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DATE/ 2024.04.04

在日外国人が言われて「不快な言葉」とは

 世界には多様な国が多数ある中で日本を選んでくれた方達に、ぜひこちらからも話しかけて良好なコミュニケーションを取りたいものですが、しかし、言われるとかえってうんざりする言葉もあります。今回は、在日外国人が言われてうんざりする言葉を考えてみたいと思います。

国が違えばデリカシーに欠ける言葉・3選

1.小顔ですね!
2.鼻が高いですね!
3.何歳ですか?

 あきらかな差別語や侮蔑発言は論外ですが、それ以外にも目や髪の色、身長や体格、ひいては年齢や血液型など、安易に見た目や外見の特徴、さらにはその人の内面や能力とは関係のない言葉を親しくもない間柄で発することは注意が必要です。

 特に欧米圏では小顔や鼻の高さがコンプレックスの場合も多いため、あこがれの気持ちがかえって失礼ということにもなりかねません。他方、東南アジア圏では小柄や華奢がコンプレックスの人も多く、「ちっちゃくてかわいいね!」などもうんざりされたりいやがられたりする場合があります。

 ただし、話し合ったり親しく交流したりする中で、その人の個性であるチャームポイントや強みとして心から美しく素敵に思えたのであれば、「あなたの○○は美しいですね」「あなたの○○が私はとても好きです」など、素直な気持ちで讃えることは素敵なことだと思います。

お国柄風なステレオタイプ言葉・3選

1.さすが○○人!
2.○○人っぽい!
3.○○人だったら△△して!

 ○○には国名を入れてみてください。例えばあなたが日本人だったとしても、「さすが日本人!」「日本人っぽい!」といわれても困りませんか?

 さらに、「あなたは日本人だからすごい!」といわれてもよく考えてみれば返答しようがないように、本来、その人の内面や能力と直接関係のないことを取り上げても、相手を尊重したことにはなりません。

 加えて、△△には各国のステレオタイプを入れてみてください。

 極端に例えると、「スペイン人だったらフラメンコ踊って!」「インド人だったらカレー作って!」「ブラジル人だったらサッカー教えて!」などいいかげんなステレオタイプの強要は、「日本人だったらハラキリして!」と同様の暴言となる危険性を秘めています。

お国自慢風な紋切り型言葉・3選

1.お箸の使い方が上手ですね!
2.あなたの国にも四季はあるの?
3.日本語わかりますか?

 お箸も四季も日本だけの文化や特徴ではありません。しかし、「お箸でいただく繊細な日本食」や「日本には美しい四季がある」といった“日本っぽいもの”は、広く認知されているように思います。自国の良さや強みを誇りとすることは大切ですが、“ぽいもの”を安直に自国だけの美点と捉えるような発言は、言われた方はうんざりしたり気分を害したりしかねません。

 さらに在日外国人の中には、何年も日本に住み、日本の企業で働いたり日本の学校に通っていたり、日本人のパートナーや日本人のコミュニティと良好な関係を築いている人も少なくありません。「お箸の使い方が上手ですね!」や「日本語上手ですね!」が紋切り型の言葉になっていることに、うんざりしてしまうのではないでしょうか。

 以上の9選の言葉から、相手の気持ちを配慮しつつ、安易なステレオタイプや紋切り型に逃げることなく、よく考えて自分の言葉で話しかけるという、コミュニケーションの基本こそが、言葉を発するうえで大切なことが見えてきました。ぜひコミュニケーションの基本を大切にしながら、在日外国人の方達にも積極的に話しかけ、より良い言葉で多様な世界をつくりあってみてください。

<参考サイト>
在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表│法務省
http://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_touroku.html
【要注意】実は傷つけてる!? 来日外国人に言わない方がいい「NGワード」4つ│LIVE JAPAN
https://livejapan.com/ja/article-a0002915/

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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授