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DATE/ 2022.01.12

最も取得するのが難しい「国家資格」とは

 国の制度に基づいて各種分野における個人の能力や知識が判定され、特定の職業に従事することを証明するのが国家資格。合格率10%以下の超難関から比較的取得が容易なものまで、国家資格について調べてみました。

「三大国家資格」とは? 

 国家資格のなかでもとくに取得が困難とされているのが、医師、法曹三職(司法試験)、公認会計士の3種です。いずれも「業務独占資格」といって、その資格を持っていなければ携わることを禁じられている業務を独占的に行える資格です。

 国家試験の合格率(2021年)は医師91.4%、司法41.5%、公認会計士9.6%とまちまち。これは、それぞれの試験制度や教育体制と密接に関わります。

 医師の場合は医学の正規課程を修めて卒業することが医師国家試験の受験条件。医学部の6カ年のカリキュラムの中に医師国家試験合格が前提として含まれているためです。

 司法試験に合格すると、司法修習を経て裁判官、検察官、弁護士のいずれかの職に就くことができます。司法試験を受験するためには、法科大学院(ロースクール)卒業もしくは司法試験予備試験の合格のいずれかが必須条件となります。免許制と異なり合格定員枠を争う競争試験のため、医師資格より相当低い合格率となっています。

 公認会計士試験は、受験のための年齢や学歴等を問わない国家試験ですが、短答式と論文式が課せられます。大学在学中の10代で合格する人もいれば、定年後の目標とする人もいる資格となっています。

まだある難関国家資格

 三大国家資格で見たように、国家資格の難易度は合格率だけでは判断できません。出題範囲の広さや試験科目ごとのボリューム。記述式問題の多さ、倍率の高さなど、さまざまな要因が関わってきます。

 一般的に言われる国家資格の偏差値は判定する団体によってまちまちです。三大国家資格に続いては、以下のような国家資格が難関と言われるベスト10です。

名称/偏差値/ジャンル/認定団体
司法書士/76/法律/法務省
税理士/75/ビジネス/国税庁
弁理士/75/法律/特許庁
不動産鑑定士/74/不動産/国土交通省
総合無線通信士1級/73/通信/総務省
ITストラテジスト/71/IT/情報処理推進機構
システム監査技術者/70/IT/情報処理推進機構
技術士/70/工業/文部科学省
プロジェクトマネージャ/69/IT/情報処理推進機構
システムアーキテクト/68/IT/情報処理推進機構

比較的簡単に取れる国家資格は

 受験資格を問わない国家資格のなかで、比較的簡単に取れるものはどんなものがあるでしょう。たとえば意外なところで「フォークリフト運転者」があります。

 荷物の積み下ろし現場で必ず見かけるフォークリフト作業をするには、敷地内であっても資格が必要になります。積載量によって講習に必要な日数や費用は変わりますが、1トン未満であれば取得日数は最短2日、取得費用は約15,000円でフォークリフト運転特別教育修了証を取得できます。免許合格率は98%以上と言われ、実技に重点が置かれます。

 その他短期間の講習を受講すれば資格取得できる国家資格は次のようなものがあります。

名称/ジャンル/講習日程
食品衛生責任者/飲食/1日講習会の受講と確認テスト
安全衛生推進者/工業等/2日間の安全衛生推進者養成講習の受講
甲種防火管理者および防災管理者/建物/甲種防火管理者は2日間、防災管理者は1日間の講習受講
ガス溶接技能者/建設・土木等/2日間の講習受講

<参考サイト>
・国家試験合格発表│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/kouseiroudoushou/shikaku_shiken/goukaku.html
・令和3年司法試験の結果について│法務省
https://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00051.html
・令和3年公認会計士試験 合格者調│公認会計士・監査審査会
https://www.fsa.go.jp/cpaaob/kouninkaikeishi-shiken/ronbungoukaku_r03/03.pdf
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