社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.02.19

スマホアプリの「トラッキング許可」とは何か?

 iPhoneでアプリを開くと「”〇〇”(←開いたアプリ名)が他社のAppやWebサイトを横断してあなたのアクティビティをトラッキングすることを許可しますか?」と表示されます。このポップアップメッセージに対して選べるのは「Appにトラッキングしないように要求」もしくは「許可」の2つのみ。果たしてどちらを選べば良いのでしょうか。

「ターゲティング広告を許可するか」についての確認

 このメッセージ、以前は「トラッキング」ではなく「追跡」とされていたようです。この部分は英語だと単にTrackと示されているようです。確かに「追跡」と見るとなにかリスクがあるようにも感じます。しかし、実際のところセキュリティ上なにか危険があるわけではないようです。Appleの公式サイトによると次のように示されています。

 「トラッキングが行われると、個人やその所有デバイスを特定するような情報をAppが収集し、その情報がターゲティング広告や広告効果測定といった目的で、他社が所有する App、Web サイト、その他の場所で収集された同一個人やその所有デバイスを特定する情報と紐付けられたり、App が収集した情報がデータブローカーと共有されたりします。」

 つまり、スマホに記録された行動履歴を収集していいかどうかを確認されているようです。これを許可したアプリは、さまざまなアプリの利用履歴や検索履歴、GPSの位置情報などをもとにしたターゲティング広告が流れることになります。これにより、個人が特定されるようなことはありません。ただし、無断で個人情報を収集するのは問題なので、確認されるということです。なお、このアプリごとの確認メッセージが出るのはiOS14.5以降となっています。

あとでいつでも変更できる

 設定はいつでも変更できます。「設定」アプリを開き、「プライバシー」、「トラッキング」と進んだところでアプリごとにオンオフできます。またこの項目の一番上には「Appからのトラッキング要求を許可」という項目があります。ここをオフにすれば、一括で「許可しない」設定にもできます。

 またそのアプリがどういった情報を取得しているのかということも確認する方法があります。「App Store」アプリを開き、確認したいアプリのページにいきます。下の方にスクロールしていくと「Appのプライバシー」という項目があります。この下の「ユーザーのトラッキングに使用されるデータ」に入っているものが共有される情報です。この辺りをよく確認してから設定し直すというのでもいいかもしれません。

「許可」するかどうかは個人の判断

 「許可」するかどうかは個人の判断と言わざるを得ません。ターゲット広告が表示されると、買うかどうか迷っている商品を何度も目にすることになり、つい誘惑に負けて買ってしまうという話も。一方で、これを拒否設定にしておくと、アプリを開くたびに興味のない広告がくり返し表示されたりします。これはこれで苦痛です。

 アプリの広告からは、基本的には逃れようがないと考えていいかもしれません。有料版を買うことで広告を消すことができる場合もありますが、有料版が準備されているアプリは多くはありません。どうせ表示されるなら、興味のあるものの方がいいのかとも思いますが、なかなか悩ましいところです。

<参考サイト>
iPhoneの「アクティビティの追跡」「トラッキングの許可」とは?設定確認、変更する方法|TIME & SPACE
https://time-space.kddi.com/mobile/20210901/3163
App がアクティビティを追跡してもよいか確認してくる場合|Apple
https://support.apple.com/ja-jp/HT212025
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
自分を豊かにする“教養の自己投資”始めてみませんか?
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」のか?鍵は認知の仕組み

何回説明しても伝わらない問題と認知科学(1)「スキーマ」問題と認知の仕組み

なぜ「何回説明しても伝わらない」という現象は起こるのか。対人コミュニケーションにおいて誰もが経験する理解や認識の行き違いだが、私たちは同じ言語を使っているのになぜすれ違うのか。この謎について、ベストセラー『「何...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/11/02
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
2

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

「白人vsユダヤ人」という未解決問題とトランプ政権の行方

戦争と暗殺~米国内戦の予兆と構造転換(3)未解決のユダヤ問題

保守的な軍国化によって、内戦への機運が高まっているアメリカだが、MAGAと極左という対立図式は表面的なものにすぎない。その根本に横たわっているのは白人とユダヤ人という人種の対立であり、それはカーク暗殺事件によって露...
収録日:2025/09/24
追加日:2025/11/06
東秀敏
米国大統領制兼議会制研究所(CSPC)上級フェロー
3

「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの

「境地は裏切らない」とは?禅の体験から見えてきたもの

徳と仏教の人生論(6)物事の本質を見極めるために

10年の修行で自我を手放し宇宙と一体化する境地に達すると、自分中心からホリスティックな視点に変わり、物事の表と裏の共通点が見えてきて、その本質がつかめるという田口氏。人生は常に新たな命題を解き明かし続ける旅である...
収録日:2025/05/21
追加日:2025/11/08
4

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授
5

40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」

40代前半に訪れる「中年の危機」、鍵は「人生の成長戦略」

人生100年時代の「ライフシフト概論」(3)キャリアの危機〈下〉

40代前半で訪れる「中年の危機」を脱するためには、会社中心の人生から「未来は自分で作る」という自分を中心とした人生への意識転換が必要だ。そのためのカギは、「Will・Can・Create」の3つから自分の「人生の成長戦略」を考...
収録日:2022/06/15
追加日:2022/09/24
徳岡晃一郎
株式会社ライフシフト 代表取締役会長CEO 多摩大学大学院名誉教授・特任教授