テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.05.04

車のクラクションをむやみに鳴らすのは違法?

 道路などで後ろからクラクション(警音器)を鳴らされ、ビックリしたことはありませんか? 運転免許を取得した方はご存じだと思いますが、注意をうながすための車のクラクション(警音器)ですが、その使用についてはルールがあります。

トラブルの原因にもなりうるクラクション

 車を運転している人に留まらず、クラクションによるトラブルは日常的に少なからず発生しています。運転を邪魔されたりすると、ついついクラクションを鳴らしてしまいがちですが、相手がにじりよってきて窓越しに胸ぐらをつかまれたり、石を投げつけられたり、ドアミラーを壊されるなどのケースがあります。さらに、怒りに我を忘れた相手から、車載のするどい工具などで胸を刺されたという事件も発生しています。鳴らす側、鳴らされた側、ともに「イライラ気分」の発露によるトラブルは絶えません。

クラクションは原則的に鳴らしてはいけない!?

 クラクションは道路交通法上「警音器」と呼ばれています。法的な規定は、道路交通法54条2項となります。

 「車両等の運転者は、法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合を除き、警音器を鳴らしてはならない。ただし、危険を防止するためやむを得ないときは、この限りでない。」

 では、原則的に鳴らしてはいけない「警音器」ですが、「法令の規定により警音器を鳴らさなければならないこととされている場合」、そして、「危険を防止するためやむを得ないとき」とはどんな状況でしょう。

 ここでいう「法令の規定」は道路交通法52条1項に規定されています。

1:左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上で道路標識等により指定された場所を通行しようとするとき。

2:山地部の道路その他曲折が多い道路について道路標識等により指定された区間における左右の見とおしのきかない交差点、見とおしのきかない道路のまがりかど又は見とおしのきかない上り坂の頂上を通行しようとするとき。

 つぎに、「危険を防止するためやむを得ないとき」とはどんな状況でしょう。

 特別に規定されてはいませんが、例えば、車の接近に気がつかずにその前方を横断しようという歩行者に注意を促す場合、追い越しの際に、前車が後車の追い越しに気づかず、前車が急に進路を変更しようとするなどして、前者に接触する危険が生じた場合などが該当すると考えられます。

 注意したいのは、日常的なシチュエーションで「道ですれ違った知り合いとの挨拶」、「道を譲ってもらったときのお礼」の意味合いで鳴らすクラクションは禁じられていること。また、「発進しない前車への発信の促し」、「急に割り込んできた車への抗議」などは、「危険を防止するためにやむを得ないとき」には該当しないので、クラクションを鳴らすのはNGとなります。

クラクション使用についての罰則は?

 法的に、クラクション鳴らすべきときに鳴らさなかった場合、クラクションを鳴らしてはならないのに鳴らした場合それぞれに罰則(刑事罰)、反則金、違反点数を設けています。

・警音器吹聴義務違反=クラクション鳴らすべきときに鳴らさなかった場合
罰則→5万円以下の罰金
反則金→大型車:7000円/普通車:6000円/二輪車:6000円/原付車:5000円
違反点数→1点

・警音器使用制限違反=クラクションを鳴らしてはならないのに鳴らした場合
罰則→2万円以下の罰金又は科料
反則金→3000円
違反点数→なし

 違反が発覚した場合、警察官から通称「青切符」を交付され、反則金を納付するよう促されます。反則金を納付することにより、罰則が適用されることはなくなります。

 クラクション(警音器)は、法的な使用を理解しつつ、むやみに相手を苛つかせる原因にもなりかねないので、原則的に鳴らさないようにしましょう。
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,100本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制は民主主義的で、野党もブレーキ役に担っていた

55年体制と2012年体制(1)質的な違いと野党がなすべきこと

戦後の日本の自民党一党支配体制は、現在の安倍政権における自民党一党支配と比べて、何がどのように違うのか。「55年体制」と「2012年体制」の違いと、民主党をはじめ現在の野党がなすべきことについて、ジェラルド・カ...
収録日:2014/11/18
追加日:2014/12/09
2

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gはなぜワールドワイドで推進されていったのか

5Gとローカル5G(1)5G推進の背景

第5世代移動通信システムである5Gが、日本でもいよいよ導入される。世界中で5Gが導入されている背景には、2020年代に訪れるというデータ容量の爆発的な増大に伴う、移動通信システムの刷新がある。5Gにより、高精細動画のような...
収録日:2019/11/20
追加日:2019/12/01
中尾彰宏
東京大学 大学院工学系研究科 教授
3

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミは本来、与野党機能を果たすべき

マスコミと政治の距離~マスコミの使命と課題を考える

政治学者・曽根泰教氏が、マスコミと政治の距離を中心に、マスコミの使命と課題について論じる。日本の新聞は各社それぞれの立場をとっており、その報道の基本姿勢は「客観報道」である。公的異議申し立てを前提とする中立的報...
収録日:2015/05/25
追加日:2015/06/29
曽根泰教
慶應義塾大学名誉教授
4

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITのEU首脳会議での膠着

BREXITの経緯と課題(6)EU首脳会議における膠着

2018年10月に行われたEU首脳会議について解説する。北アイルランドの国境問題をめぐって、解決案をイギリスが見つけられなければ、北アイルランドのみ関税同盟に残す案が浮上するも、メイ首相や強硬離脱派はこれに反発している...
収録日:2018/12/04
追加日:2019/03/16
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か?取り組み方とメリット

健康経営とは何か~その取り組みと期待される役割~

近年、企業における健康経営®の重要性が高まっている。少子高齢化による労働人口の減少が見込まれる中、労働力の確保と、生産性の向上は企業にとって最重要事項である。政府主導で進められている健康経営とは何か。それが提唱さ...
収録日:2021/07/29
追加日:2021/09/21
阿久津聡
一橋大学大学院経営管理研究科国際企業戦略専攻教授