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踏切がない線路「勝手踏切」はなぜ存在するのか
「勝手踏切」とは、鉄道事業者が設置した正式な踏切ではなく、地域住民などが慣例的に通行している非正規の踏切を指します。
国土交通省によると、「勝手踏切」の数は全国の鉄道事業者が把握している数だけでも1万7066カ所に上るといわれています(2021年1月時点)。この「勝手踏切」の数は、約3万3千カ所といわれる正規の踏切数の半数を上回っています。
例えば2021年には、山添拓参議院議員が埼玉県内で「勝手踏切」を渡ったとして書類送検されたことが報じられるなど、「勝手踏切」の横断は事件となり得る行為です。
さらに近年だけでも、以下のような痛ましい事故が起きています。
2016年:高松市牟礼町でJR高徳線の「勝手踏切」を渡っていた高齢女性がはねられ死亡
2016年:長崎県佐世保市で松浦鉄道の「勝手踏切」を渡っていた未就学女児がはねられ意識不明の重体
2021年:神奈川県鎌倉市で江ノ島電鉄の「勝手踏切」を渡っていた小学3年女児がはねられ意識不明の重体
2021年:大阪府富田林市で近鉄長野線の「勝手踏切」を渡っていた小学1年女児がはねられ死亡
2022年:島根県浜田市でJR山陰線の「勝手踏切」を渡っていた高齢女性がはねられ死亡
しかしながら、たとえ事故につながる危険性が高くとも「勝手踏切」を渡る人が絶えることはなく、また、全ての「勝手踏切」の横断が事件化されているわけではありません。
例えば、「勝手踏切」での事故が多いといわれる江ノ島電鉄は路面電車が始まり線路が生活道路であったことの名残から、線路に向かって玄関や門を構える民家や線路を渡らないと自宅にたどり着けない場合もあるなど、「勝手踏切」が日常生活に欠かせないものとなっているといわれています。
また、江ノ島電鉄は海に沿った線路の近くに住宅街があり、住宅街の裏手は崖が迫っているという地理的理由による防災の観点からも、津波や土砂崩れといった災害時の避難路として機能しているとした意見もあります。
一方、「勝手踏切」が全国で最も多いとされる愛媛県のうち、例えば伊予鉄横河原線では「勝手踏切」の下には地域全体の公共物である用水路が流れていることや、さらにその「勝手踏切」を渡らないと畑に行けないなど、鉄道敷設前からの地域生活との兼ね合いから、撤去できない場合もあります。
そして、同じく愛媛県の予土線は、裏が山で玄関の前を線路が通っているため、「勝手踏切」を渡らないとどこにも行けない家があるなど、江ノ島電鉄と似たような現状もあります。
現行法である2002年に施行された「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」では、第39条にて「鉄道は、道路と平面交差してはならない」とされています。つまり、踏切を新設する場合は立体交差化が原則であり、新しい踏切の設置が高いハードルとなっています。そのため、「勝手踏切」がないと地域生活が成り立たなかったり地理的安全性を担保できなかったりする以上、現状のままでは「勝手踏切」を全廃することは難しいと考えられています。
以上のような事情から、「勝手踏切」が存在する理由や、問題があっても「勝手踏切」が即全廃どころかなかなか廃止できない理由や現状が各地域にあることがうかがえてきます。
しかし、踏切がない線路である「勝手踏切」が危険であることには変わりありません。たとえ「勝手踏切」が地域生活の場に必要であったとしても、愛媛県のJR予讃線のように時速100キロ超の特急が疾走する路線もあります。そうした場所の「勝手踏切」は危険性が非常に高いため、廃止やフェンスで囲う等の立ち入り禁止措置を視野に入れた協議をする必要があるといえます。
「勝手踏切」の存在について、地域生活との合意点を探りながら合法的かつ安全な運用が求められています。
国土交通省によると、「勝手踏切」の数は全国の鉄道事業者が把握している数だけでも1万7066カ所に上るといわれています(2021年1月時点)。この「勝手踏切」の数は、約3万3千カ所といわれる正規の踏切数の半数を上回っています。
「勝手踏切」での事件・事故
当然ながら、国土交通省は「勝手踏切」を踏切として認めていません。したがって、「勝手踏切」を横断する行為は無断で線路に立ち入る行為であり、違法です。例えば2021年には、山添拓参議院議員が埼玉県内で「勝手踏切」を渡ったとして書類送検されたことが報じられるなど、「勝手踏切」の横断は事件となり得る行為です。
さらに近年だけでも、以下のような痛ましい事故が起きています。
2016年:高松市牟礼町でJR高徳線の「勝手踏切」を渡っていた高齢女性がはねられ死亡
