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DATE/ 2021.10.11

車の塗装が色褪せる原因と対策

 ピカピカだった新車も時間が経つと次第に色褪せてしまいます。モノである以上避けられないことではありますが、ではどういった要因で車の塗装は色褪せてしまうのでしょうか。またなるべく色褪せを防ぐにはどういった対策を取ればいいのでしょうか。

車の塗装が色褪せてしまう最大の原因は紫外線

 塗装が色褪せる最大の原因は、紫外線です。人間も浴びすぎると危険な紫外線ですが、車もこの紫外線により傷みます。車の塗装は基本的に一番下から「下塗り」「中塗り」「上塗り」「クリア塗装」の4層でできており、「下塗り」はサビを防ぎ、「中塗り」は上塗りを補強し、「上塗り」が実際のボディーカラーとなります。これに光沢を加え保護するのが「クリア塗装」です。紫外線はこの最上層で露出している「クリア塗装」から破壊していき、色褪せると表面がざらざらして色が薄くなります。表面に白い粉がつき始める現象(チョーキング)が起きたら「上塗り」塗装が破壊され始めていることを意味します。放っておくとどんどん色褪せていきます。

 また、紫外線という大敵の他にも、花粉や鳥のフン、鉄粉、潮風なども塗装を傷めます。花粉に含まれるタンパク質(ペクチン)は水に濡れるとシミを作ります。毎年花粉症で私たちを悩ませるスギやヒノキの花粉は粘着性があるので厄介です。また鳥のフンには強力な酸性の消化液が含まれているとのこと。他にも虫の死骸や樹液といったものも変色の原因となるようです。また鉄粉や潮風はサビを作る原因です。こういった要素は環境要因なのでなかなか避けられない部分はあります。

色褪せを防ぐには

 こういったさまざまな要因により車は褪色してしまいますが、これを防ぐにはどうしたらいいのでしょうか。まずはとにかく、紫外線を避けるところからです。直射日光に当たらないようにしましょう。もちろん日光の当たらないガレージが使えれば一番いいのですが、それが叶わなければ、できる限りボディカバーをしましょう。ボディカバーをかけておけば、紫外線や花粉、鳥のフンといった環境要因からしっかり守ることができます。

 ただし毎日通勤に使っている人の場合、ボディカバーの着脱は結構厄介です。こういった場合、まずはこまめな洗車を心がけましょう。屋外駐車の場合2週間よりも早いペースで洗車するといいようです。また、雨に濡れた場合はより意識的に洗車しましょう。雨に含まれるミネラルが固着して雨ジミができてしまうことがあります。ただし、風の強い日は避けましょう。風が強い日はホコリや砂、花粉などが付着してしまい逆に傷がつく可能性があります。

色をよみがえらせることは出来るが……

 もし色褪せしたとしたら、自分で対処することも不可能ではありません。まずしっかり汚れを洗い流します。その後ワックスを塗りますが、この時金属部分以外を避けてムラなく塗ること。また、コンパウンド(研磨剤)で塗装面を軽く削って、電動ポリッシャーで仕上げるといった方法もあります。しかし手間がかかります。またエッジ部分や、やや出っ張っている部分など磨きすぎないように注意する必要があったりもします。

 こういった点を考えると、やはりプロに任せた方が安心ではないでしょうか。業者や依頼内容などによっても変動するようですが、数万円程度でできるようです。ただし、再塗装した車は中古車として買取査定を受けた時、価値が下がる可能性が高いとの話もあります。日頃から保管場所に気をつけたり、メンテナンスで塗装を守ったりできれば、それに越したことはないようです。

色褪せしにくい車の色は

 色褪せしにくい車の色は、最大の敵である紫外線を吸収しにくい色、つまり「白」系の色です。クリーム、ベージュ、シルバーといった色も紫外線に強いようです。この考え方でいくと、逆にもっとも色褪せしやすいのは「黒」。ただし、白系が色褪せしにくいといっても、紫外線に対する話です。他の環境要因、例えば鳥のフンが付着していた場合、放っておけば必ず色褪せします。やはり定期的な洗車は欠かせないと言えるでしょう。

<参考サイト>
車の色褪せの原因は?色褪せを防ぐ方法や対処法もご紹介|廃車CAR
https://johndayautomotivelectronics.com/3875/
車の塗装を復活させたい!色褪せ・塗装剥がれの対処法とは|カーコンビニ倶楽部
https://www.carcon.co.jp/column/article/20190901/
【車のボディーカラー】塗装寿命は色で決まる?|CAR&
http://car-and.com/2233/

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今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授