テンミニッツTV|有識者による1話10分のオンライン講義
ログイン 会員登録 テンミニッツTVとは
社会人向け教養サービス 『テンミニッツTV』 が、巷の様々な豆知識や真実を無料でお届けしているコラムコーナーです。
DATE/ 2022.07.10

世界の「海軍力」ランキング

 アメリカの軍事評価機関「Global Firepower(グローバル・ファイヤーパワー)」が、「Navy Fleet Strength by Country (2022)(世界の海軍力ランキング・2022年)」を発表しました。

 ランキングは、各国の海軍の総資産や軍艦の総数等を集計して算出されています(ただし、公式データが入手できない場合に見積もりが行われます)。なお、【評価軸となる8種類の軍艦】は以下となります。

【評価軸となる8種類の軍艦】
1.空母:「航空母艦」の略。航空機を搭載し、それを発着させる飛行甲板や格納庫を備えた軍艦。
2.ヘリコプター空母:複数のヘリコプターを搭載し、それを離着艦させる広い飛行甲板や格納庫などを備えた空母。
3.駆逐艦:防空力・対潜能力・水上打撃力となるミサイルや魚雷・爆雷などを搭載する比較的小型の快速艦。
4.フリゲート艦:駆逐艦に準ずる高速力と航洋性を持ち、対潜・対空・船団護衛などに用いられる軍艦。
5.コルベット艦:フリゲート艦より小型で、近海における対潜・護衛・哨戒などに従事する水上戦闘艇。
6.潜水艦:魚雷・ミサイル・艦砲などを装備し、水中や水面上を航行して攻撃・偵察などをする艦艇。
7.哨戒艦艇:海上の偵察や哨戒(敵の侵入や襲撃に備えて周辺あるいは特定の区域を警戒すること)をするための小型艦艇。
8.掃海艦:敷設された機雷を発見・除去し、艦船の航海を安全にする任務をもつ小型艦艇。

 では早速、グローバル・ファイヤーパワー版「世界の海軍力ランキング・2022年」トップ10をみていきましょう。なお、2022年は142カ国でのランキングとなっています。

「世界の海軍力ランキング・2022年」1位~4位

【1位:中国】
《海軍力》総資産:777(1/142)、空母:2隻(2/142)、ヘリコプター空母:1隻(5/142)、駆逐艦:41隻(2/142)、フリゲート艦:49隻(1/142)、コルベット艦:70隻(2/142)、潜水艦:79隻(1/142)、哨戒艦艇:152隻(5/142)、掃海艦:36隻(2/142)
※参考:人口:13億9,789万人(1/142)、国防予算:2,300億ドル(2/142)、総兵力:313万人

【2位:ロシア】
《海軍力》総資産:605(2/142)、空母:1隻(3/142)、ヘリコプター空母:0隻(140/142)、駆逐艦:15隻(4/142)、フリゲート艦:11隻(7/142)、コルベット艦:86隻(1/142)、潜水艦:70隻(2/142)、哨戒艦艇:59隻(15/142)、掃海艦:49隻(1/142)
※参考:人口:1億4,232万人(9/142)、国防予算:1,540億ドル(3/142)、総兵力:135万人

【3位:アメリカ】
《海軍力》総資産484(3/142)、空母:11隻(1/142)、ヘリコプター空母:9隻(1/142)、駆逐艦:92隻(1/142)、フリゲート艦:0隻(140/142)、コルベット艦:22隻(4/142)、潜水艦:68隻(3/142)、哨戒艦艇:10隻(48/142)、掃海艦:8隻(14/142)
※参考:人口:3億3,499万人(3/142)、国防予算:7,700億ドル(1/142)、総兵力:183万人

【4位:コロンビア】
《海軍力》総資産450(4/142)、空母:0隻(140/142)、ヘリコプター空母:0隻(140/142)、駆逐艦:0隻(140/142)、フリゲート艦:4隻(13/142)、コルベット艦:2隻(14/142)、潜水艦:11隻(10/142)、哨戒艦艇:285隻(1/142)、掃海艦:0隻(140/142)
※参考:人口:5,035万人(29/142)、国防予算:81億ドル(30/142)、総兵力:51万人

