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DATE/ 2022.09.09

ガソリンスタンドがセルフで給油可能な理由

 かつてのガソリンスタンドといえば、スタッフの人に給油してもらってからお金を払うのが一般的でしたが、現在はセルフで給油できるガソリンスタンドが増えています。しかし、ガソリンや軽油などは危険物なので取り扱うためには危険物取扱者甲種または危険物取扱者乙種4類の資格が必要です。セルフ式のガソリンスタンドでは、なぜ資格を持たない人でも給油できるのでしょうか?

給油のコントロールはスタッフが行っている

 セルフ式とはいえ、ガソリンスタンドには必ず危険物の取り扱い資格を持ったスタッフが常駐しています。セルフ式の場合には自分でお金を入れたら、給油ノズルをセットして、レバーを引く、と操作の全てを利用者が行っているように見えますが、実際にはスタッフが許可を出さないと給油はできないようになっているのです。

 スタッフは監視カメラなどで利用者が給油する様子をしっかりチェックしていて、給油操作に問題がないか、周囲に火気はないか、また現在では禁止されている携行缶への給油ではないかなどの安全確認を行っています。それらすべてに問題なければスタッフが解除操作を行い、給油がされています。レバーを引いてからワンテンポ遅れて給油されるのはこうした仕組みによるものなのです。

フルサービスよりもルール制限が多い

 セルフサービスのガソリンスタンドが解禁されたのは1998年のことで、それに先立って改正された消防法によってセルフ式で給油する際に守るべきいくつかのルールが定められています。現在の消防法で定められているルールを紹介しましょう。

 セルフサービスの場合には「給油できる量は一度に100リッター(軽油や灯油は200リッター)まで、給油時間は最長4分、給油の速度は毎分30~35リッターまで、給油できるのは乗ってきた車両のみ」という規制があります。一方でフルサービスの場合には給油時間の制限がなく、給油速度も最大で毎分45リッターが可能、車両以外への給油も可能です。

セルフ式のガソリンスタンドで事故が起こることも

 利用客の安全を守るためのルールですが、セルフ式のガソリンスタンドを使う場合には危険物を扱っていることを利用者が忘れないようにするのが大切です。バイクへの給油中にガソリンが漏れてマフラー付近に付着し発火する事故、給油後にノズルを戻す時にレバーを握ってしまいガソリンが流出する事故が実際に起こっていて、2017年にはセルフ式のガソリンスタンドでは火災が26件で流出が52件起こっています。

 セルフ式のガソリンスタンドは利用客にとっては店員とのやりとりをしなくて済む、24時間営業している場合には時間を選ばずに使えるなど便利な面もありますが、些細な事故から大惨事を引き起こしてしまう可能性もあります。危険物を扱っているという自覚を忘れないようにすることが大切です。
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