テンミニッツ・アカデミー|有識者による1話10分のオンライン講義
会員登録 テンミニッツ・アカデミーとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2015.08.13

意外すぎる!冷蔵庫に入れるべきもの/そうでないもの

 夏まっさかりのこの時期、全国でつぎつぎ猛暑日が記録されている。うだるような暑さの中、食べ物の管理が心配になる人も多いのではないだろうか。

 しかし、なんでもかんでも冷やせば良いというものではない。中には冷やし過ぎると品質がいちじるしく落ちてしまうものもあるから注意が必要だ。

 食欲が落ちる今の時期にこそおいしく食べ物をいただくために、冷蔵するべきものとそうでないものを知っておこう。

<冷蔵保存しておくべきもの>

・醤油

 多量の塩分を含むため体に害を及ぼすほど腐ってしまうことはないが、常温保存によって酸化が進み、風味を損なわれてしまう。味が命の調味料が風味をなくしてはしかたない。もちろん開封しなければ空気に触れることがないので、賞味期限までならおいしい状態で保存することができる。

・いちご

 いちごは常温保存に向いていない。市場に出回っている多くは熟しているものだからだ。すぐに食べない場合は冷蔵庫で保存しよう。また、冷凍すると組織が壊れてしまうので、果物としてのいちごとはべつものになってしまう。もちろん食べても害はないので、シャーベットとして食べたい方はおすすめ。

・味噌

 おばあちゃんの家に行くと常温で置いてありがちな一品。しかし、これも開封後は常温保存に向かない。今売られているものは健康を考えて塩分を少なくして作られているものが多いため、雑菌の繁殖をおさえるには心許ない。白カビの原因にもなるので、必ず冷蔵庫で保存しよう。

・カレールウ

 こんな乾いたものは常温で大丈夫、と思いきや、開封後は常温保存できないのがこちら。どの会社のサイトでも冷蔵庫に入れるよう促している。品質のいちじるしい低下や風味の低下をふせぐためにもきちんと管理。

・サラミ

 おつまみで買うサラミ。保存食なので冷蔵庫とは無縁のような気がするが、実は開封後10度以下で保存するように書かれている。日本は湿度が高く、変色、変質の原因になるので守った方が良い。ジャーキーも同じ。

<冷蔵保存に向かないもの>

・パン

 種類にもよるが、パンは高温多湿に弱く、カビが生えやすい。惣菜パンは買った日当日まで、食パン、菓子パンは2、3日常温保存がきくため、この間に食べてしまうのがベスト。冷蔵庫に入れると水分が蒸発しパサパサになる上、味が損なわれてしまうのでパンとしての美味しさがまるでなくなってしまう。どうしても食べきれない場合は、冷凍保存してしまおう。

・スイカ

 今の時期食べたくなるスイカ。冷やして食べたいという気持ちはわかるが、切らないまま野菜室に入れてはいけない。冷気で甘味が軽減してしまい、美味しさがなくなってしまう。冷たく食べたいのなら桶の中に水を溜めて浮べておくか、カットしてから冷蔵庫で一時間ほど冷やして食べるのが良い。

・トマト

 温暖な場所で育ったトマトは、冷蔵庫に入れてしまうと糖度が上がらなくなり、大事な風味が落ちてしまう。様々な料理に使われる野菜だからこそ、おいしさを保ちたい。

・オリーブオイル

 繊細な油なので冷蔵した方が良いように思えるが、十度以下になると固まってしまうため、常温にもどさなくてはいけない。固形化と液状化を繰り返すうちに品質が損なわれ、風味も悪くなるので日光のあたらない、高温になりにくい場所に常温保存が基本。

・粉チーズ

 冷蔵庫に入れてしまうと結露によりカビが発生してしまう危険がある。乾いているものなので、常温で保存するに堪える。乳製品だからといって冷蔵庫に入れるのはやめよう。

・アボカド

 果物として食すのみならず、サラダやご飯のおかずにもなり使い勝手が良いが、熟していない緑のアボカドを買ってきたまま冷蔵庫に入れてはいけない。低温障害を起こし中身が黒くなる上、それ以上追熟することができなくなるので固くて美味しくない。

 夏場、腐敗を防ぐために冷蔵庫は便利である。でも過信するべきではない。考えなしに入れる前に、情報を集めて正しい保存ができるように心がけたい。

 もちろん自分の目や鼻で風味や品質を確認するのも大事。家の冷蔵庫をもう一度見直してみよう。

<参考文献>
・『賞味期限がわかる本』(徳江千代子監修 宝島社)
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
“社会人学習”できていますか? 『テンミニッツTV』 なら手軽に始められます。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,500本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

各々の地でそれぞれ勝手に…森林率が高い島国・日本の特徴

「集権と分権」から考える日本の核心(5)島国という地理的条件と高い森林率

日本の政治史を見る上で地理的条件は外せない。「島国」という、外圧から離れて安心をもたらす環境と、「山がち」という大きな権力が生まれにくく拡張しにくい風土である。特に日本の国土は韓国やバルカン半島よりも高い割合の...
収録日:2025/06/14
追加日:2025/09/15
片山杜秀
慶應義塾大学法学部教授 音楽評論家
2

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

地球上の火山活動の8割を占める「中央海嶺」とは何か

海底の仕組みと地球のメカニズム(1)海底の生まれるところ

海底はどうやってできるのか。なぜ火山ができるのか。プレートが動くのは地球だけなのか。またそれはどうしてか。ではプレートは海底の動きの全てを説明できるのか。地球史規模の海底の動きについて、海底調査の実態から最新の...
収録日:2020/10/22
追加日:2021/05/02
沖野郷子
東京大学大気海洋研究所教授 理学博士
3

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

「国際月探査」とは?アルテミス合意と月探査の意味

未来を知るための宇宙開発の歴史(9)宇宙開発を継続するための国際月探査

現在の宇宙開発は「国際月探査」を合言葉に掲げている。だが月は人類の移住先にも適さず、探査にさほどメリットがない。にもかかわらずなぜ「月探査」が目標として掲げられているのか。それは冷戦後、宇宙開発の目標を失った各...
収録日:2024/11/14
追加日:2025/09/16
川口淳一郎
宇宙工学者 工学博士
4

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

成長を促す「3つの経験」とは?経験学習の基本を学ぶ

経験学習を促すリーダーシップ(1)経験学習の基本

組織のまとめ役として、どのように接すれば部下やメンバーの成長をサポートできるか。多くの人が直面するその課題に対して、「経験学習」に着目したアプローチが有効だと松尾氏はいう。では経験学習とは何か。個人、そして集団...
収録日:2025/06/27
追加日:2025/09/10
松尾睦
青山学院大学 経営学部経営学科 教授
5

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

狩猟採集生活の知恵を生かせ!共同保育実現に向けた動き

ヒトは共同保育~生物学から考える子育て(3)共同保育を現代社会に取り戻す

ヒトは、そもそもの生き方であった狩猟採集生活でも子育てを分担してきた。それは農業社会においても大きくは変わらなかったが、しかし産業革命以降、都市化が進み、貨幣経済と核家族化と個人主義が浸透した。ヒトが従来行って...
収録日:2025/03/17
追加日:2025/09/14
長谷川眞理子
日本芸術文化振興会理事長 元総合研究大学院大学長