者は単利の投資商品ですが、ここで紹介している「72の法則」が適用されるのは複利の方です。つまり、利息が利息を生むことで、雪だるま式に効果的に運用益を上げていくのが複利のメリットと言えます。一方、単利のメリットとしては、収益を定期的に受け取ることができる点です。

 複利の場合は先に挙げた「72の法則」で考えますが、単利の投資商品の場合の計算は「100の法則」で考えます。計算方法は「72の法則」と同様、100を金利で割ります。これに則って予定金利5%で運用した場合、およそ20年かかることがわかります。「72の法則では14.4年」だったので、およそ6年の違いです。短期間でお金が増えれば、それだけ次に投資できる額も大きくなります。このように考えれば、一般的に複利で運用した方が資産は増やしやすいと言っていいようです。

<参考サイト>
72の法則とは│知るぽると
https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/yogo/n/72_no_hosoku.html
マネー賢者は知っている「72の法則」とは ?|大和ネクスト銀行
https://www.bank-daiwa.co.jp/column/articles/2017/2017_43.html
劇的に差がつく「複利」の力!|みずほ銀行
https://www.mizuhobank.co.jp/retail/learn/korekarano_okane/beginner/basic/basic_01.html
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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授