「世界の海軍力ランキング・2022年」5位~10位

【5位:北朝鮮】
《海軍力》総資産450(4/142)、空母:0隻(140/142)、ヘリコプター空母:0隻(140/142)、駆逐艦:0隻(140/142)、フリゲート艦:5隻(12/142)、コルベット艦:0隻(140/142)、潜水艦:35隻(4/142)、哨戒艦艇:200隻(2/142)、掃海艦:10隻(12/142)
※参考:人口:2,583万人(54/142)、国防予算:45億ドル(45/142)、総兵力:200万人

【6位:スウェーデン】
《海軍力》総資産316(5/142)、空母:0隻(142/142)、ヘリコプター空母:0隻(140/142)、駆逐艦:0隻(140/142)、フリゲート艦:0隻(140/142)、コルベット艦:7隻(9/142)、潜水艦:5隻(16/142)、哨戒艦艇:161隻(4/142)、掃海艦:9隻(13/142)
※参考:人口:1,026万人(84/142)、国防予算:86億ドル(26/142)、総兵力:3万人

【7位:インドネシア】
《海軍力》総資産296(6/142)、空母:0隻(140/142)、ヘリコプター空母:0隻(140/142)、駆逐艦:0隻(140/142)、フリゲート艦:7隻(10/142)、コルベット艦:24隻(3/142)、潜水艦:4隻(17/142)、哨戒艦艇:181隻(3/142)、掃海艦:11隻(11/142)
※参考:人口:2億7,512万人(4/142)、国防予算:93億ドル(25/142)、総兵力:108万人

【8位:インド】
《海軍力》総資産295(7/142)、空母:1隻(3/142)、ヘリコプター空母:0隻(140/142)、駆逐艦:10隻(6/142)、フリゲート艦:13隻(5/142)、コルベット艦:22隻(4/142)、潜水艦:17隻(8/142)、哨戒艦艇:128隻(7/142)、掃海艦:0隻(140/142)
※参考:人口:13億3,933万人(2/142)、国防予算:496億ドル(6/142)、総兵力:513万人

【9位:タイ】
《海軍力》総資産292(8/142)、空母:0隻(140/142)、ヘリコプター空母:1隻(5/142)、駆逐艦:0隻(140/142)、フリゲート艦:7隻(10/142)、コルベット艦:7隻(9/142)、潜水艦:0隻(140/142)、哨戒艦艇:49隻(18/142)、掃海艦:5隻(17/142)
※参考:人口:6,948万人(20/142)、国防予算:29億ドル(60/142)、総兵力:45万人

【10位:スリランカ】
《海軍力》総資産275(10/142)、空母:0隻(140/142)、ヘリコプター空母:0隻(140/142)、駆逐艦:0隻(140/142)、フリゲート艦:5隻(12/142)、コルベット艦:0隻(140/142)、潜水艦艦:0隻(140/142)、哨戒艦艇:59隻(15/142)、掃海艦:0隻(140//142)
※参考:人口:2,304万人(58/142)、国防予算:18億ドル(69/142)、総兵力:26万人

日本の「海軍力」の実力は?

 ところで、海に囲まれた日本の「海軍力」は、世界的にどのように評価されているのでしょうか。以下のようなランキングとスコアになっています。

【19位:日本】
《海軍力》総資産155(19/142)、空母0(140/142)、ヘリコプター空母4(2/142)、駆逐艦36(3/142)、フリゲート艦4(13/142)、コルベット艦6(10/142)、潜水艦21(6/142)、哨戒艦艇6(52/142)、掃海艦22(4/142)
※参考:人口:1億2,468万人(11/142)、国防予算:474億ドル(7/142)、総兵力:30万人

 ただし、事実上の日本の「海軍力」ともいえる海上自衛隊のHPでは、空母およびヘリコプター空母の紹介はされていません。「水上艦艇」として紹介されているヘリコプター搭載護衛艦の「いずも」「かが」「ひゅうが」「いせ」が、ヘリコプター空母としてカウントされているようです。

