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DATE/ 2021.09.10

「カルディ」がウケる理由

 「店頭からコーヒーの香りが漂ってくる食料品店は?」と聞かれたら、迷わず「カルディ」と答えられる人も多いはず。カルディには、看板商品であるコーヒーをはじめ、普通のスーパーマーケットでは見かけないような輸入食材や珍しい調味料、スナックなど、コンパクトな店舗にところ狭しと膨大な商品が積むように並べられ、いつのぞいても店内はお客さんで賑わっています。また、混雑する店舗だけではなく、SNSでも頻繁に取り扱い商品がバズっているカルディ。その人気の理由は、どんなところにあるのでしょうか。

気づいたらメジャーになっていた、カルディってどんな会社?

 1977年にコーヒー豆の焙煎とその卸売として設立された株式会社キャメル珈琲が、小売り店舗「カルディコーヒーファーム」の営業を開始したのは1986年。最初は主力のコーヒー豆や、業務用パスタやトマト缶など限られた商品を扱っていましたが、1992年頃から大きく方向転換。ショッピングを楽しむための独特な陳列レイアウトや、取り扱い商品のバリエーションも増え、今ではカルディのアイコニックな象徴となった店先でのコーヒーのサービスもスタートしました。そして2014年には自社ECサイトもオープン。

 カルディが掲げているのは、海外のマルシェ(市場)のような活気と賑わいのある店舗作り、豊富な品揃えでまるで「宝探し」をするような空間の演出、コーヒーサービスに始まった「おもてなし」の心。そんな「ショッピングをワクワクドキドキと楽しんでもらいたい」というカルディの想いや姿勢が、お店に足を運べば肌で感じられるのも人気や成長の理由と言えます。

カルディがウケている理由には、こんなポイントが!

・便利なロケーションと店舗数
 2021年8月時点で、国内店舗数は500 店に迫る勢い。交通機関でアクセスしやすい駅近や駅構内のショッピング施設、複合ショッピングモール内など、生活や通勤通学の動線に店舗が多くあり、便利で利用しやすいロケーションなのも人気の理由のひとつです。都内なら100店近く出店しているので、SNSで見かけた話題の商品を買いたければ、近隣駅周辺をいくつか探せばカルディに簡単に出会えます。

・次々と入れ替わる新製品
 新製品が次々と販売されるのも魅力のひとつ。あそこに行けばあれが買えるというスーパーのような安定感だけではなく、新しいもの好きな日本人にとってお店に行くたびに新製品があるのは、ただの買い物以上の喜びが。また新商品は話題になりやすくSNSでバズる要因にもなっています。店舗イベントやフェアをしたり、店舗や売場のリニューアルオープンをすることも多いようで、新しい変化=飽きられない、というカルディの戦略があるのかもしれません。

・手を出しやすい価格帯
 輸入食材といったら高価なもの、という一昔前のイメージがありますが、カルディは比較的価格を抑えた商品が多いのもポイント。店内やオンラインサイトをチェックしてみると、500円のワンコイン以下の商品が目立ち、もっと気軽な200円以下のものも多くあります。お目当の商品だけではなく、「これも試しに買ってみよう」という気にさせられる、お財布に優しい価格帯。コンビニやスーパーより少しだけ高いかもしれないですが、高級スーパーやデパートのように贅沢な価格ではありません。

・迷うほどの豊富な品揃え
 特に買うものが決まっていなくても、店内に溢れる膨大な商品を見ているだけでも楽しいのがカルディの特徴。そうなるとつい滞在時間は延び、ちょっと寄ってみようという機会も増えるもの。カルディがコンセプトのひとつにもしている「宝探し」のように、自分だけのお気に入り商品や、掘り出し物に出会えるエンターテイメント性があるのです。商品が多すぎて迷ってしまうという人には、売れ筋商品のポップアップや、さっと商品を案内してくれる店員さんも味方に。

・口コミが響きやすい
 カルディは、手軽な価格、どんどん出る新商品、オンラインショップなど、口コミが響きやすくデザインされているとも言えます。膨大な商品や情報の中で何を選んだらいいのか分からない、という人がインフルエンサーを求めているご時世ですが、「これ美味しい」「おすすめ」と言われても、高価だったりレア過ぎたり手に入りにくいものはなかなかバズりません。その点、カルディの扱う商品の新しさと手軽さは、使える口コミとして購買意欲に直結しやすいのです。

 その他にも、買わなくてもコーヒーをサービスしてくれるおもてなしのサービス精神、女性スタッフメインの親切な接客、カルディ独自のオリジナル製品の開発などの企業努力も人気を支える柱になっているようです。

 在宅時間が増え、これまでより「食」にこだわったり自炊する機会が増えた最近、さらにSNSなどでカルディの名前を目にする機会が増えています。誰しもが必要な「食べる」ことを通して、楽しさや喜びという体験を発信するカルディは、この先ますます人気上昇して行くのではないでしょうか。

<参考サイト>
カルディコーヒーファーム公式サイト
https://www.kaldi.co.jp/
キャメル珈琲グループ
https://camelcoffee.jp/
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テンミニッツTV編集部
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