2016年:長崎県佐世保市で松浦鉄道の「勝手踏切」を渡っていた未就学女児がはねられ意識不明の重体
2021年:神奈川県鎌倉市で江ノ島電鉄の「勝手踏切」を渡っていた小学3年女児がはねられ意識不明の重体
2021年:大阪府富田林市で近鉄長野線の「勝手踏切」を渡っていた小学1年女児がはねられ死亡
2022年:島根県浜田市でJR山陰線の「勝手踏切」を渡っていた高齢女性がはねられ死亡
しかしながら、たとえ事故につながる危険性が高くとも「勝手踏切」を渡る人が絶えることはなく、また、全ての「勝手踏切」の横断が事件化されているわけではありません。
「勝手踏切」が廃止されない理由と現状
全国各地にある「勝手踏切」ですが、問題や事情は各地で異なります。例えば、「勝手踏切」での事故が多いといわれる江ノ島電鉄は路面電車が始まり線路が生活道路であったことの名残から、線路に向かって玄関や門を構える民家や線路を渡らないと自宅にたどり着けない場合もあるなど、「勝手踏切」が日常生活に欠かせないものとなっているといわれています。
また、江ノ島電鉄は海に沿った線路の近くに住宅街があり、住宅街の裏手は崖が迫っているという地理的理由による防災の観点からも、津波や土砂崩れといった災害時の避難路として機能しているとした意見もあります。
一方、「勝手踏切」が全国で最も多いとされる愛媛県のうち、例えば伊予鉄横河原線では「勝手踏切」の下には地域全体の公共物である用水路が流れていることや、さらにその「勝手踏切」を渡らないと畑に行けないなど、鉄道敷設前からの地域生活との兼ね合いから、撤去できない場合もあります。
そして、同じく愛媛県の予土線は、裏が山で玄関の前を線路が通っているため、「勝手踏切」を渡らないとどこにも行けない家があるなど、江ノ島電鉄と似たような現状もあります。
現行法である2002年に施行された「鉄道に関する技術上の基準を定める省令」では、第39条にて「鉄道は、道路と平面交差してはならない」とされています。つまり、踏切を新設する場合は立体交差化が原則であり、新しい踏切の設置が高いハードルとなっています。そのため、「勝手踏切」がないと地域生活が成り立たなかったり地理的安全性を担保できなかったりする以上、現状のままでは「勝手踏切」を全廃することは難しいと考えられています。
以上のような事情から、「勝手踏切」が存在する理由や、問題があっても「勝手踏切」が即全廃どころかなかなか廃止できない理由や現状が各地域にあることがうかがえてきます。
しかし、踏切がない線路である「勝手踏切」が危険であることには変わりありません。たとえ「勝手踏切」が地域生活の場に必要であったとしても、愛媛県のJR予讃線のように時速100キロ超の特急が疾走する路線もあります。そうした場所の「勝手踏切」は危険性が非常に高いため、廃止やフェンスで囲う等の立ち入り禁止措置を視野に入れた協議をする必要があるといえます。
「勝手踏切」の存在について、地域生活との合意点を探りながら合法的かつ安全な運用が求められています。
<参考サイト>
・鉄道に関する技術上の基準を定める省令 - e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000800151
・踏切ないのに線路横断、全国1万7000カ所 国交省調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE30CPY0Q1A430C2000000/
・「勝手踏切」閉鎖進まず
http://www.asahi.com/area/kagawa/articles/MTW20160215380370001.html
・「勝手踏切に鍵付き扉」で万事解決にはならぬ 軒先かすめる江ノ電 渡ってはいけない命の道
https://trafficnews.jp/post/112774
・鉄道に関する技術上の基準を定める省令 - e-Gov法令検索
https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413M60000800151
・踏切ないのに線路横断、全国1万7000カ所 国交省調査
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUE30CPY0Q1A430C2000000/
・「勝手踏切」閉鎖進まず
http://www.asahi.com/area/kagawa/articles/MTW20160215380370001.html
・「勝手踏切に鍵付き扉」で万事解決にはならぬ 軒先かすめる江ノ電 渡ってはいけない命の道
https://trafficnews.jp/post/112774
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