社会人向け教養サービス 『テンミニッツ・アカデミー』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.06.13

「金」の産出量が最も多い国とは

 金の価格が高騰しています。1980年、オイルショックにおいて、価格は1グラム6,495円まで上昇、2022年の現在、ロシアによるウクライナ侵攻を背景に8,500円前後を推移する高値となっています。金は算出される絶対量が決まっていることから不変資産とされ、株のような成長資産と異なります。今回は、そんな金の産出にフォーカスしてみましょう。

金のどのように産み出される?

 
 金については、よくマンガやアニメで描かれる金の延べ棒やインゴット、金貨のイメージが強いかと思います。実際の産出は大きな塊というより、多くは砂金の状態で採掘されます。佐渡金山などで川砂から数粒の金を見つける砂金採り体験をするとわかりやすいのですが、砂や砂鉄など他の鉱物と分別するという大変な作業になります。かつては人海戦術よりましたが、現在では砂や鉄などと同時に溶鉱炉へと流し込み、電解して取り出す方法になります。

金国別の金排出量ランキング

 金の算出には大規模な施設が必要になることから、埋蔵されている土地に加えて、広大な面積を有している国が金の産出量が多くなります。

金の産出量の多い国(2020年)
順位:国名/産出量(トン)
1位:中華人民共和国/380t
2位:オーストラリア/320t
3位:ロシア/300t
4位:アメリカ合衆国/190t
5位:カナダ/170t
6位:ガーナ/140t
7位:インドネシア/130t
8位:ペルー/120t
9位:カザフスタン、メキシコ/100t
出典:U.S. Geological Survey - Mineral commodity summaries 2021  

 このように、金の産出量が多い国は、鉱脈さえ発見できれば大規模な溶鉱炉を建設できる国であることがランキングから推察することができます。

日本における金の算出

 かつてマルコ・ポーロ「東方見聞録」において「黄金の国ジパング」と紹介された日本ですが、現在、金は取り尽くされたといわれており、産出量もほとんどないといってよい状況です。商業規模で操業を継続できているのは、鹿児島県北部に位置している菱刈鉱山が有名です。ここでは、鉱石1トン中に含まれる平均金量が約20グラムという高品位(世界の主要金鉱山の平均品位は3~5グラム)を誇り、1985年の出鉱開始以来、安定して金が産出しているとのこと。  

 別の観点からすると、日本においてあらたな鉱脈として期待できるのが、スマホやPCなど不法投棄されている様々な電子機器類です。精密な電子機器の基盤などには金などレアメタルが使われているのです。実際、廃棄された電子機器から取り出された金の量は約6000トンともいわれ、家庭に眠っている貴重な鉱脈に期待されているのが、日本の大きな特徴です。

<参考サイト>
・外務省:金の産出量の多い国
https://www.mofa.go.jp/mofaj/kids/ranking/gold.html
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,600本以上。 『テンミニッツ・アカデミー』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

なぜ空海が現代社会に重要か――新しい社会の創造のために

エネルギーと医学から考える空海が拓く未来(1)サイバー・フィジカル融合と心身一如

現代社会にとって空海の思想がいかに重要か。AIが仕事の仕組みを変え、超高齢社会が医療の仕組みを変え、高度化する情報・通信ネットワークが生活の仕組みを変えたが、それらによって急激な変化を遂げた現代社会に将来不安が増...
収録日:2025/03/03
追加日:2025/11/12
2

歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方

歴史作家・中村彰彦先生に学ぶ歴史の探り方、活かし方

編集部ラジオ2025(29)歴史作家の舞台裏を学べる

この人生を生きていくうえで、「歴史」をひもとくと貴重なヒントにいくつも出会えます。では、実際にはどのように歴史をひもといていけばいいのか。

今回の編集部ラジオでは、歴史作家の中村彰彦先生がご自身の方法論...
収録日:2025/10/17
追加日:2025/11/27
3

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

日本は素晴らしい歴史史料の宝庫…よい史料の見つけ方とは

歴史の探り方、活かし方(1)歴史小説と史料探索の基本

「歴史を探索していく」とは、どういうことなのだろうか。また、「歴史を活かしていく」とはどういうことなのだろうか。歴史作家の中村彰彦氏に、歴史を探り、活かしていく方法論を、具体的に教えてもらう本講義。第一話は、歴...
収録日:2025/04/26
追加日:2025/11/14
4

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた要因はオウンゴール

内側から見たアメリカと日本(6)日本企業の敗因は二つのオウンゴール

日本企業が世界のビジネスに乗り遅れた主な要因として、二つのオウンゴールを挙げる島田氏。その一つとして台湾のモリス・チャン氏によるTSMC立ち上げの話を取り上げるが、日本はその動きに興味を示さず、かつて世界を席巻して...
収録日:2025/09/02
追加日:2025/11/25
5

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

なぜ算数が苦手な子どもが多いのか?学力喪失の真相に迫る

学力喪失の危機~言語習得と理解の本質(1)数が理解できない子どもたち

たかが「1」、されど「1」――今、数の意味が理解できない子どもがたくさんいるという。そもそも私たちは、「1」という概念を、いつ、どのように理解していったのか。あらためて考え出すと不思議な、言葉という抽象概念の習得プロ...
収録日:2025/05/12
追加日:2025/10/06
今井むつみ
一般社団法人今井むつみ教育研究所代表理事 慶應義塾大学名誉教授