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電線にとまった鳥はなぜ感電しないのか
「Q.電線にとまった鳥はなぜ感電しないのか」と問われたとき、あなたはなんと答えるでしょうか。
鳥類学者の三上修氏は「A.電線(電力線)にとまっている鳥の体に電流が流れていないから」(『電柱鳥類学』より)と答えています。
第1に、町中の電線の多くは、電流を通す金属部分がむき出しではなく、電気を通さない物質であるゴムやプラスチックといった絶縁体で被覆されています。そのため、絶縁体で被覆されている電線にとまった鳥の体に電流が流れることはなく、よって感電することもありません。
第2に、たとえ絶縁体に被覆されていない金属部分がむき出しの電線であっても、鳥が1本の電線にとまっている場合は、鳥の体は電線に比べて電流を通しにくい(抵抗が大きい)状況となっています。そのためやはり、電線にとまった鳥の体に電流が流れることはなく、よって感電することもありません。
以上のように、(1)電線は絶縁体で被覆されているため、電線にとまった鳥にも電流が流れない、(2)被覆されていない電線であっても1本の電線に鳥がとまっている場合は、鳥の体は電線に比べて電流を通しにくいため鳥に電流が流れない――の2点が、電線にとまっている鳥の体に電流が流れない理由=電線にとまった鳥が感電しない理由として挙げられます。
例えば、「Q.2本の電線をまたいでとまった鳥は感電してしまうのか」という問いの答えは、「A.2本の電線をまたいでとまった鳥の体には電流が流れるため感電してしまう」となります。
より正確にいうと、電気が流れている1本の電線以外のものに鳥の体が触れると、電流が流れて鳥は感電していまいます。そのため、例えば1本の電線にとまっていた鳥が、羽を広げて別の電線に触れたり電柱に触れたりした場合なども、電流が流れて感電してしまいます。
なぜかというと、2点間の電位の差を「電位差(電圧)」といいますが、上記でも説明したとおり、鳥が1本の電線にとまっている限り電位差(電圧)はほぼ0のため感電しません。
しかし、鳥が2本の電線にまたがってしまった場合、体のある部分とその他の部分(例えば、鳥の右足と左足)に電位差(電圧)が生じてしまいます。そして、生じた電位差(電圧)をオームの法則「電流=電圧/抵抗」で計算してみると、鳥の体に電流が流れることとなり、結果として鳥は感電してしまいます。
そのため、例えば人間が電線にぶら下がって耐える必要がある事故にあったとしても、空中に浮いている限りは感電しません。しかし、耐えきれずに地面に足をついてしまった場合、2点間に電位差(電圧)が生まれて電流が流れ、人間は感電してしまいます。
以上のことは、電線に凧や飛ばしてしまった洗濯物などを引っかけてしまったときなどに、うっかり手を伸ばして触ってしまった場合でも同じで、感電する危険性が生じます。誰であっても電線になにか引っかけてしまった際にも決して触らずに、電力会社に連絡して指示をあおいでください。
また、切れた電線や電線の被覆の欠損などを見つけた場合なども絶対に近づいたり触ったりせずに、ぜひ電力会社に連絡してほしいと思います。生活に欠かせない電力を供給してくれる電線はありがたい存在であると同時に、触れると危険な高圧電流を流しています。安全に正しく運用し、感電などの事故に遭わないように気をつけてください。
鳥類学者の三上修氏は「A.電線(電力線)にとまっている鳥の体に電流が流れていないから」(『電柱鳥類学』より)と答えています。
電線にとまった鳥に電流が流れない理由
ではなぜ、電線にとまった鳥に電流が流れないのでしょうか。第1に、町中の電線の多くは、電流を通す金属部分がむき出しではなく、電気を通さない物質であるゴムやプラスチックといった絶縁体で被覆されています。そのため、絶縁体で被覆されている電線にとまった鳥の体に電流が流れることはなく、よって感電することもありません。
第2に、たとえ絶縁体に被覆されていない金属部分がむき出しの電線であっても、鳥が1本の電線にとまっている場合は、鳥の体は電線に比べて電流を通しにくい(抵抗が大きい)状況となっています。そのためやはり、電線にとまった鳥の体に電流が流れることはなく、よって感電することもありません。
以上のように、(1)電線は絶縁体で被覆されているため、電線にとまった鳥にも電流が流れない、(2)被覆されていない電線であっても1本の電線に鳥がとまっている場合は、鳥の体は電線に比べて電流を通しにくいため鳥に電流が流れない――の2点が、電線にとまっている鳥の体に電流が流れない理由=電線にとまった鳥が感電しない理由として挙げられます。
つなぐと感電!電線またぎは要注意!!
