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DATE/ 2023.02.07

医師の年収、中央値はどれくらい?

 コロナ禍の始まった2020年に高校へ入学した年代が大学入試を迎え、医学部人気が盛り返しを見せています。ハードなことも多い医療現場ですが、医師の年収は実際どのぐらいなのでしょうか。

年収中央値はズバリ1,700万円

 医療施設のコンサルティングと医師向け転職支援サイトを運営する(株)メディウェル(本社・札幌)では、全国の会員医師を対象に、年収についてアンケートを実施しています。2022年、2250人の医師が回答した最新結果についてまとめてみました。

 副業やアルバイトを含めた医師の年収について、年代・男女別に回答を分類してみましょう。

<年代:男性:女性>
~29歳:1,100万円:800万円未満
30歳代:1,700万円:1,100万円
40歳代:1,900万円:1,500万円
50歳代:1,900万円:1,500万円
60歳代:1,900万円:1,700万円
70歳代:1,300万円:回答数僅少

 全年代を通じて男性医師の方が女性医師の年収の中央値を上回っているのが見てとれます。全年代の男女を合わせた年収帯で最も多いのは1,400~1,600万円(13.9%)、続いて1,200~1,400万円(13.5%)ですが、中央値は1,700万円になります。

 日本の年収中央値(2020年)は396.7万円(男性431.5万円、女性351.5万円)。約4倍もの年収を見込めるのが、医師の大きなメリットです。

●医師がアルバイトする理由とは?

 年収について答えてくれた医師のうち、アルバイトや副業をしている割合は71%を占めます。その理由は必ずしも収入を増やしたいからというだけでなく、新しい科の診療を経験してスキルアップや資格取得につなげたい、開業に備えたいなどがあるようです。

 医師たちが回答した主たる勤務先のみでの年収を比較すると、800万円未満(25.0%)が最多、続いて1,000~1,200万円(11.5%)のゾーンとなり、年収中央値は1,300万円です。副業・アルバイト込みの年収額と比較すると、約400万円の開きがありますが、それでも日本人全体の中央値と比べると3倍強にも上ります。

 副業収入にはコロナワクチンの臨時収入なども含まれており、前回調査の2020年と比べると、年収の「増えた」医師が「減った」医師の10ポイント上回る結果となりました。

 一方で、「賃金構造基本統計調査」によると、令和2(2020)年の医師平均給与(月額)は110.2万円、年間賞与その他特別給与が117.5万円になります。年収に換算すると1,334.5万円になります。

 中央値と平均値の違いを考え合わせると、ほぼアンケートによる「勤務先のみでの年収」に重なりそうです。

 また、令和元(2019)年医師の勤務実態調査(厚生労働科学省)によると、病院常勤勤務医の約6割、大学病院常勤工では9割以上が複数の医療機関で勤務しています。兼業先は1箇所のみならず4箇所を渡り歩く人も決して珍しくありません。

 当然ながら週60時間以上勤務する医師が全体の23.3%。「働き方改革」に縛られないといえば聞こえはいいものの、医師の多くが相当の激務に耐えていることは銘記すべきでしょう。

<参考サイト>
・【2022年版】医師の年収に関する最新アンケート結果(医師2,250名調査)
https://www.dr-10.com/lab/questionnaire-on-doctors-income-2022/
・令和元年 医師の勤務実態調査
https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000677264.pdf

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