 2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻では、初期段階でロシア軍がウクライナの港湾を攻撃し、物資輸送に大打撃を与えました。他にも、南シナ海の領有権問題や北極圏の覇権争いなど、世界各地の海をめぐる軍事的緊張は、現在進行形の切実な課題として渦巻いています。

 危険な渦に巻き込まれないためにも、そして新たな渦を作らないためにも、“外交の延長としての海軍力”を世界基準で相対化し評価し合うことも、世界平和のための大切な視点となるのではないでしょうか。

<参考文献・参考サイト>
・『デジタル大辞泉』(小学館)
・『日本国語大辞典』(小学館)
・Navy Fleet Strength by Country (2022) - Global Firepower
https://www.globalfirepower.com/navy-ships.php
・海上自衛隊 〔JMSDF〕 オフィシャルサイト
https://www.mod.go.jp/msdf/
~最後までコラムを読んでくれた方へ~
より深い大人の教養が身に付く 『テンミニッツTV』 をオススメします。
明日すぐには使えないかもしれないけど、10年後も役に立つ“大人の教養”を 5,200本以上。 『テンミニッツTV』 で人気の教養講義をご紹介します。
1

映画『君たちはどう生きるか』とつながる山上憶良の答え

映画『君たちはどう生きるか』とつながる山上憶良の答え

山上憶良「沈痾自哀文」と東洋的死生観(3)「沈痾自哀文」現代語訳を読む

宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』の一つの大きなテーマは、自分が恵まれていることにどう気づくかではないかと上野氏はいう。これは戦後日本のあり方、目指すべきものへの痛烈な問いかけではないだろうか。このことに...
収録日:2024/04/02
追加日:2024/07/26
上野誠
國學院大學文学部日本文学科 教授(特別専任)
2

集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り

集中のスイッチを入れる方法は意識からと身体からの2通り

本番に向けた「心と身体の整え方」(1)ディテールにこだわる

アスリートたちは本番で力を発揮するために、「準備」と「本番」の2つのフェーズに分けて物事を考えている。「準備」段階ですべきは、本番の状況を細部にわたってシミュレーションしておくこと。そして、本番で「意識が散漫にな...
収録日:2020/09/16
追加日:2021/01/19
為末大
Deportare Partners代表
3

こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は

こりごり?アイ・ラブ・トランプ?…トランプ陣営の実状は

「同盟の真髄」と日米関係の行方(7)トランプ氏の評価とその実像

「こりごりだ」「アイ・ラブ・トランプ」…いったいどちらが本当のトランプ評なのか。前大統領のトランプ氏は、過激な発言で物議を醸すことも多かったが、その人柄はどのようなものだったのだろうか。2024年11月アメリカ大統領選...
収録日:2024/04/23
追加日:2024/07/24
杉山晋輔
元日本国駐アメリカ合衆国特命全権大使
4

ポツダム宣言受諾が遅れた理由と昭和天皇の「御聖断」

ポツダム宣言受諾が遅れた理由と昭和天皇の「御聖断」

敗戦から日本再生へ~大戦と復興の現代史(10)ポツダム宣言受諾への道のり

公立大学法人首都大学東京理事長・島田晴雄氏による島田塾特別講演シリーズ。紆余曲折の末、ついに発表されたポツダム宣言とその正式受諾に至るまでの道のりを知る。陸海軍の猛反発にあいながら本土決戦前の降伏を実現したポツ...
収録日:2016/07/08
追加日:2017/08/02
島田晴雄
慶應義塾大学名誉教授
5

地政学を理解する上で大事な「3つの柱」とは

地政学を理解する上で大事な「3つの柱」とは

地政学入門 歴史と理論編(1)地政学とは何か

国際政治を地理の観点からひも解く「地政学」という学問。近年、耳にすることも多くなった分野だが、どのような手法や意義を持った学問であるかを学ぶ機会は少ない。その基礎から学ぶことのできる今回のシリーズ。まず第1話では...
収録日:2024/03/27
追加日:2024/04/30
小原雅博
東京大学名誉教授