ところで、上記では「(2)被覆されていない電線であっても1本の電線に鳥がとまっている場合は、鳥の体は電線に比べて電流を通しにくいため鳥に電流が流れない」としていますが、「1本の電線」という点が気にならないでしょうか。例えば、「Q.2本の電線をまたいでとまった鳥は感電してしまうのか」という問いの答えは、「A.2本の電線をまたいでとまった鳥の体には電流が流れるため感電してしまう」となります。
より正確にいうと、電気が流れている1本の電線以外のものに鳥の体が触れると、電流が流れて鳥は感電していまいます。そのため、例えば1本の電線にとまっていた鳥が、羽を広げて別の電線に触れたり電柱に触れたりした場合なども、電流が流れて感電してしまいます。
なぜかというと、2点間の電位の差を「電位差(電圧)」といいますが、上記でも説明したとおり、鳥が1本の電線にとまっている限り電位差(電圧)はほぼ0のため感電しません。
しかし、鳥が2本の電線にまたがってしまった場合、体のある部分とその他の部分(例えば、鳥の右足と左足)に電位差(電圧)が生じてしまいます。そして、生じた電位差(電圧)をオームの法則「電流=電圧/抵抗」で計算してみると、鳥の体に電流が流れることとなり、結果として鳥は感電してしまいます。
鳥と電線と感電の関係を人間に置き換えると?
ちなみに、鳥と電線と感電の関係は、人間にも当てはまります。つまり、鳥を人間に置き換えた場合、人間は鳥と同様の運命をたどることになります。そのため、例えば人間が電線にぶら下がって耐える必要がある事故にあったとしても、空中に浮いている限りは感電しません。しかし、耐えきれずに地面に足をついてしまった場合、2点間に電位差(電圧)が生まれて電流が流れ、人間は感電してしまいます。
以上のことは、電線に凧や飛ばしてしまった洗濯物などを引っかけてしまったときなどに、うっかり手を伸ばして触ってしまった場合でも同じで、感電する危険性が生じます。誰であっても電線になにか引っかけてしまった際にも決して触らずに、電力会社に連絡して指示をあおいでください。
また、切れた電線や電線の被覆の欠損などを見つけた場合なども絶対に近づいたり触ったりせずに、ぜひ電力会社に連絡してほしいと思います。生活に欠かせない電力を供給してくれる電線はありがたい存在であると同時に、触れると危険な高圧電流を流しています。安全に正しく運用し、感電などの事故に遭わないように気をつけてください。
<参考文献・参考サイト>
・『電柱鳥類学』(三上修著、岩波科学ライブラリー)
・疑問氷解:電線の鳥、なぜ感電しない? - 毎日新聞
https://mainichi.jp/maisho/articles/20170904/kei/00s/00s/013000c
・電線3 鳥はなぜ感電しない?電気の性質のおはなし - 東北制御
https://tohokuseigyo.net/tcs_column_all/tcs_column_densen/%E9%9B%BB%E7%B7%9A3/
・『電柱鳥類学』(三上修著、岩波科学ライブラリー)
・疑問氷解:電線の鳥、なぜ感電しない? - 毎日新聞
https://mainichi.jp/maisho/articles/20170904/kei/00s/00s/013000c
・電線3 鳥はなぜ感電しない?電気の性質のおはなし - 東北制御
https://tohokuseigyo.net/tcs_column_all/tcs_column_densen/%E9%9B%BB%E7%B7%9A3/
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